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十三話
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私はそれから妖精さん達の力を借りて、一瞬でフィガロ王国へと戻った。銀髪さんともう会えない事は少しだけさびしかったけれども、誘拐犯である彼と仲良くなることは出来ない。
別れはあっさりとしたものであったが、銀髪さんは最後に頭を深く下げて、別れを告げてくれた。
アシュタル国の事は取りあえずは片付いたし、四人も怒ってはいないようだったのでかなりほっとした。だから油断していたのだ。
私は疲れ果てていたので早くお風呂に入ってベッドへと行きたいと思っていた。だが、私を待ち受けていたのは、笑顔を張り付けた四人の目の前で正座をすると言う苦行であった。
「えーっと・・あれ、やっぱり怒っていらっしゃる?」
前のように、怖い感じはしないのだけれど、やっぱり笑顔で怒ってるのかと上目使いで見上げると、四人の表情が一瞬揺らぐ。
「卑怯だ・・」
「可愛いからって何でも許されるわけじゃないぞ。」
「だが、許してしまいたくなります。」
「心を鬼にするんだ。そうじゃなきゃ、今回の二の舞だ。」
四人のぶつぶつと言った言葉が聞き取れずに小首をかしげると、目を反らされた。やはり怒っているのだろう。
確かに今回の事は私が悪い部分もあった。それに恐らく私はこの中でも最も年長者。大人の余裕を見せなければならないだろう。
「ごめんなさい。勝手な事をして。皆、怒っているよね?」
そう言うと、四人は両手で顔を覆った。
顔も会わせたくなくなったのだろうかと思うと、少し胸が痛み、この数日間で感じた事を素直に伝えることにした。
たとえビッチだと罵られようとも、心に素直になろうと思う。
恥ずかしい。
心底恥ずかしいが、女は度胸だ。
「私ね・・この数日間皆に会えなくて、寂しかった。それで、やっと気づいたの。私、あの・・・カインのこともライのことも、クレストのことも、エバンのことも・・・その・・・・す・・・すき・・・・になっているの・・その・・今更・・・遅いかもしれないけど。」
震えそうになる声を必至に押し出してそう言うと、大きく息を吐いて、勇気を振り絞って四人を見た。
四人はしゃがみこんで、腕で顔を囲むと、耳まで真っ赤にしながら呻き声を上げている。何というか、男性のこんな姿は初めて見るので、どう思ったのかは理解に苦しむ。
「え?あの・・聞こえた?」
思わずそう尋ねると、四人が何かぼそぼそと言っているのがかすかに聞こえるが、何と言っているのか分からない。
「もう、我慢しなくていいんじゃないか?」
「けど、いきなり四人の相手は無理でしょ。」
「そうですね。疲れているでしょうし・・・」
「あぁ、いいことと思いついた。なら、今回のお詫びってことで・・・ごにょごにょごにょ・・・」
四人の瞳は輝いた。
『名案だ!』
小さな声で四人で何を会話していたのだろうかとルカは眉間にしわを寄せると、四人が優しく私を引き起こすと取り囲むようにして抱きしめてくれた。
みんなで抱き合っていると、おしくらまんじゅうを思い出す。
「許してくれるの?」
私の声に、四人は大きく息を吐くと言った。
「許す。」
「でも、もう絶対に危ない事には首を突っ込まないでね。」
「そうですよ。私達を頼って下さい。私達、それなりに強いですから。」
「そうそう。だけどね、ルカ。無条件に許すことは出来ないから、俺達のお願い事を一つ聞いて。」
四人の言葉に私はこくりと素直に頷いた。自分の為にきっと四人は寝る間も惜しんで様々な所に手を回し、アシュタル国と同盟を結んでくれたのだろう。それはルカにだって分かる。
「私にできる事なら、なんでもする。」
真剣な表情でそう言うと、四人の喉がごくりと鳴った。それと同時に私の背筋には悪寒が走った。
別れはあっさりとしたものであったが、銀髪さんは最後に頭を深く下げて、別れを告げてくれた。
アシュタル国の事は取りあえずは片付いたし、四人も怒ってはいないようだったのでかなりほっとした。だから油断していたのだ。
私は疲れ果てていたので早くお風呂に入ってベッドへと行きたいと思っていた。だが、私を待ち受けていたのは、笑顔を張り付けた四人の目の前で正座をすると言う苦行であった。
「えーっと・・あれ、やっぱり怒っていらっしゃる?」
前のように、怖い感じはしないのだけれど、やっぱり笑顔で怒ってるのかと上目使いで見上げると、四人の表情が一瞬揺らぐ。
「卑怯だ・・」
「可愛いからって何でも許されるわけじゃないぞ。」
「だが、許してしまいたくなります。」
「心を鬼にするんだ。そうじゃなきゃ、今回の二の舞だ。」
四人のぶつぶつと言った言葉が聞き取れずに小首をかしげると、目を反らされた。やはり怒っているのだろう。
確かに今回の事は私が悪い部分もあった。それに恐らく私はこの中でも最も年長者。大人の余裕を見せなければならないだろう。
「ごめんなさい。勝手な事をして。皆、怒っているよね?」
そう言うと、四人は両手で顔を覆った。
顔も会わせたくなくなったのだろうかと思うと、少し胸が痛み、この数日間で感じた事を素直に伝えることにした。
たとえビッチだと罵られようとも、心に素直になろうと思う。
恥ずかしい。
心底恥ずかしいが、女は度胸だ。
「私ね・・この数日間皆に会えなくて、寂しかった。それで、やっと気づいたの。私、あの・・・カインのこともライのことも、クレストのことも、エバンのことも・・・その・・・・す・・・すき・・・・になっているの・・その・・今更・・・遅いかもしれないけど。」
震えそうになる声を必至に押し出してそう言うと、大きく息を吐いて、勇気を振り絞って四人を見た。
四人はしゃがみこんで、腕で顔を囲むと、耳まで真っ赤にしながら呻き声を上げている。何というか、男性のこんな姿は初めて見るので、どう思ったのかは理解に苦しむ。
「え?あの・・聞こえた?」
思わずそう尋ねると、四人が何かぼそぼそと言っているのがかすかに聞こえるが、何と言っているのか分からない。
「もう、我慢しなくていいんじゃないか?」
「けど、いきなり四人の相手は無理でしょ。」
「そうですね。疲れているでしょうし・・・」
「あぁ、いいことと思いついた。なら、今回のお詫びってことで・・・ごにょごにょごにょ・・・」
四人の瞳は輝いた。
『名案だ!』
小さな声で四人で何を会話していたのだろうかとルカは眉間にしわを寄せると、四人が優しく私を引き起こすと取り囲むようにして抱きしめてくれた。
みんなで抱き合っていると、おしくらまんじゅうを思い出す。
「許してくれるの?」
私の声に、四人は大きく息を吐くと言った。
「許す。」
「でも、もう絶対に危ない事には首を突っ込まないでね。」
「そうですよ。私達を頼って下さい。私達、それなりに強いですから。」
「そうそう。だけどね、ルカ。無条件に許すことは出来ないから、俺達のお願い事を一つ聞いて。」
四人の言葉に私はこくりと素直に頷いた。自分の為にきっと四人は寝る間も惜しんで様々な所に手を回し、アシュタル国と同盟を結んでくれたのだろう。それはルカにだって分かる。
「私にできる事なら、なんでもする。」
真剣な表情でそう言うと、四人の喉がごくりと鳴った。それと同時に私の背筋には悪寒が走った。
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