32 / 95
第三十二話
しおりを挟む
顔が、体が熱い。
まるで体が煮えたぎっているような感覚に、アマリーは自分の心臓の音すら聞こえるような気がした。
ルルドはダンから視線をアマリーへと移すと、困ったような表情を浮かべた。
「アマリー。そんな目で見られては勘違いをしてしまうよ。」
その言葉にアマリーが首を傾げると、ルルドはくすりと笑いアマリーの額に優しくキスを落とした。
突然の事にアマリーは何が起こったのかが分からず、目を丸くすると、ルルドは口元に手を当て、ため息を飲み込みながら言った。
「あまり、誘惑しないでくれ。」
「へ?誘惑?」
「ああ。、、、はぁ。それで?舞踏会はどうだい?キミのお眼鏡にかなう男性はいたのかな?」
「え?えっと、、、、そうですね、、、えー。」
確かに素敵な男性達はたくさんいた。
美しい人、逞しい人、魅惑的な人。
けれど、どの人もアマリーには同じように見えた。
そして、同じように見えない唯一の人が今、目の前にいる。
アマリーは、ルルドの服の袖を掴むと、小さく息を吐いて、気持ちを固めるとゆっくりとルルドを見上げて言った。
「ここに、、、、あの、、います。」
その言葉に、ルルドは一瞬目を見開くと、何かを言いかけて、口を開けたが、そのままゆっくりと閉じると、とても柔らかな笑みを浮かべた。
「それは、私という事で間違いないかな?」
小さくアマリーはこくりと頷くと、恥ずかしさに顔から火が出そうであった。
ルルドは嬉しげに目を細め、アマリーをぎゅっと抱き寄せた。
「本当にいいのかい?素敵な男はいただろうに。」
「ルルド様が、、、、いいのです。」
抱きしめる腕が強められ、アマリーはぴったりとくっついた感覚に心臓が跳ねた。
「あまり可愛い事を言わないでくれ。我慢が効かなくなる。」
「る、、、ルルド様は遠慮しすぎなのです。私は、他の男性を見なくても、、、最初からルルド様が良かったです。ッきゃッ!」
ルルドはその言葉にアマリーの両頬を両手で包むとアマリーの顔をじっと見つめてにやりと笑って言った。
「誘惑するなと言っているのに、本当に私でいいんだな?」
「え?はい。その、、ルルド様が、、、よろしいのであれば。」
顔を真っ赤にするアマリーに、ルルドは満面の笑みを向けるとその唇にキスをした。
アマリーは驚きのあまり硬直したが、触れるだけのキスの甘さに唇が離れるとほうと息をついた。
「良かった。アマリー。愛している。」
「は、、はい。私も、、愛しております。ルルド様。」
ルルドに抱きしめられ、アマリーは幸せを感じていた。
自分を見てくれる人に出会えた事で胸の中が幸せで満たされていく。
舞踏会の音楽が遠くで響いて聞こえる中、アマリーはまるで夢の中にいるような感覚に包まれた。
まるで体が煮えたぎっているような感覚に、アマリーは自分の心臓の音すら聞こえるような気がした。
ルルドはダンから視線をアマリーへと移すと、困ったような表情を浮かべた。
「アマリー。そんな目で見られては勘違いをしてしまうよ。」
その言葉にアマリーが首を傾げると、ルルドはくすりと笑いアマリーの額に優しくキスを落とした。
突然の事にアマリーは何が起こったのかが分からず、目を丸くすると、ルルドは口元に手を当て、ため息を飲み込みながら言った。
「あまり、誘惑しないでくれ。」
「へ?誘惑?」
「ああ。、、、はぁ。それで?舞踏会はどうだい?キミのお眼鏡にかなう男性はいたのかな?」
「え?えっと、、、、そうですね、、、えー。」
確かに素敵な男性達はたくさんいた。
美しい人、逞しい人、魅惑的な人。
けれど、どの人もアマリーには同じように見えた。
そして、同じように見えない唯一の人が今、目の前にいる。
アマリーは、ルルドの服の袖を掴むと、小さく息を吐いて、気持ちを固めるとゆっくりとルルドを見上げて言った。
「ここに、、、、あの、、います。」
その言葉に、ルルドは一瞬目を見開くと、何かを言いかけて、口を開けたが、そのままゆっくりと閉じると、とても柔らかな笑みを浮かべた。
「それは、私という事で間違いないかな?」
小さくアマリーはこくりと頷くと、恥ずかしさに顔から火が出そうであった。
ルルドは嬉しげに目を細め、アマリーをぎゅっと抱き寄せた。
「本当にいいのかい?素敵な男はいただろうに。」
「ルルド様が、、、、いいのです。」
抱きしめる腕が強められ、アマリーはぴったりとくっついた感覚に心臓が跳ねた。
「あまり可愛い事を言わないでくれ。我慢が効かなくなる。」
「る、、、ルルド様は遠慮しすぎなのです。私は、他の男性を見なくても、、、最初からルルド様が良かったです。ッきゃッ!」
ルルドはその言葉にアマリーの両頬を両手で包むとアマリーの顔をじっと見つめてにやりと笑って言った。
「誘惑するなと言っているのに、本当に私でいいんだな?」
「え?はい。その、、ルルド様が、、、よろしいのであれば。」
顔を真っ赤にするアマリーに、ルルドは満面の笑みを向けるとその唇にキスをした。
アマリーは驚きのあまり硬直したが、触れるだけのキスの甘さに唇が離れるとほうと息をついた。
「良かった。アマリー。愛している。」
「は、、はい。私も、、愛しております。ルルド様。」
ルルドに抱きしめられ、アマリーは幸せを感じていた。
自分を見てくれる人に出会えた事で胸の中が幸せで満たされていく。
舞踏会の音楽が遠くで響いて聞こえる中、アマリーはまるで夢の中にいるような感覚に包まれた。
44
お気に入りに追加
3,094
あなたにおすすめの小説
断罪シーンを自分の夢だと思った悪役令嬢はヒロインに成り代わるべく画策する。
メカ喜楽直人
恋愛
さっきまでやってた18禁乙女ゲームの断罪シーンを夢に見てるっぽい?
「アルテシア・シンクレア公爵令嬢、私はお前との婚約を破棄する。このまま修道院に向かい、これまで自分がやってきた行いを深く考え、その罪を贖う一生を終えるがいい!」
冷たい床に顔を押し付けられた屈辱と、両肩を押さえつけられた痛み。
そして、ちらりと顔を上げれば金髪碧眼のザ王子様なキンキラ衣装を身に着けたイケメンが、聞き覚えのある名前を呼んで、婚約破棄を告げているところだった。
自分が夢の中で悪役令嬢になっていることに気が付いた私は、逆ハーに成功したらしい愛され系ヒロインに対抗して自分がヒロインポジを奪い取るべく行動を開始した。
婚約者に消えろと言われたので湖に飛び込んだら、気づけば三年が経っていました。
束原ミヤコ
恋愛
公爵令嬢シャロンは、王太子オリバーの婚約者に選ばれてから、厳しい王妃教育に耐えていた。
だが、十六歳になり貴族学園に入学すると、オリバーはすでに子爵令嬢エミリアと浮気をしていた。
そしてある冬のこと。オリバーに「私の為に消えろ」というような意味のことを告げられる。
全てを諦めたシャロンは、精霊の湖と呼ばれている学園の裏庭にある湖に飛び込んだ。
気づくと、見知らぬ場所に寝かされていた。
そこにはかつて、病弱で体の小さかった辺境伯家の息子アダムがいた。
すっかり立派になったアダムは「あれから三年、君は目覚めなかった」と言った――。
転生おばさんは有能な侍女
吉田ルネ
恋愛
五十四才の人生あきらめモードのおばさんが転生した先は、可憐なお嬢さまの侍女でした
え? 婚約者が浮気? え? 国家転覆の陰謀?
転生おばさんは忙しい
そして、新しい恋の予感……
てへ
豊富な(?)人生経験をもとに、お嬢さまをおたすけするぞ!
命を狙われたお飾り妃の最後の願い
幌あきら
恋愛
【異世界恋愛・ざまぁ系・ハピエン】
重要な式典の真っ最中、いきなりシャンデリアが落ちた――。狙われたのは王妃イベリナ。
イベリナ妃の命を狙ったのは、国王の愛人ジャスミンだった。
短め連載・完結まで予約済みです。設定ゆるいです。
『ベビ待ち』の女性の心情がでてきます。『逆マタハラ』などの表現もあります。苦手な方はお控えください、すみません。
【完】婚約破棄された伯爵令嬢は騎士様と花咲く庭で
えとう蜜夏☆コミカライズ中
恋愛
伯爵令嬢のナターシャは婚約者の子爵子息から運命の恋をしたいと婚約破棄を言い渡された。しかし、実は他に女がいたからだった。
その直後、ナターシャの両親が馬車の事故で亡くなり、途方に暮れていたところ、遠縁を名乗る男爵夫妻が助けにやってきた。ところが、結局は夫妻に伯爵家は乗っ取られ、ナターシャは借金のカタに売り飛ばされることになってしまう。
他サイトでも掲載しております。
Unauthorized duplication is a violation of applicable laws.
ⓒえとう蜜夏(無断転載等はご遠慮ください)
【 完結 】「平民上がりの庶子」と言っただなんて誰が言ったんですか?悪い冗談はやめて下さい!
しずもり
恋愛
ここはチェン王国の貴族子息子女が通う王立学園の食堂だ。確かにこの時期は夜会や学園行事など無い。でもだからってこの国の第二王子が側近候補たちと男爵令嬢を右腕にぶら下げていきなり婚約破棄を宣言しちゃいますか。そうですか。
お昼休憩って案外と短いのですけど、私、まだお昼食べていませんのよ?
突然、婚約破棄を宣言されたのはチェン王国第二王子ヴィンセントの婚約者マリア・べルージュ公爵令嬢だ。彼女はいつも一緒に行動をしているカミラ・ワトソン伯爵令嬢、グレイシー・テネート子爵令嬢、エリザベス・トルーヤ伯爵令嬢たちと昼食を取る為食堂の席に座った所だった。
そこへ現れたのが側近候補と男爵令嬢を連れた第二王子ヴィンセントでマリアを見つけるなり書類のような物をテーブルに叩きつけたのだった。
よくある婚約破棄モノになりますが「ざまぁ」は微ざまぁ程度です。
*なんちゃって異世界モノの緩い設定です。
*登場人物の言葉遣い等(特に心の中での言葉)は現代風になっている事が多いです。
*ざまぁ、は微ざまぁ、になるかなぁ?ぐらいの要素しかありません。
義母たちの策略で悪役令嬢にされたばかりか、家ごと乗っ取られて奴隷にされた私、神様に拾われました。
しろいるか
恋愛
子爵家の経済支援も含めて婚約した私。でも、気付けばあれこれ難癖をつけられ、悪役令嬢のレッテルを貼られてしまい、婚約破棄。あげく、実家をすべて乗っ取られてしまう。家族は処刑され、私は義母や義妹の奴隷にまで貶められた。そんなある日、伯爵家との婚約が決まったのを機に、不要となった私は神様の生け贄に捧げられてしまう。
でもそこで出会った神様は、とても優しくて──。
どん底まで落とされた少女がただ幸せになって、義母たちが自滅していく物語。
婚約破棄されたら人嫌いで有名な不老公爵に溺愛されました~元婚約者達は家から追放されたようです~
琴葉悠
恋愛
かつて、国を救った英雄の娘エミリアは、婚約者から無表情が不気味だからと婚約破棄されてしまう。
エミリアはそれを父に伝えると英雄だった父バージルは大激怒、婚約者の父でありエミリアの親友の父クリストファーは謝るがバージルの気が収まらない。
結果、バージルは国王にエミリアの婚約者と婚約者を寝取った女の処遇を決定するために国王陛下の元に行き――
その結果、エミリアは王族であり、人嫌いで有名でもう一人の英雄である不老公爵アベルと新しく婚約することになった――
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる