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一話
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ぱちぱちと、瞬きを繰り返す事数分。
聞こえてくるのは、小鳥の可愛らしいさえずりと、木々が風に揺れる音だけ。
「わぁ~・・・こんなに静かな所に来たの、初めてー。」
棒読みで、そう呟くのは、今年二十九という三十路まであと一年をきった、源 流華であった。
長く伸びた髪の毛は、ここ一年ほど美容院にもいかずに伸びきっており、髪の毛の手入れが面倒だからといつもゴムで一つに結んでいた。
別に可愛く着飾る事が嫌いな訳ではないのだが、若かったころと違って、男というものに理想を抱かなくなったこともあり、自分磨きもおろそかになっていった。
そろそろ本気で恋愛して結婚しないといけないのかなんて、そんな事を考えながらただ歩いていたのだが、ふと顔を上げると、森の中にいたのである。
一体何があったのだろうかと考えてみるが、何もなかった。トラックにはねられるようなこともないし、魔法陣に飲み込まれるっていうようなこともない。
だが、明らかに自分が歩いていた場所は都会だったはずで、森なんてなかったはずであり、頭の中で異世界転移というネット小説の文字が頭をよぎっていく。
「えー・・まじかぁ・・・どうしようかなぁ・・・」
そう思いながらも、森の風が心地よくて切り株の上へと座って鼻歌でも歌いそうになってしまう。
だが、こうもゆっくりしていられないだろうと頭の中で警笛がなる。なぜならば、お決まりの物語の流れとしたら、私は魔獣に襲われるとか、森の獣に襲われるとか、山賊に襲われるとか、そう言った事が起こるだろうと思ったからである。
「しょーがない。取りあえず、歩いてみるかぁ。」
そう思った時であった。
がさごそっと森の奥から聞こえ、おや、しまったぞ、イベントが始まったのかと身構えてしまう。
何が来るのだろうかと、どきどきと身構えていると、現れたのは、予想外にも、この世のものとは思えないほどのイケメン四人組だった。
しかも、系統の違う四人である。
硬派な黒髪イケメン。小柄なショタイケメン。金髪の王道イケメン。けも耳獣人イケメン。
えーどうしよう。山賊には見えないし、洋服とかの身なりからしても、明らかに高貴な方々って感じである。普通は物語は主人公が危機に瀕している時にイケメンが現れて、そこから王道の恋愛ストーリーではないのだろうか。
けれど、この方々がコスプレイヤーのイケメン達でない限り、恐らくは本当に異世界転移してしまったのかもしれないと考える。
とりあえず、森の中で出会ったのも何かの縁だと頭をぺこりと下げた。
「あ、どうも。コスプレイヤーの方・・ではないですよねぇ?」
そう尋ねると、男性四人は私の事を頭からつま先まで目を見開いてみた後に、首を傾げた。そして硬派な黒髪イケメンが口を開いた。
「こすぷれいやーとやらは・・わからんが・・・ここは精霊の神域・・・そなたは、精霊の愛し子か?我らは愛し子を保護しに来たのだ。」
あぁ、そういう設定ですか?なんて事を思っていた時であった。目の前に大量の小さな妖精達が色とりどりの光を纏って現れて、私は、あ、やっぱり異世界転移かな?なんて、そんな事を考えていた。
聞こえてくるのは、小鳥の可愛らしいさえずりと、木々が風に揺れる音だけ。
「わぁ~・・・こんなに静かな所に来たの、初めてー。」
棒読みで、そう呟くのは、今年二十九という三十路まであと一年をきった、源 流華であった。
長く伸びた髪の毛は、ここ一年ほど美容院にもいかずに伸びきっており、髪の毛の手入れが面倒だからといつもゴムで一つに結んでいた。
別に可愛く着飾る事が嫌いな訳ではないのだが、若かったころと違って、男というものに理想を抱かなくなったこともあり、自分磨きもおろそかになっていった。
そろそろ本気で恋愛して結婚しないといけないのかなんて、そんな事を考えながらただ歩いていたのだが、ふと顔を上げると、森の中にいたのである。
一体何があったのだろうかと考えてみるが、何もなかった。トラックにはねられるようなこともないし、魔法陣に飲み込まれるっていうようなこともない。
だが、明らかに自分が歩いていた場所は都会だったはずで、森なんてなかったはずであり、頭の中で異世界転移というネット小説の文字が頭をよぎっていく。
「えー・・まじかぁ・・・どうしようかなぁ・・・」
そう思いながらも、森の風が心地よくて切り株の上へと座って鼻歌でも歌いそうになってしまう。
だが、こうもゆっくりしていられないだろうと頭の中で警笛がなる。なぜならば、お決まりの物語の流れとしたら、私は魔獣に襲われるとか、森の獣に襲われるとか、山賊に襲われるとか、そう言った事が起こるだろうと思ったからである。
「しょーがない。取りあえず、歩いてみるかぁ。」
そう思った時であった。
がさごそっと森の奥から聞こえ、おや、しまったぞ、イベントが始まったのかと身構えてしまう。
何が来るのだろうかと、どきどきと身構えていると、現れたのは、予想外にも、この世のものとは思えないほどのイケメン四人組だった。
しかも、系統の違う四人である。
硬派な黒髪イケメン。小柄なショタイケメン。金髪の王道イケメン。けも耳獣人イケメン。
えーどうしよう。山賊には見えないし、洋服とかの身なりからしても、明らかに高貴な方々って感じである。普通は物語は主人公が危機に瀕している時にイケメンが現れて、そこから王道の恋愛ストーリーではないのだろうか。
けれど、この方々がコスプレイヤーのイケメン達でない限り、恐らくは本当に異世界転移してしまったのかもしれないと考える。
とりあえず、森の中で出会ったのも何かの縁だと頭をぺこりと下げた。
「あ、どうも。コスプレイヤーの方・・ではないですよねぇ?」
そう尋ねると、男性四人は私の事を頭からつま先まで目を見開いてみた後に、首を傾げた。そして硬派な黒髪イケメンが口を開いた。
「こすぷれいやーとやらは・・わからんが・・・ここは精霊の神域・・・そなたは、精霊の愛し子か?我らは愛し子を保護しに来たのだ。」
あぁ、そういう設定ですか?なんて事を思っていた時であった。目の前に大量の小さな妖精達が色とりどりの光を纏って現れて、私は、あ、やっぱり異世界転移かな?なんて、そんな事を考えていた。
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