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第十四話

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 皆様ごきげんよう。

 はい。

 オーレリア様がいない今、私はとても寂しいのですがそれは皆様同じようです。

 クラスでもやはりいつもより活気がありません。

 そう思っていたら、何でしょうか。

 いつのまにやらオーレリア様ファンクラブなるものが結成されまして、様々なグッズが販売され始めましたの。

 その収益は、寄付金に回されるとのことです。

 え?

 はい。

 私ももちろんファンクラブ会員になりましたよ?

 最近買ったズックのお気に入りは、オーレリア様を模した凛とした花の柄の入ったハンカチーフです。こちらは限定品でして、かなりレアです。

 ふふ。

 因みに、ヨハン様もアレクシス様もさりげなくハンカチーフをゲットされたようでして、嬉しそうに見つめる姿を目撃しました。

 マリア様はそんなアレクシス様を見て少しばかり引いたようです。

 もう、思う存分引いたほうが幸せになれると思いますが。

「少しよろしいかしら?」

 はい。

 マリア様に捕まりました。

 そのまま中庭の方まで手を繋がれて連れられていきます。

 そしてベンチに腰掛けるとマリア様は悲しげな表情で言いました。

「失敗しました。アレク様に、嫌われました。」

 はい。

 見ていました。

「もう、イライラ来て、私の何が行けないんですかね?!私こんなに可愛いのに。」

 え、それ自分で言います? 

「ねぇ、教えて。友達でしょう?」

 あれ?いつの間に友達?

 ですが何ですかね。

 ここまで駄目駄目だと、何だか見捨てられない気がしてくるのです。

「マリア様、あの、はっきり申し上げてもよろしいかしら?」

「ええ。」

「貴族の結婚とは、親同士、家柄同士で決められるのが常ですわ。好きな相手と結婚出来るとは限りません。」

「そんなの、わかっているわ。」

 え?分かっていたの?

「でも、学生の今くらい夢を見ても、、、いいじやない。」

「いえ、駄目です。」

 おっと、心の声がそのままでましたら、マリア様のお顔が怖いです。

「何で?」

「これからも貴族は繋がっていくのですよ?それなのに殿方に自分からアピールして、振られて、貴方の価値が下がります。」

「え。」

 マリアは顔を青ざめさせるとしょんぼりと肩を落とした。

「なら、私はどうしたらいいの?」

「勉強をしましょう。」

「は?」

「私が見て差し上げます。そうすればきっと良縁に恵まれるでしょう。」

 はい。レベルあげですよ。

 多分ですが、マリア様はレベル上げをしていません。

 そんな状態では好感度が上がるわけがありません。

 レッツ、レベル上げ! 

「どうします?」

 マリア様の瞳に炎が燃えます。

「やってやるわ!」

 こうして、レベル上げが始まりました。

 少しゲームのようで楽しいです。

 では皆様、ごきげんよう。




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