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第十七話 発光する光
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ユグドラシルとガジェラルらは場所を移動し、ガジェラルの住む暗黒の城へと足を踏み入れていた。
その外装は黒曜石であり、怪しく輝くその城は、恐ろしさをさらに引き立てているように思えた。
一室に案内されたユグドラシルとルシフェルは、人型の魔人らが城の中で働いているのを見て少し驚いていた。
人型の魔人はほとんど確認された事がないとされており、おそらくそんな姿をまじかで見ることが出来るのはユグドラシルくらいのものであろう。
ガジェラルの城は封印されし森の中央に位置し、その禍々しい力が最も濃い場所となっていた。
ユグドラシルは周りをきょろきょろと見まわしながら、城の内装のそのあまりの美しさに目を奪われていた。
「ルシフェルすごいねぇ。なんか、かっこいいね。」
森の清らかな自然を愛するルシフェルにとっては、禍々しいこの城のどこがかっこいいのかさっぱりわからなかったが、その言葉を否定するわけにもいかずただ黙っていた。
そして、ユグドラシルの目の前に出されたお茶らしきものを目にしたルシフェルは息を飲んだ。
黒々としたその飲み物は、絶対に普通の人が飲んではならない代物だろうと一目で分かる。
「さぁ、冷めないうちに。」
ガジェラルにそう促され、ルシフェルが止める間もなくユグドラシルはにこにことした表情でそれを口にした。
「どうだ?」
「おいしぃ。チョコレート?」
「ほう。チョコレートを知っているか?これは人の国にはない物だと思ったのだが。」
「え?えーっと。はい。その、本で!本で読んで知っていたのだと思います。」
「本?あー。あの、人が文字で書き残した書物か。」
「はい。」
「人間とは本当に面白い物を発明するものだ。それで、本題に移る前に、名を名乗っておこう。私はこの森の王であるガジェラル。そなたは?」
「私はユグドラシル。こっちが精霊の王のルシフェル。」
ルシフェルは姿を変えると、ユグドラシルの横に座った。
その牽制するような様子に、ガジェラルは笑みを浮かべると言った。
「精霊の・・王か。では、ユグドラシルは何なのだ?」
「私?」
自分について聞かれるなど思っていなかったユグドラシルは、自分自身で亡国のお姫様なんですとは言うのが恥ずかしくて、どうしようかと考えているうちに、ルシフェルが口を開いた。
「彼女は我らが姫君。精霊の守護を受けし乙女だ。」
ユグドラシルはそれを聞き恥ずかしさに内心身悶えた。
ガジェラルはそれを聞き、目を細めるとユグドラシルを見て言った。
「なるほどな。では、先ほどの取引について話を聞こうか?」
ガジェラルの言葉に、ユグドラシルはほっとすると、表情を引き締めて言った。
「あの光の正体を私は知っていて、それを取り除くことも出来ます。」
「ほう。それで?あれは何だ?」
あまり信用してほいないのだろう。ガジェラルの言葉は冷たいものだったが、ユグドラシルはにっこりと笑みを深めると言った。
「その前に取引です。」
「ふん。取引内容は?」
「あれを取り除く代わりに、私の見方になっていただきたい。」
「味方?まさか、人同士の戦争に我らを使おうというのか?」
その言葉にユグドラシルは目を丸くすると慌てて首を横にふった。
「まさか!その逆です。」
「逆?」
ユグドラシルは満面の笑顔で頷いた。
「はい。戦争に加担しないで下さい。」
その言葉に、ガジェラルもルシフェルも目を丸くするのであった。
その外装は黒曜石であり、怪しく輝くその城は、恐ろしさをさらに引き立てているように思えた。
一室に案内されたユグドラシルとルシフェルは、人型の魔人らが城の中で働いているのを見て少し驚いていた。
人型の魔人はほとんど確認された事がないとされており、おそらくそんな姿をまじかで見ることが出来るのはユグドラシルくらいのものであろう。
ガジェラルの城は封印されし森の中央に位置し、その禍々しい力が最も濃い場所となっていた。
ユグドラシルは周りをきょろきょろと見まわしながら、城の内装のそのあまりの美しさに目を奪われていた。
「ルシフェルすごいねぇ。なんか、かっこいいね。」
森の清らかな自然を愛するルシフェルにとっては、禍々しいこの城のどこがかっこいいのかさっぱりわからなかったが、その言葉を否定するわけにもいかずただ黙っていた。
そして、ユグドラシルの目の前に出されたお茶らしきものを目にしたルシフェルは息を飲んだ。
黒々としたその飲み物は、絶対に普通の人が飲んではならない代物だろうと一目で分かる。
「さぁ、冷めないうちに。」
ガジェラルにそう促され、ルシフェルが止める間もなくユグドラシルはにこにことした表情でそれを口にした。
「どうだ?」
「おいしぃ。チョコレート?」
「ほう。チョコレートを知っているか?これは人の国にはない物だと思ったのだが。」
「え?えーっと。はい。その、本で!本で読んで知っていたのだと思います。」
「本?あー。あの、人が文字で書き残した書物か。」
「はい。」
「人間とは本当に面白い物を発明するものだ。それで、本題に移る前に、名を名乗っておこう。私はこの森の王であるガジェラル。そなたは?」
「私はユグドラシル。こっちが精霊の王のルシフェル。」
ルシフェルは姿を変えると、ユグドラシルの横に座った。
その牽制するような様子に、ガジェラルは笑みを浮かべると言った。
「精霊の・・王か。では、ユグドラシルは何なのだ?」
「私?」
自分について聞かれるなど思っていなかったユグドラシルは、自分自身で亡国のお姫様なんですとは言うのが恥ずかしくて、どうしようかと考えているうちに、ルシフェルが口を開いた。
「彼女は我らが姫君。精霊の守護を受けし乙女だ。」
ユグドラシルはそれを聞き恥ずかしさに内心身悶えた。
ガジェラルはそれを聞き、目を細めるとユグドラシルを見て言った。
「なるほどな。では、先ほどの取引について話を聞こうか?」
ガジェラルの言葉に、ユグドラシルはほっとすると、表情を引き締めて言った。
「あの光の正体を私は知っていて、それを取り除くことも出来ます。」
「ほう。それで?あれは何だ?」
あまり信用してほいないのだろう。ガジェラルの言葉は冷たいものだったが、ユグドラシルはにっこりと笑みを深めると言った。
「その前に取引です。」
「ふん。取引内容は?」
「あれを取り除く代わりに、私の見方になっていただきたい。」
「味方?まさか、人同士の戦争に我らを使おうというのか?」
その言葉にユグドラシルは目を丸くすると慌てて首を横にふった。
「まさか!その逆です。」
「逆?」
ユグドラシルは満面の笑顔で頷いた。
「はい。戦争に加担しないで下さい。」
その言葉に、ガジェラルもルシフェルも目を丸くするのであった。
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