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第一章

災いの魔力との対峙 120

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 暗黒龍は空を飛び、学園から出ようとする。

 巨大な体を支える翼は、突風を生み出しながら空を飛ぶ。

 しかし、空には円形の結界魔法がかけられており、そこから逃げることは出来ない。

 地上で、四大貴族の皆と令嬢らが力合わせて結界の魔法を張り続けている。

 ハロルドとルーナは、避難の誘導の指揮をしている。

 外に出られては、どんな被害が出るか分からない。

 ここで、食い止めなければならないのだ。

 フィリアは暗黒龍の背にしがみつくと、その体を登り、聖なる魔法の光を放つ。

 暗黒龍は悲鳴を上げると、フィリアを体を振って吹き飛ばした。

 そして、吹き飛ばしたフィリアに襲いかかる。

 鋭い牙を、フィリアは聖剣で受け止め、弾き飛ばした。

 だが、長い尾でフィリアは死角から背を弾かれて地面に叩きつけられた。

 魔法で衝撃は弱めたものの、フィリアは額から流れる血を拭った。

 一瞬でそれを癒やして、また聖剣を構える。

 フィリアは笑った。

「さすが、私が愛した人は強いわ。これはもはや世界最強なのではないかしら。」

 すると、横にニフエルが現れる。

「残念だが、龍の力で言えば私の方が強い。」

 その言葉に、フィリアは笑った。

「そうかしら?」

「そうだ。」

「なら、手伝ってくれるの?」

「ふふ。もちろんだ。しばらくの間、私が抑える。フィリア、聖なる歌を歌え。」

「ありがとう。頑張るわ。」

 フィリアは宙に魔法陣を展開させると防御壁を張った。

 そして、聖なる歌を歌う。
 
 ニフエルは、光の柱を四方に出現させ、暗黒龍から逃げ道を奪う。

 フィリアは、願いを込めて歌う。

 歌は空に広がり、空から雲を払う。

 太陽の光が溢れ、暗黒龍を照らす。

 太陽の光は姿を変え、空に巨大な魔法陣を浮かび上がらせる。

 暗黒龍は、黒い炎を放つが、光にそれは溶かされて消される。

 暗黒龍の咆哮が響く。

 光の魔法陣は、くるくると回転すると暗黒龍の体を包み込む。

 光が増していく中、フィリアは歌い続ける。

 そんなフィリアに、暗黒龍は体当たりをする。

 だが、防御壁で防がれる。

 それでも、何度も、暗黒龍はぶつかる。

 だが、光がどんどんと強くなり、暗黒龍は、ついに悲鳴を上げた。

 そして、それと同時に世界に光が溢れる。

 閃光のような光に包まれ、フィリアは、自分の中の力がごっそりと抜け落ちたのを感じた。

 光が、見えた。

「グリード。」

 光の中に、龍がいる。

 龍が、姿を変える。

「グリード!」

 手を伸ばす。

 人の姿となった龍。

 だが、次の瞬間、言葉を失う。

 その背に生える翼は、漆黒であった。

 

 
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