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第百七十八話
しおりを挟むドワーフの国の一件からしばらく経ち、ルルとハルは元々住んでいた屋敷に移り住むこととなった。そこにユンゲルや魔法教会の研究者達が来て、ルルの体に異変などないか調べる手筈となっている。
ユンゲルはポポロの一族と連絡を取ったことはあったようで、遠い親戚だと言っていたが一緒に暮らすことはないのだと言う。何故かと尋ねると、一族にもいろいろあるのだと言っていた。
アロンは事の顛末を国王に報告を行い、ドワーフの国と和解をすることが出来た。
ドワーフの国では、ドザザクとドルフが仲直りをしたことで、息子のドロロとも少しずつ歩み寄っているという事である。
アルルとレオとルビーも屋敷へと帰るとすぐにサリーのお使いを済ませ、そして久しぶりにゆっくりと屋敷で過ごしていた。
ルビーはサリーを手伝うと言い行ってしまったので、部屋にはアルルとレオの二人きりであり、二人はのんびりとお茶を飲んでいた。
「なんだかさ、レオ。」
「なぁにアルル。」
「こうやってのんびりするの、久しぶりだねぇ。」
「そうだねぇ。忙しかったからねぇ。」
まったりと二人でお茶を飲みながら二人は息を吐いた。
「今日は何をする?」
「アロン先生も城に行っていていないしねぇ、勉強は今日はお休みって言ってたしね。」
「うん。つまりさぁ、暇だね。」
「うん。暇だねぇ。」
時計の針の音が異様に響いて聞こえた。
時間と言うものだけがどんどんと過ぎていく気がして、二人は立ち上がった。
「よし、何かしよう!」
「そうだね。じゃあ、外で遊ぼうか?」
「うん。そうしよう!」
二人は部屋を出ると廊下を走り抜け、外へと出た。
庭には美しく花々が咲き誇っており、中央には大きな木が立っている。
「レオ!木登りをしようよ!」
「いいよ。どっちが先にてっぺんに登れるか勝負だね!」
二人は魔法を使わずにひょいひょいとあっという間に木の上にたどり着くと、そこから周りの景色を見回した。
風が吹き抜け、二人の髪の毛を揺らす。
「気持ちいねぇ!」
「本当だね!アルル、これどうぞ!」
「わぁ!」
レオは魔法でドーナッツを出すとそれをアルルに渡した。
アルルは目を輝かせてドーナッツにかぶりつくと、笑った。
「おいしい!」
「飲み物もだすねぇ。」
レオは空中にカップとリンゴを出すと、魔法でリンゴの皮むき、そしてそれをジュースに変えるとアルルへと差し出した。
アルルはそれを受け取ると、一口飲んで言った。
「幸せだね?」
「うん。幸せだ。」
二人は笑みを交わしあい、そして思った。
何気ない毎日を過ごせることがどんなに幸せな事か。
それがとても大切なことだと、二人は感じた。
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