魔法使いアルル

かのん

文字の大きさ
上 下
32 / 76

第二百話 

しおりを挟む
 三人は地面動く悪魔の絵の石板を見ながら、どういう法則で動いているのかと一生懸命に考えていたが、全くわからなかった。

 どう見ても石板の全部が動いていて、意味のあるような石板が見当たらない。

「なんだろ、これ。」

「ランダムに、見えるよね。」

「そうだな。」

 じっと見つめていると、時間だけが過ぎていく。

 アルルはふと気になった石板があり、思わずその石板に手を伸ばし、軽く触れてみた。

「アルル!」

 レオはアルルの行動に驚き声をあげたが、遅かった。

「わぁ!」

 石板はうっすらと黄緑色に輝くとアルルの体も巻き込むように黄緑色に光り、アルルの体は石板の上にふわりと飛んで乗った。

 石板はどんどんと動き続け、アルルはレオとキースから離れていく。

「わわわ!どんどん進んでいくよー!」

 焦るアルルの言葉にレオは一瞬石板の上に飛び出しそうになったが、それをキースが慌てて腕を掴んで止めた。

「おい!飛び出してどうする!」

「だけどアルルが!」

「いや、アルルは運がいいんじゃないか?おそらくだが、正解の石版に乗っている!見てみろ!」

 アルルはどんどんと進み、そしてついに一番端の石版までたどり着くと、目を丸くして向かい側の道に立った。

 その光景を見たレオは驚いてアルルに声をかけた。

「アルル!大丈夫?」

「大丈夫!何だか、無事、こっちにわたれたよ!」

「なんでなんだろう、、、アルル、何か分かる?」

 その言葉を聞いたアルルは少し考えてから、思いついたかのように言った。

「目でずっと石版を追っていて、この石版はね、こっちの側にたどり着いていたの!」

 それを聞いたレオとキースは石版をじっと目で追い、反対側からこちらへとたどり着く石版に絞って見つめた。

 すると、確かにアルルの言ったように、石版が動き、反対側にたどり着いているものがいくつかある。

「なんだ、踏んじゃいけない石版があるんじゃなくて、こっちから反対側まで進む石板に選んで乗れってことなのか?」

 レオの拍子抜けしたような言葉にキースは苦笑を浮かべてうなずいた。

「予想外だな。だが、アルルのファインプレーだ。ほら、レオにいこうぜ。」

 キースは先に反対側までたどり着く石版に乗ると、体が黄緑色に包まれ、そしてアルルの所へとたどり着いた。

 レオも同じようにしてたどり着くと、三人は石版を見てそろって笑った。

「まさか、乗って移動するとは思わなかったねぇ。」

 アルルはそう言ってへにゃりと笑い、それにつられてまたレオとキースは笑う。

「あ、でもアルル、今回は上手くいったからよかったけど、次からはむやみやたらに触らないでよ。僕、驚いたんだからね。」

 レオの言葉にアルルは神妙な顔でうなずいた。

「うん。次はからは絶対に気を付けるから。」

 レオはその様子に小さくため息をつき、そして道の先を見つめた。

 道はまだまだ細く続いており、暗闇が奥の方へと続いている。

「どこまで続いているんだろうね。」

「少し怖いね。」

「はぁ。もう少し近ければ良かったのにな。」

 三人は顔を見合わせると笑い声を小さく立ててから歩き始めた。

 とにかく今は進むしかないのだ。

 三人は暗い中を一歩、また一歩と進んでいった。


ーーーーーーーーーーーーー

はい!今回でなんと魔法使いアルル200話を更新いたしました!
思い返せば、去年の12月から更新を始めて早八カ月。あっという間に月日が流れていっております。
魔法使いアルル、今後も楽しんで読んでいただけたら幸いです。
よろしくお願いします。

よければ、気に入り登録、またどのくらいの方が読んでくださっているのか参考にしたいので、しおりなどはさんでいただけると嬉しいです。

今後もよろしくお願いいたします。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

生まれたばかりですが、早速赤ちゃんセラピー?始めます!

mabu
児童書・童話
超ラッキーな環境での転生と思っていたのにママさんの体調が危ないんじゃぁないの? ママさんが大好きそうなパパさんを闇落ちさせない様に赤ちゃんセラピーで頑張ります。 力を使って魔力を増やして大きくなったらチートになる! ちょっと赤ちゃん系に挑戦してみたくてチャレンジしてみました。 読みにくいかもしれませんが宜しくお願いします。 誤字や意味がわからない時は皆様の感性で受け捉えてもらえると助かります。 流れでどうなるかは未定なので一応R15にしております。 現在投稿中の作品と共に地道にマイペースで進めていきますので宜しくお願いします🙇 此方でも感想やご指摘等への返答は致しませんので宜しくお願いします。

