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第百八十話
しおりを挟むアルルの話を聞いたハルは腹を抱えて大爆笑をした。
その横に腰かけているルルは、そんなハルの肩を叩いて苦笑を浮かべている。
アルルは二人の反応に首をかしげながら言った。
「何が可笑しいの?私、なんだかとっても怖くなったんだよ?」
ハルは瞳に浮かぶ涙を拭うと、未だに笑いが込み上げてくるようで、笑みをどうにか噛み殺しながら言った。
「いやぁ、まさかアルルをナンパする少年がいるとはなぁ。」
「まぁ、アルルは可愛らしいものね。でもその男の子はおませさんねぇ。」
アルルは唇を尖らせると不貞腐れたかのようにいった。
「ナンパって何?」
その言葉にハルはにやりと笑みを浮かべた。
「初めて会う相手に、好意をもって声をかけることさ。」
「え?じゃあ私はレオに初めてあった時に声をかけたからナンパってこと?」
「え?いや、違う。なんて説明すればいいんだ?」
それにはルルも困ったように苦笑を浮かべる。
「そうねぇ、、男の子が、可愛いと思った相手に恋愛感情をもって声をかけること、かしら?」
「そうそう。町なんかでな、初対面の相手に、あ、この子と遊びたい。デートしたいって思って声をかけるんだよ。」
アルルは首を傾げると尋ねた。
「それって皆するの?ハルもしたことあるの?」
ハルは視線を泳がせると首を横に振った。
「私はしないよ?その、皆がするってわけじゃないんだ。」
「なんでハルはしないの?」
アルルの追撃に、ハルは視線を泳がせながら言った。
「そりゃあ、、、私には、、、、ルルがいるから。」
次第に耳まで赤くなり始め、ハルの事をルルはにやにやとした笑みを浮かべて見ている。
「なんでルルがいたらしないの?」
「いや、それは、、、ルルが、、その、、好きだから、、、他には興味がない、、から、、。」
ハルはそこまで言うと顔を真っ赤に染めてアルルに言った。
「と、とにかく、相手の少年は、アルルに好意をもって声をかけたってことだ。けどね、アルル。男は狼なのさ。だから、声をかけられても、着いていってはダメだよ?」
アルルは意味がわからないと言うように首を傾げた。
「男は狼なのさ?男の人は人狼なの?」
ハルは言葉をつまらせ、ぽりぽりと頭をかいた。
ルルはふわりと微笑むと、優しい声で言った。
「とにかく、知らない人には着いていってはダメよと言うことよ。あと、あんまり一人でアルルは外を歩かないほうがいいかもしれないわね。」
アルルはよく意味は分からなかったけれど、取り敢えずこくりとうなずいた。
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