魔法使いアルル

かのん

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第二百一話

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 悪魔は、人と契約をして、願い事を叶える代わりに対価をもらう。

 けれど、悪魔達には悪魔達なりの願いがあった。

 人にはおそらく理解は出来ないもの。

 けれど、始まりの魔術師との契約によって思いがけずその願いを叶えられるようになった。

 魔術の国と契約を果たした悪魔達はその願いを叶えられる日を楽しみに待っている。




 アルルとレオとキースの前には、先の見えない大きな湖のような空間が広がっていた。

 細い道を抜けたかと思うと今度は目の前に突然大きな湖が現れ、三人は暗闇に揺れる湖を見つめながら息を飲んだ。

「ねぇ、これ、渡るんだよね?」

「先が真っ暗だね。」

「本当だな。」

 湖を見ると揺れていることからいって、水の中に何かがいるのだろうと想像できるのが恐ろしい。

 暗闇にいると、怖い想像ばかりしてしまう。

 アルルは魔法の杖を構えた。

「光よ、照らせ。」

 魔法の杖から光の玉が現れると湖を照らし、そしてぷかぷかと水の上を進んだ瞬間であった。

 ザブンと波がたったかと思うと、水の中から何かが飛び出て光の玉を飲み込むと、水の中に消えていってしまった。

 三人は呆然と湖をみつめた。

 なんだ今のは。

 ホラーである。

 アルルとレオとキースは三人ともお互いの手をぎゅっと握った。

「今のは何?」

「分かんないけど、怖い。ねぇ、キース、知ってる?あれは何?」

「いや、俺も分からない。」

 アルルは試しにもう一度光の玉を出すと、湖に飛ばした。

 すると、今度は先ほどよりも大きな何かが玉に飛び付いて湖に消えたいった。

 アルルはそれを見て大きく息を吐くとレオに言った。

「たくさん玉飛ばしてみようか。どのくらい、いるのかな?」

 レオとキースはその言葉にぞっとしてアルルを止めようとしたが、アルルは素早く魔法の杖を振った。

 大量に湖に光の玉が飛び交い、湖を明るく照らしたその瞬間であった。

 大量の何かが湖から飛び出し光の玉を次から次に飲み込んでいく。

 そして、全ての玉を飲み込むと、何事もなかったかのように静けさを取り戻した。

 アルルは怖さを通り越し、少し興奮したように言った。

「ねぇ!見た?見た?凄かったね!」

 だが、振り返ってみたレオとキースの顔は青ざめていた。

 レオは力なく呟いた。

「怖すぎて、箒でこの上を飛ぶのなんて考えられなくなった。」

「アルル、あれを見て少し楽しそうな君が少しばかり怖くなったよ。」

 そんな男の子二人にアルルは首をかしげるとにっこりと笑って言った。

「でも、道は見えたでしょ?」

『え?』

 アルルは奥を指差すと言った。

「あっちに、飛び石が見えたよ。」

 その言葉に、レオとキースの顔はさらに青くなった。






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