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十一話

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 カイン、ライ、クレスト、エバンはアシュタル国の秘密要塞である基地を破壊しつくし、そしてやっと取り戻すことが出来ると思った妻が、銀髪の男と逃げたという事実に、打ちひしがれていた。

「何が・・悪かったんだ。」

「助けに来たのに。」

「ふふ・・ルカは優しいから騙されたのです。」

「ルカ・・・ルカ・・・。」

 四人の事を知る人間が居たならば、人間凶器ともいえる四人組がこうも気落ちしている姿に明日世界が亡びるのではないかと思うだろう。

 顔色の悪い四人は、とにかくアシュタル国の者達を捕虜として捕まえると、ルカの行方を追うためにどうにか心を奮い立たせる。

 精霊や妖精が入ってこれないように敷地内には結界が張られていたが、すでにそれも敗れている。ルカは妖精と共にいるであろうから危険はないと思うが、銀髪の男が傍にいるという事が納得がいかない。

「あの銀髪は、アシュタル国の王家の者だな。」

「けどアシュタル国は小国で、フィガロ王国に喧嘩を売るとは思えないけど。」

「あぁ、多分現王の弟のジリアン王子でしょう。・・ジリアン王子は元々頭の良い王子だと聞くので現状のままではアシュタル王国が亡びる事を感じ、強硬にでたのでしょうね。」

「あぁ・・・アシュタル国からつぶしに行くか?」

 四人はそうしたい衝動に駆られるが、それを知った時にルカがどう思うだろうかと考えると、実行には移せない。

「ルカは優しいからな。」

「僕達がそんなことしたら、軽蔑されそう。」

「えぇ、得策ではないでしょうねぇ・・・」

「ならどうするんだよ。」

 ただでさえ怒りを露わにした自分達の姿を見て怖がらせてしまっている。さらに怖がらせた場合、離縁とか言い始めたら、自分達にはどうすることもできない。

 もし妖精を敵に回したとしても、四人はルカを手放す気はない。

「怖がらせないように。」

「僕達の傍が一番と思わせるように。」

「アシュタル国は心配ないと思えるように」

「俺達の所へ未練なく戻ってくるように。」

 四人は大きく息を吐くと、笑顔を張り付けてアシュタル国の王と話をつけるために立ち上がったのであった。
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