40 / 159
第一章
秋の季節39
しおりを挟む
フィリアはグリードと分かれるとカフェへと向かった。
カフェにはすでに3人が集まっており、フィリアはにやにやをどうにか堪えた。
「皆様、お待たせいたしました。」
「いいえ。あの、、今日からよろしくお願い致します。」
マリアがそういい、フィリアはにっこりと微笑んだ。
「とても嬉しいですわ。よろしくお願い致します。それでは、今日はまずマリア様のお話から伺いましょう?」
それからは一気にガールズトークの始まりである。
マリアはロイについて話し始めた、皆で意見を出したり、共感したりしながら話は進む。
こういう時、女子に生まれて良かったなと思う。
そして話の中で思ったのは、マリアはやはり頭がよく、ロイの考えなどお見通しだなということであった。
「ロイ様はよくも悪くも教科書通りの人なのです。それが悪いとは申しませんが、分かりやすいだけに、あぁ、またかと思ってしまう自分が悲しいのです。」
そう言うマリアに、エマとクロエラは涙を浮かべて聞き入っている。
フィリアは、心の中でロイに、ほら見ろ!全てお見通しだぞと言ってやりたかった。
「フィリア様。何か良いアイディアはないでしょうか。どうにかして、ロイ様を振り向かせたいのです。」
瞳が微かに潤み、必死な様子のマリアにフィリアは頷きにこりと笑った。
「もうすぐ、秋の紅葉狩りがありますわ。そこでロイ様と一緒に運営委員になってみてはどうでしょうか?」
その言葉に3人は瞳を輝かせた。
「良い考えね!」
「たしかに、それなら一緒にいる時間が長くなるわね。」
「ですがロイ様は委員になるでしょうか?」
不安げなマリアにフィリアは頷いた。
「責任感の強いロイ様ですもの。しますわよ。」
フィリアがそう言うとそうなる気がするから不思議だと3人は思っていた。
フィリアはゲームの流れを知っているから確信を持って言っているだけなのだが、3人の中では少しずつ恋愛マスターのような位置にフィリアがなってきていた。
ただ一言言っておこう。
フィリアは生まれてこの方、グリードという大きな壁のおさげで普通の令嬢よりも異性との関わりがない。
はっきり言って、全くない。
あるのはゲームの知識のみだ。
それでもこの時に限ってはフィリアの知識はとても有用なものである。
「皆様、幸せになって下さいませね。」
3人はフィリアの言葉に頬を染めて頷いた。
ただ、先程のロイの姿を思い出すと頭が痛くなってくる。
だが、そんな腑抜けたことを言えるのは今だけである。
秋の一大イベントである紅葉狩り。この好感度が上がれば平静ではいられなくなるだろう。
フィリアはほくそ笑んだ。
ロイ様。
先程の言葉、しっかり手のひら返し、して下さいませね。
フィリアは心の中でそう呟いた。
カフェにはすでに3人が集まっており、フィリアはにやにやをどうにか堪えた。
「皆様、お待たせいたしました。」
「いいえ。あの、、今日からよろしくお願い致します。」
マリアがそういい、フィリアはにっこりと微笑んだ。
「とても嬉しいですわ。よろしくお願い致します。それでは、今日はまずマリア様のお話から伺いましょう?」
それからは一気にガールズトークの始まりである。
マリアはロイについて話し始めた、皆で意見を出したり、共感したりしながら話は進む。
こういう時、女子に生まれて良かったなと思う。
そして話の中で思ったのは、マリアはやはり頭がよく、ロイの考えなどお見通しだなということであった。
「ロイ様はよくも悪くも教科書通りの人なのです。それが悪いとは申しませんが、分かりやすいだけに、あぁ、またかと思ってしまう自分が悲しいのです。」
そう言うマリアに、エマとクロエラは涙を浮かべて聞き入っている。
フィリアは、心の中でロイに、ほら見ろ!全てお見通しだぞと言ってやりたかった。
「フィリア様。何か良いアイディアはないでしょうか。どうにかして、ロイ様を振り向かせたいのです。」
瞳が微かに潤み、必死な様子のマリアにフィリアは頷きにこりと笑った。
「もうすぐ、秋の紅葉狩りがありますわ。そこでロイ様と一緒に運営委員になってみてはどうでしょうか?」
その言葉に3人は瞳を輝かせた。
「良い考えね!」
「たしかに、それなら一緒にいる時間が長くなるわね。」
「ですがロイ様は委員になるでしょうか?」
