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おまけ 七話

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 ロナウドとヘレンは中庭へと遊びに出ると、綺麗な花を二人で競って摘みはじめた。

「どっちがお母様が喜ぶ花を摘めるか競争よ。」

「僕が勝つけれどね!」

 五歳の二人は快活であり、性格も見た目もそっくりでエヴァンとミラ以外には服装を一緒にしてしまうと見分けがつかないほどであった。

 そんな二人だが、母に対する思いは純粋極まりない。

 二人は母の事が大が付くほどの大好きであった。

「お母様!」

「お母様ぁ~!」

 中庭に日傘を差し立つ母に、二人は駆け寄ると抱き着いた。

「あら、二人とも元気ねぇ。」

 にこやかに笑うミラは二人を生んでなお美しく、優しく抱き留めて微笑む姿は天使のようだと双子は思っていた。

「あのね、お母様。」

「どっちの花の方が好き?」

 二人が差し出した花はどちらも同じ花。白色の美しい花であり、二人は顔を見合わせると眉間にしわを寄せた。

「真似したな!」

「そっちこそ!」

 そんな二人をミラはぎゅーっと抱きしめると頬にキスを送って言った。

「どちらも大好きな花だわ。ふふふ。二人は天使みたいに本当に可愛いわね。」

 その言葉に、二人の胸はきゅんと高鳴り、母にべたぁっと引っ付いた。

「天使はお母様だよ。」

「お母様が天使なんだよ。」

「あらあら、ふふふ。ありがとう。」

 二人がべたべたにミラに引っ付いていると、稽古服に身を包んだ父エヴァンが現れ、そんな様子に苦笑を浮かべた。

「何だ。甘えん坊か?」

「あら、お帰りなさい。どうなさったの?」

「時間が開いたから二人の稽古をしようと思ってね。けど、二人は忙しそうだな。」

 そう言われた二人はミラからぱっと離れるとにやぁっと笑って言った。

『お父様、うらやましいんでしょう?』

 双子の挑戦的な言葉にエヴァンはにっこりとほほ笑み返すと、ミラを抱き上げてその唇にキスをした。

「きゃっ!・・・もう!あなた・・子どもの前ですよ。」

 顔を真っ赤にするミラをぎゅっと抱き上げたまま、ドヤ顔でエヴァンは双子を見ると言った。

「どうだ?うらやましいだろう?」

 双子はその様子に頬を膨らませると言った。

「お父様!そんなに意地悪言うなら、夜、お母様を返してあげないから!」

「僕達と一緒にお母様には寝てもらうから!」

 その言葉にエヴァンはうっと言葉を詰まらせる。

「・・・・卑怯だぞ。」

『お母様・・いいでしょう?』

 潤んだ瞳で双子に見上げられたミラは、あまりの可愛らしいお願いに頷いた。

「もちろんよ。」

 エヴァンはがっくりと項垂れ、ミラをゆっくりとその場に下した。

「ミラ・・・もう少し夫を優先してくれてもいいと思う。」

「あら、あなた。だって子ども達は、あと少ししか一緒に寝られないのよ?きっとあと数年もすれば、お母様何てあっち行ってって・・・言われるのよ。」

 悲しげに目を細めるミラに、ロナウドもヘレンも首を横に振った。

「そんなこと言わないよ!」

「言うわけないわ!」

 ぎゅっと抱き着いてくる双子を抱きしめ返しながらミラは微笑んだ。

「ごめんなさいね。そう言うつもりじゃないの。貴方達もそう言う風にきっと親離れをして大きくなっていくの。とても寂しい事だけれど、嬉しい事でもあるのよ。」

 双子はぎゅーぎゅーとミラに抱き着き、エヴァンはため息をつくと言った。

「はぁ。では今日は家族日として四人で出かけるか。」

「あら、よろしいの?」

「少しくらいならいいさ。じゃあ街にでも出かけるか。」

 双子はその言葉に瞳を輝かせるとその場で飛び跳ねて喜んだ。

『やったぁぁぁ!おでかけだぁぁぁ!』

 ミラはそのはしゃぎように微笑むと、エヴァンと手をぎゅっと握りあうのであった。


★★★★★

 ありがたいことに、たくさんの皆様に読んでいただき、とても嬉しかったので、『王家からの招待状編』を更新いたします。こちらはミラが王太子となる第一王子の祝いの席に向かうと言う話で、ミラが返り咲く姿を描いています。

 よろしければどうぞ引き続き、お読みください。



 
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