魔法使いアルル

かのん

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第百七十二話

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 ルルの足元は水晶で包まれるようにして固まっている。

 アルルは必死で考えるとアロンに言った。

「ねぇ、ドワーフとかポポロとかに話を聞いたらどうかな?魔法石とか水晶とかに詳しい人に聞いた方がいいんじゃないかと思うの。」

 アロンは唸り声を上げて考えた。

「この空間は、ある程度力を持たねば入れぬのだ。ここに入れるのは、、、ドワーフの王くらいだ。」

 するとルビーはにっこりと笑った。

「分かった!じゃあ連れてくるね。」

 その言葉に皆が目を丸くすると、ルビーは手で雲をこねはじめそして大きく広げるとそこに石の扉が現れた。

 それが音を立てながら開くと、なんとそこにドワーフの王ドザザクが立っている。

「な、、、何だ?」

 かなり混乱しているようで、その場に歩みを進めると周りをきょろきょろと見つめたのちに、自分の体をぺたぺたと触り、そしてアロンを見た。

「偉大なる大魔法使いアロン殿、、、わしゃ、どうなった?よく分からんが、頭がすっきりしている。なんだこりゃあ。いや、いやまて、アロン殿。わしゃそなた達に酷い物言いをした記憶があるが、なんだ、違うんだ。」

 混乱するドザザクに、アルルはその手を引いて言った。

「ドワーフの王様。あのね、ちょっとこっちにきて、ルルを見て。ルルを助けたいんだけど、分かる?」

 アルルに手を引かれてドザザクは訳も分からないまま鳥籠を見上げ、そしてその中にいるルルを見て眉間にしわを寄せた。

「魔法石の民、、、か?ほう。体内の魔法石が結晶化しているな。」

「この鳥籠が何か分かる?ルルを助けたいのに壊せないの!」

 ドザザクは焦るアルルの頭をぽんと撫でると、腕を組み唸り声を上げた。

 手に触れて鳥籠を見ると、鳥籠事態も魔法石のようであった。

「うむ。昔のはぐれドワーフの歴史書に似たようなものが書いてあったことを弟に聞いたような気がするが、、、わしらはドワーフ。ただ掘ったり採掘したりする民だからのぉ。わしの弟ならば、分かったかもしれんが。」

「王様の弟はどこにいるの?!その人なら分かる?」

 するとドザザクは悲しげに目を伏せると言った。

「弟は、、、はぐれドワーフになってしまってな、、居場所は分からん。」

 アルルとレオとルビーは顔を見合わせると声を上げた。

「はぐれドワーフ?!」

「孤高のドワーフ?!」

「その名はドルフ?」

 その声にドザザクは目を丸くすると頷いた。

「そうじゃ。弟を知っておるのか?ドルフならば、ドワーフの歴史にも詳しく、魔法石、水晶、鉱石の事もよく知っているはずだ。」

 皆が目を丸くし、そして皆がルビーに視線を集めた。

 アロンが声を上げた。

「王の弟ならば力もあるだろう!ルビー、ここへドルフを連れてこれるか?」

 皆の期待のこもった視線がルビーに集まり、それを受けて、ルビーは胸を張ると頷いた。

「もちろん!ちょっと待ってね!」


 
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