不安げなマリアにフィリアは頷いた。
「責任感の強いロイ様ですもの。しますわよ。」
フィリアがそう言うとそうなる気がするから不思議だと3人は思っていた。
フィリアはゲームの流れを知っているから確信を持って言っているだけなのだが、3人の中では少しずつ恋愛マスターのような位置にフィリアがなってきていた。
ただ一言言っておこう。
フィリアは生まれてこの方、グリードという大きな壁のおさげで普通の令嬢よりも異性との関わりがない。
はっきり言って、全くない。
あるのはゲームの知識のみだ。
それでもこの時に限ってはフィリアの知識はとても有用なものである。
「皆様、幸せになって下さいませね。」
3人はフィリアの言葉に頬を染めて頷いた。
ただ、先程のロイの姿を思い出すと頭が痛くなってくる。
だが、そんな腑抜けたことを言えるのは今だけである。
秋の一大イベントである紅葉狩り。この好感度が上がれば平静ではいられなくなるだろう。
フィリアはほくそ笑んだ。
ロイ様。
先程の言葉、しっかり手のひら返し、して下さいませね。
フィリアは心の中でそう呟いた。
10
お気に入りに追加
1,630
あなたにおすすめの小説
逃げて、追われて、捕まって
あみにあ
恋愛
平民に生まれた私には、なぜか生まれる前の記憶があった。
この世界で王妃として生きてきた記憶。
過去の私は貴族社会の頂点に立ち、さながら悪役令嬢のような存在だった。
人を蹴落とし、気に食わない女を断罪し、今思えばひどい令嬢だったと思うわ。
だから今度は平民としての幸せをつかみたい、そう願っていたはずなのに、一体全体どうしてこんな事になってしまたのかしら……。
2020年1月5日より 番外編:続編随時アップ
2020年1月28日より 続編となります第二章スタートです。
**********お知らせ***********
2020年 1月末 レジーナブックス 様より書籍化します。
それに伴い短編で掲載している以外の話をレンタルと致します。
ご理解ご了承の程、宜しくお願い致します。
嫌われ者の悪役令嬢の私ですが、殿下の心の声には愛されているみたいです。
深月カナメ
恋愛
婚約者のオルフレット殿下とメアリスさんが
抱き合う姿を目撃して倒れた後から。
私ことロレッテは殿下の心の声が聞こえる様になりました。
のんびり更新。
悪役令嬢でも素材はいいんだから楽しく生きなきゃ損だよね!
ペトラ
恋愛
ぼんやりとした意識を覚醒させながら、自分の置かれた状況を考えます。ここは、この世界は、途中まで攻略した乙女ゲームの世界だと思います。たぶん。
戦乙女≪ヴァルキュリア≫を育成する学園での、勉強あり、恋あり、戦いありの恋愛シミュレーションゲーム「ヴァルキュリア デスティニー~恋の最前線~」通称バル恋。戦乙女を育成しているのに、なぜか共学で、男子生徒が目指すのは・・・なんでしたっけ。忘れてしまいました。とにかく、前世の自分が死ぬ直前まではまっていたゲームの世界のようです。
前世は彼氏いない歴イコール年齢の、ややぽっちゃり(自己診断)享年28歳歯科衛生士でした。
悪役令嬢でもナイスバディの美少女に生まれ変わったのだから、人生楽しもう!というお話。
他サイトに連載中の話の改訂版になります。
88回の前世で婚約破棄され続けて男性不信になった令嬢〜今世は絶対に婚約しないと誓ったが、なぜか周囲から溺愛されてしまう
冬月光輝
恋愛
ハウルメルク公爵家の令嬢、クリスティーナには88回分の人生の記憶がある。
前世の88回は全てが男に婚約破棄され、近しい人間に婚約者を掠め取られ、悲惨な最期を遂げていた。
彼女は88回の人生は全て自分磨きに費やしていた。美容から、勉学に運動、果てには剣術や魔術までを最高レベルにまで極めたりした。
それは全て無駄に終わり、クリスは悟った。
“男は必ず裏切る”それなら、いっそ絶対に婚約しないほうが幸せだと。
89回目の人生を婚約しないように努力した彼女は、前世の88回分の経験値が覚醒し、無駄にハイスペックになっていたおかげで、今更モテ期が到来して、周囲から溺愛されるのであった。しかし、男に懲りたクリスはただひたすら迷惑な顔をしていた。
【完結】番である私の旦那様
桜もふ
恋愛
異世界であるミーストの世界最強なのが黒竜族!