【完結】家族にサヨナラ。皆様ゴキゲンヨウ。

くま
恋愛
「すまない、アデライトを愛してしまった」 「ソフィア、私の事許してくれるわよね?」 いきなり婚約破棄をする婚約者と、それが当たり前だと言い張る姉。そしてその事を家族は姉達を責めない。 「病弱なアデライトに譲ってあげなさい」と…… 私は昔から家族からは二番目扱いをされていた。いや、二番目どころでもなかった。私だって、兄や姉、妹達のように愛されたかった……だけど、いつも優先されるのは他のキョウダイばかり……我慢ばかりの毎日。 「マカロン家の長男であり次期当主のジェイコブをきちんと、敬い立てなさい」 「はい、お父様、お母様」 「長女のアデライトは体が弱いのですよ。ソフィア、貴女がきちんと長女の代わりに動くのですよ」 「……はい」 「妹のアメリーはまだ幼い。お前は我慢しなさい。下の子を面倒見るのは当然なのだから」 「はい、わかりました」 パーティー、私の誕生日、どれも私だけのなんてなかった。親はいつも私以外のキョウダイばかり、 兄も姉や妹ばかり構ってばかり。姉は病弱だからと言い私に八つ当たりするばかり。妹は我儘放題。 誰も私の言葉を聞いてくれない。 誰も私を見てくれない。 そして婚約者だったオスカー様もその一人だ。病弱な姉を守ってあげたいと婚約破棄してすぐに姉と婚約をした。家族は姉を祝福していた。私に一言も…慰めもせず。 ある日、熱にうなされ誰もお見舞いにきてくれなかった時、前世を思い出す。前世の私は家族と仲良くもしており、色々と明るい性格の持ち主さん。 「……なんか、馬鹿みたいだわ!」 もう、我慢もやめよう!家族の前で良い子になるのはもうやめる! ふるゆわ設定です。 ※家族という呪縛から解き放たれ自分自身を見つめ、好きな事を見つけだすソフィアを応援して下さい! ※ざまあ話とか読むのは好きだけど書くとなると難しいので…読者様が望むような結末に納得いかないかもしれません。🙇‍♀️でも頑張るます。それでもよければ、どうぞ! 追加文 番外編も現在進行中です。こちらはまた別な主人公です。

選ばれたのは美人の親友

杉本凪咲
恋愛
侯爵令息ルドガーの妻となったエルは、良き妻になろうと奮闘していた。しかし突然にルドガーはエルに離婚を宣言し、あろうことかエルの親友であるレベッカと関係を持った。悔しさと怒りで泣き叫ぶエルだが、最後には離婚を決意して縁を切る。程なくして、そんな彼女に新しい縁談が舞い込んできたが、縁を切ったはずのレベッカが現れる。

【完結】婚約者の義妹と恋に落ちたので婚約破棄した処、「妃教育の修了」を条件に結婚が許されたが結果が芳しくない。何故だ?同じ高位貴族だろう?

つくも茄子
恋愛
国王唯一の王子エドワード。 彼は婚約者の公爵令嬢であるキャサリンを公の場所で婚約破棄を宣言した。 次の婚約者は恋人であるアリス。 アリスはキャサリンの義妹。 愛するアリスと結婚するには「妃教育を修了させること」だった。 同じ高位貴族。 少し頑張ればアリスは直ぐに妃教育を終了させると踏んでいたが散々な結果で終わる。 八番目の教育係も辞めていく。 王妃腹でないエドワードは立太子が遠のく事に困ってしまう。 だが、エドワードは知らなかった事がある。 彼が事実を知るのは何時になるのか……それは誰も知らない。 他サイトにも公開中。

知ったかぶりのヤマネコと森の落としもの

あしたてレナ
児童書・童話
ある日、森で見つけた落としもの。 動物たちはそれがだれの落としものなのか話し合います。 さまざまな意見が出ましたが、きっとそれはお星さまの落としもの。 知ったかぶりのヤマネコとこわがりのネズミ、食いしんぼうのイノシシが、困難に立ち向かいながら星の元へと落としものをとどける旅に出ます。 全9話。 ※初めての児童文学となりますゆえ、温かく見守っていただけましたら幸いです。

夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました

氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。 ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。 小説家になろう様にも掲載中です

目が覚めたら夫と子供がいました

青井陸
恋愛
とある公爵家の若い公爵夫人、シャルロットが毒の入ったのお茶を飲んで倒れた。 1週間寝たきりのシャルロットが目を覚ましたとき、幼い可愛い男の子がいた。 「…お母様?よかった…誰か!お母様が!!!!」 「…あなた誰?」 16歳で政略結婚によって公爵家に嫁いだ、元伯爵令嬢のシャルロット。 シャルロットは一目惚れであったが、夫のハロルドは結婚前からシャルロットには冷たい。 そんな関係の二人が、シャルロットが毒によって記憶をなくしたことにより少しずつ変わっていく。 なろう様でも同時掲載しています。

夫を愛することはやめました。

杉本凪咲
恋愛
私はただ夫に好かれたかった。毎日多くの時間をかけて丹念に化粧を施し、豊富な教養も身につけた。しかし夫は私を愛することはなく、別の女性へと愛を向けた。夫と彼女の不倫現場を目撃した時、私は強いショックを受けて、自分が隣国の王女であった時の記憶が蘇る。それを知った夫は手のひらを返したように愛を囁くが、もう既に彼への愛は尽きていた。

処理中です...