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第百七十七話
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宴は賑やかに行われ、そしてドワーフの王ドザザクとドルフが横に座り、酒を飲みかわす姿はドワーフ達に衝撃を与えた。
ポポロ達の一族にも内々にお礼として食事などが運ばれ、ユンゲルもそちらの宴会へと参加していた。
最初はアルル、レオ、ルビーも楽しく参加させてもらっていたが、途中でアルルは抜け、ルルとハルの休んでいる部屋へと歩いて行った。
部屋の中で、会えなかった時間を埋めるように二人は楽しそうに話を繰り返していた。
「ハル、ルル、部屋に入ってもいい?」
アルルが顔を覗き込ませると、二人は笑顔で出迎えてくれた。
「どうぞ?どうしたんだい?宴会に言っているのではなかったのかい?」
ハルの言葉に、アルルは困ったように肩をすくめ、部屋に入るとルルの横に座った。
「ルルに会いたくなったの。」
アルルがそう言うと、ルルはアルルの頭を優しく撫でた。
その手のぬくもりに、アルルは嬉しそうににっこりとほほ笑むと、ルルに頭を預けながら小さな声で言った。
「ルル、おかえり。」
今まで忙しくて、なかなか言えていなかった言葉を言えてアルルはほっと胸をなでおろした。
ルルに本当は帰ってきてくれてありがとうって、無事でよかったって、伝えたかったけれどハルとの時間をいとおしむ姿に、今は邪魔しちゃいけないってなんとなく分かっていたから。
でも、ドワーフ達の事が落ち着いて、皆が楽しそうにしている姿を見た時に、アルルは胸の中をもやもやとした何かが占めていった。
皆の幸せは嬉しいはずなのに、何故だか涙が溢れそうになって、そしたらルルに会いたくなった。
そして今なら、おかえりの言葉を言ってもいいかなと思った。
ずっと、ちゃんと、傍で言いたかった言葉だった。
ハルはにこりと微笑むと、アルルとルルにお茶を準備した。
「私は少しアロンの所に言ってくる。アルル、ルルを頼んだよ。」
「うん。」
アルルはハルの入れてくれたお茶に息を吹きかけ、冷ましながらそれを一口飲んだ。
ルルはそんなアルルをじっと見つめると言った。
「今、何を思っているか教えて。」
その言葉に、アルルはお茶を机に置くと、ルルの顔を見つめ、手を握ると言った。
「あのね、ドワーフ達が幸せになっていることは嬉しいの。でもそうじゃない気持ちが、ここにあるの。」
胸の中を指差したアルルに、ルルはにこりと笑みを浮かべた。
「それで?」
「ルルの事を思うと、胸が苦しい。なんでって思うけど、、、そのなんでが、何故だか気持ちが悪いの。」
自分の心の中にある気持ちを正直に言うと、ルルはアルルをぎゅっと抱きしめた。
ルルの背に手を回しながら、アルルは泣きそうになるのを必死に堪えながら言った。
「ルルの事が好き。でも、ドワーフ達も好き。けどね、好きな分、嫌だなって思う自分がね、嫌なの。」
言いようのないその感情に、アルルの心は戸惑っていた。
ルルの事が好き。だけど、ルルを傷つけたドワーフは?
ドワーフの事も好き。だけどじゃあルルを傷つけた事への怒りは、どこへ向ければいいの?
十年も、ずっとルルを一人っきりで閉じ込めた事を、誰に怒ればいいの?
ドワーフ達?
ノア?
闇?
それともルルを助けられなかった自分達?
ドワーフ達は楽しそうに宴を開いていて、楽しい気持ちになるけれど本当にそれでいいの?
自分の心の中にごちゃごちゃと色々な言葉が浮かんでは消えて、心の中を渦巻いていく。
そんなアルルの背中を、優しくルルはとんとんと叩きながら言った。
「アルル、ありがとう。」
ルルはアルルの頭に自分の頭をくっつけた。
「でもね、いいのよ。」
アルルの涙から堪えきれなかった涙が流れた。
「私は、ここにいるから、だから、いいの。」
ドワーフ達をすぐには許せない。ノアを恨む気持ちもある。けれど、それでもいつかは許せるとルルは思っていた。
けれどそれには、まだ時間が必要だった。
アルルはぎゅっとルルに抱き着きながら言った。
「ごめんね。ルル。」
「アルルが謝る必要はないわ。でもありがとう。」
しばらくの間ぎゅっとしていたアルルは顔を上げるとルルに言った。
「大好きだよ。ルル。」
「私もよ。」
アルルはぎゅっと抱き着きながら、少しだけ、ルルみたいな人がお母さんなら良かったのになと、少しだけ、ほんの少しだけ思った。
ポポロ達の一族にも内々にお礼として食事などが運ばれ、ユンゲルもそちらの宴会へと参加していた。
最初はアルル、レオ、ルビーも楽しく参加させてもらっていたが、途中でアルルは抜け、ルルとハルの休んでいる部屋へと歩いて行った。
部屋の中で、会えなかった時間を埋めるように二人は楽しそうに話を繰り返していた。
「ハル、ルル、部屋に入ってもいい?」
アルルが顔を覗き込ませると、二人は笑顔で出迎えてくれた。
「どうぞ?どうしたんだい?宴会に言っているのではなかったのかい?」
ハルの言葉に、アルルは困ったように肩をすくめ、部屋に入るとルルの横に座った。
「ルルに会いたくなったの。」
アルルがそう言うと、ルルはアルルの頭を優しく撫でた。
その手のぬくもりに、アルルは嬉しそうににっこりとほほ笑むと、ルルに頭を預けながら小さな声で言った。
「ルル、おかえり。」
今まで忙しくて、なかなか言えていなかった言葉を言えてアルルはほっと胸をなでおろした。
ルルに本当は帰ってきてくれてありがとうって、無事でよかったって、伝えたかったけれどハルとの時間をいとおしむ姿に、今は邪魔しちゃいけないってなんとなく分かっていたから。
でも、ドワーフ達の事が落ち着いて、皆が楽しそうにしている姿を見た時に、アルルは胸の中をもやもやとした何かが占めていった。
皆の幸せは嬉しいはずなのに、何故だか涙が溢れそうになって、そしたらルルに会いたくなった。
そして今なら、おかえりの言葉を言ってもいいかなと思った。
ずっと、ちゃんと、傍で言いたかった言葉だった。
ハルはにこりと微笑むと、アルルとルルにお茶を準備した。
「私は少しアロンの所に言ってくる。アルル、ルルを頼んだよ。」
「うん。」
アルルはハルの入れてくれたお茶に息を吹きかけ、冷ましながらそれを一口飲んだ。
ルルはそんなアルルをじっと見つめると言った。
「今、何を思っているか教えて。」
その言葉に、アルルはお茶を机に置くと、ルルの顔を見つめ、手を握ると言った。
「あのね、ドワーフ達が幸せになっていることは嬉しいの。でもそうじゃない気持ちが、ここにあるの。」
胸の中を指差したアルルに、ルルはにこりと笑みを浮かべた。
「それで?」
「ルルの事を思うと、胸が苦しい。なんでって思うけど、、、そのなんでが、何故だか気持ちが悪いの。」
自分の心の中にある気持ちを正直に言うと、ルルはアルルをぎゅっと抱きしめた。
ルルの背に手を回しながら、アルルは泣きそうになるのを必死に堪えながら言った。
「ルルの事が好き。でも、ドワーフ達も好き。けどね、好きな分、嫌だなって思う自分がね、嫌なの。」
言いようのないその感情に、アルルの心は戸惑っていた。
ルルの事が好き。だけど、ルルを傷つけたドワーフは?
ドワーフの事も好き。だけどじゃあルルを傷つけた事への怒りは、どこへ向ければいいの?
十年も、ずっとルルを一人っきりで閉じ込めた事を、誰に怒ればいいの?
ドワーフ達?
ノア?
闇?
それともルルを助けられなかった自分達?
ドワーフ達は楽しそうに宴を開いていて、楽しい気持ちになるけれど本当にそれでいいの?
自分の心の中にごちゃごちゃと色々な言葉が浮かんでは消えて、心の中を渦巻いていく。
そんなアルルの背中を、優しくルルはとんとんと叩きながら言った。
「アルル、ありがとう。」
ルルはアルルの頭に自分の頭をくっつけた。
「でもね、いいのよ。」
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「私は、ここにいるから、だから、いいの。」
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けれどそれには、まだ時間が必要だった。
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「ごめんね。ルル。」
「アルルが謝る必要はないわ。でもありがとう。」
しばらくの間ぎゅっとしていたアルルは顔を上げるとルルに言った。
「大好きだよ。ルル。」
「私もよ。」
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