黒竜族の第一皇子、オパール・ブラック・オニキス(愛称:オール)の番をミースト神が異世界転移させた、それが『私』だ。
バールナ公爵の元へ養女として出向く事になるのだが、1人娘であった義妹が最後まで『自分』が黒竜族の番だと思い込み、魅了の力を使って男性を味方に付け、なにかと嫌味や嫌がらせをして来る。
オールは政務が忙しい身ではあるが、溺愛している私の送り迎えだけは必須事項みたい。
気が抜けるほど甘々なのに、義妹に邪魔されっぱなし。
でも神様からは特別なチートを貰い、世界最強の黒竜族の番に相応しい子になろうと頑張るのだが、なぜかディロ-ルの侯爵子息に学園主催の舞踏会で「お前との婚約を破棄する!」なんて訳の分からない事を言われるし、義妹は最後の最後まで頭お花畑状態で、オールを手に入れようと男の元を転々としながら、絡んで来ます!(鬱陶しいくらい来ます!)
大好きな乙女ゲームや異世界の漫画に出てくる「私がヒロインよ!」な頭の変な……じゃなかった、変わった義妹もいるし、何と言っても、この世界の料理はマズイ、不味すぎるのです!
神様から貰った、特別なスキルを使って異世界の皆と地球へ行き来したり、地球での家族と異世界へ行き来しながら、日本で得た知識や得意な家事(食事)などを、この世界でオールと一緒に自由にのんびりと生きて行こうと思います。
前半は転移する前の私生活から始まります。
【完結】実は白い結婚でしたの。元悪役令嬢は未亡人になったので今度こそ推しを見守りたい。
氷雨そら
恋愛
悪役令嬢だと気がついたのは、断罪直後。
私は、五十も年上の辺境伯に嫁いだのだった。
「でも、白い結婚だったのよね……」
奥様を愛していた辺境伯に、孫のように可愛がられた私は、彼の亡き後、王都へと戻ってきていた。
全ては、乙女ゲームの推しを遠くから眺めるため。
一途な年下枠ヒーローに、元悪役令嬢は溺愛される。
断罪に引き続き、私に拒否権はない……たぶん。
オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!
みさちぃ
恋愛
50歳近くのおばさんが異世界転生した!
転生したら普通チートじゃない?何もありませんがっ!!
前世で苦しい思いをしたのでもう一人で生きて行こうかと思います。
とにかく目指すは自由気ままなスローライフ。
森で調合師して暮らすこと!
ひとまず読み漁った小説に沿って悪役令嬢から国外追放を目指しますが…
無理そうです……
更に隣で笑う幼なじみが気になります…
完結済みです。
なろう様にも掲載しています。
副題に*がついているものはアルファポリス様のみになります。
エピローグで完結です。
番外編になります。
※完結設定してしまい新しい話が追加できませんので、以後番外編載せる場合は別に設けるかなろう様のみになります。
転生令嬢の涙 〜泣き虫な悪役令嬢は強気なヒロインと張り合えないので代わりに王子様が罠を仕掛けます〜
矢口愛留
恋愛
【タイトル変えました】
公爵令嬢エミリア・ブラウンは、突然前世の記憶を思い出す。
この世界は前世で読んだ小説の世界で、泣き虫の日本人だった私はエミリアに転生していたのだ。
小説によるとエミリアは悪役令嬢で、婚約者である王太子ラインハルトをヒロインのプリシラに奪われて嫉妬し、悪行の限りを尽くした挙句に断罪される運命なのである。
だが、記憶が蘇ったことで、エミリアは悪役令嬢らしからぬ泣き虫っぷりを発揮し、周囲を翻弄する。
どうしてもヒロインを排斥できないエミリアに代わって、実はエミリアを溺愛していた王子と、その側近がヒロインに罠を仕掛けていく。
それに気づかず小説通りに王子を籠絡しようとするヒロインと、その涙で全てをかき乱してしまう悪役令嬢と、間に挟まれる王子様の学園生活、その意外な結末とは――?
*異世界ものということで、文化や文明度の設定が緩めですがご容赦下さい。
*「小説家になろう」様、「カクヨム」様にも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる