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八話 デートの申し込み

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 ロラン様との出会いがあった数日後、私の元には、ロラン様から先日の感謝の手紙と花束が届いていた。その花は自室に飾られており、その花を見るたびに、私は笑みを深めた。

「とても律儀な方よね。ふふ」

 花を見るたびに、何故か心が浮き立つのだから、私は花とはこんなにも人の心を豊かにするのだなと感じていた。

 そしてあれからロラン様とは手紙のやり取りをしており、心のこもった手紙を見るたびに、アベル様とは大違いだわと内心思うのだった。

 アベル様との婚約破棄は正式に受理されお父様がしっかりと慰謝料を支払うように、浮気の証拠等々をアベル様の両親にも見せたようであった。

 元々噂になっているくらいであるから、アベル様の両親も項垂れながらもすぐに慰謝料にも応じてくれたようであった。

 私はというと、現在、ちらほらと婚約申し込みの釣書が届いており、目を通すようにと両親から話を受けていた。

「さぁ、気合を入れてみましょうか。このままふらふらとはしていられないものね……」

 自分がまた恋愛できるのかどうかはわからないが、それでも今後ずっと家にいるわけにはいかない。侯爵家はお兄様が継いでいくので、自分はどこかへと嫁がなければならないのである。

「あら?……これ」

 婚約申し込みの釣書と共に、見覚えのある手紙が届いており私はそれをどきどきとしながら開いた。

「えっと……まぁ」

 驚いていると、控えていた侍女がほほえましげに言った。

「一目ぼれではないでしょうか」

「え? まさか」

 それはロラン様からの手紙であり、控えめながらも自分に好意があることを感じ取れるものであった。婚約申し込みの釣書と共に送られてきているのだから、もちろん、結婚を前提にということなのだろう。

 ロラン様の実家は代々王家の騎士の家系であり、侯爵の爵位を賜っている。

 家柄的には問題なく、私は手紙を見つめながらつぶやいた。

「今度、お食事でも一緒にどうですかってお誘いがあるわ……そうよね、まずは人柄を知るのも、いいわよね」

 すぐに婚約というのは、まだ勇気が出ない。

「お嬢様、幸せになってくださいませね」

 昔からずっと自分の世話をしてくれる侍女たちは、私の姿をほほえまし気に見つめており少し恥ずかしくなる。

「えぇ。今度こそ、頑張るわ」

 私は両親にロラン様と一度食事をしてみようと思うことを伝えると、それはいいと、賛成してくれたのであった。


 セリーナから手紙の返事があったロランはその日はかなり浮かれていた。ただし、女性経験がほぼ皆無であるからこそ、スコットとベルタに相談すると二人はあーでもないこーでもないと、ロランに向かって女性をどう扱うべきかを教えていったのであった。

 ただし、ロランにとってはかなり敷居が高く、ロランは諦めて誠心誠意自分らしくセリーナと過ごそうと決意するのであった。


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