3 / 7
三話 義弟がぐいぐいくる
しおりを挟む
「ひゃあっ!!」
驚いて悲鳴を上げると、くすくすという義弟ルイスの笑い声が聞こえてきた。
「る、ルイス? 何? どうして抱き着くのよ!?」
思わずそう声を荒げると、ルイスは流れるような動作でスカーレットのことを横抱きにしてソファへと座った。
突然のことに、スカーレットはされるがままであり、困惑して目を瞬かせた。
「え? え?」
「スカーレット。今日は本当に綺麗だったよ」
「は?」
そう言うと、ルイスはスカーレットの頬にキスをし、そして嬉しそうににこにことほほ笑みながら、スカーレットの頭を優しく撫でる。
いつのまにか大きくなった手で撫でられるのが思いの外気持ちがよく、スカーレットはぼうっとしていたのだが、はっとし、慌ててルイスと距離を取ろうとした。
しかし、ルイスにがっちりと抱き寄せられていて、動けない。
「る、ルイス! 離して頂戴!」
顔を真っ赤にしてスカーレットはそう叫ぶが、ルイスはただ楽しそうで、離す気はないようである。
「ちょっとルイス! やめて。 ちゃんと貴方とは離婚してあげるから、嫌がらせをしないで?!」
その言葉に、部屋の気温が突然低くなったように感じ、ぶるりとスカーレットは身を震わせた。
「離婚なんて、絶対にしないよ」
「え?」
ルイスの方を見ると、先ほどまでにこやかだったのが嘘のようにルイスの瞳は冷めており、スカーレットを優しくソファへと押し倒すと、その両手を片手で押さえ、もう一方の手でスカーレットの頬を撫でる。
「やっと姉さんを合法的に手に入れたんだ。絶対に手放さないから」
「は?」
その言葉にスカーレットが呆然としていると、ルイスは優しく、振れるだけのキスをスカーレットに送った。
ちゅっとリップ音が聞こえ、スカーレットの頭はそれだけで爆発しそうなほどに熱を持つ。
「なっなっな!」
「僕はね、ずっと姉さんのことが好きだったんだ。義父さんも義母さんもそれは知っているよ。僕と姉さんを結婚させてほしいって何度も願った。けど、アゼフがいるからダメだって……でも、今回の婚約破棄には本当に感謝している。そのおかげで、姉さんと結婚できたんだから」
「え?」
呆然とするスカーレットはまさかアゼフとルイスが手を組んでこの婚約破棄を仕組んだのかと思ったが、ルイスがそれを先に否定した。
「言っておくけど、アゼフの婚約破棄については僕はノータッチだよ。あれはただのアゼフの本心」
「え……」
それはそれで問題がある。やはりアゼフは一発撲ろうとスカーレットが心の中で思っていると、ルイスはぎゅっとスカーレットを抱きしめた。
「あぁ……幸せだなぁ」
「ちょ、ちょっと離して」
「うん。ごめんね。スカーレットは、僕と結婚なんてしたくなかったよね」
寂しげな言葉に、スカーレットは思わず息を飲んだ。
驚いて悲鳴を上げると、くすくすという義弟ルイスの笑い声が聞こえてきた。
「る、ルイス? 何? どうして抱き着くのよ!?」
思わずそう声を荒げると、ルイスは流れるような動作でスカーレットのことを横抱きにしてソファへと座った。
突然のことに、スカーレットはされるがままであり、困惑して目を瞬かせた。
「え? え?」
「スカーレット。今日は本当に綺麗だったよ」
「は?」
そう言うと、ルイスはスカーレットの頬にキスをし、そして嬉しそうににこにことほほ笑みながら、スカーレットの頭を優しく撫でる。
いつのまにか大きくなった手で撫でられるのが思いの外気持ちがよく、スカーレットはぼうっとしていたのだが、はっとし、慌ててルイスと距離を取ろうとした。
しかし、ルイスにがっちりと抱き寄せられていて、動けない。
「る、ルイス! 離して頂戴!」
顔を真っ赤にしてスカーレットはそう叫ぶが、ルイスはただ楽しそうで、離す気はないようである。
「ちょっとルイス! やめて。 ちゃんと貴方とは離婚してあげるから、嫌がらせをしないで?!」
その言葉に、部屋の気温が突然低くなったように感じ、ぶるりとスカーレットは身を震わせた。
「離婚なんて、絶対にしないよ」
「え?」
ルイスの方を見ると、先ほどまでにこやかだったのが嘘のようにルイスの瞳は冷めており、スカーレットを優しくソファへと押し倒すと、その両手を片手で押さえ、もう一方の手でスカーレットの頬を撫でる。
「やっと姉さんを合法的に手に入れたんだ。絶対に手放さないから」
「は?」
その言葉にスカーレットが呆然としていると、ルイスは優しく、振れるだけのキスをスカーレットに送った。
ちゅっとリップ音が聞こえ、スカーレットの頭はそれだけで爆発しそうなほどに熱を持つ。
「なっなっな!」
「僕はね、ずっと姉さんのことが好きだったんだ。義父さんも義母さんもそれは知っているよ。僕と姉さんを結婚させてほしいって何度も願った。けど、アゼフがいるからダメだって……でも、今回の婚約破棄には本当に感謝している。そのおかげで、姉さんと結婚できたんだから」
「え?」
呆然とするスカーレットはまさかアゼフとルイスが手を組んでこの婚約破棄を仕組んだのかと思ったが、ルイスがそれを先に否定した。
「言っておくけど、アゼフの婚約破棄については僕はノータッチだよ。あれはただのアゼフの本心」
「え……」
それはそれで問題がある。やはりアゼフは一発撲ろうとスカーレットが心の中で思っていると、ルイスはぎゅっとスカーレットを抱きしめた。
「あぁ……幸せだなぁ」
「ちょ、ちょっと離して」
「うん。ごめんね。スカーレットは、僕と結婚なんてしたくなかったよね」
寂しげな言葉に、スカーレットは思わず息を飲んだ。
27
お気に入りに追加
1,139
あなたにおすすめの小説
【完結】お見合いに現れたのは、昨日一緒に食事をした上司でした
楠結衣
恋愛
王立医務局の調剤師として働くローズ。自分の仕事にやりがいを持っているが、行き遅れになることを家族から心配されて休日はお見合いする日々を過ごしている。
仕事量が多い連休明けは、なぜか上司のレオナルド様と二人きりで仕事をすることを不思議に思ったローズはレオナルドに質問しようとするとはぐらかされてしまう。さらに夕食を一緒にしようと誘われて……。
◇表紙のイラストは、ありま氷炎さまに描いていただきました♪
◇全三話予約投稿済みです
【完結】「聖女として召喚された女子高生、イケメン王子に散々利用されて捨てられる。傷心の彼女を拾ってくれたのは心優しい木こりでした」
まほりろ
恋愛
聖女として召喚された女子高生は、王子との結婚を餌に修行と瘴気の浄化作業に青春の全てを捧げる。
だが瘴気の浄化作業が終わると王子は彼女をあっさりと捨て、若い女に乗
り換えた。
「この世界じゃ十九歳を過ぎて独り身の女は行き遅れなんだよ!」
聖女は「青春返せーー!」と叫ぶがあとの祭り……。
そんな彼女を哀れんだ神が彼女を元の世界に戻したのだが……。
「神様登場遅すぎ! 余計なことしないでよ!」
※無断転載を禁止します。
※朗読動画の無断配信も禁止します。
※他サイトにも投稿しています。
※カクヨム版やpixiv版とは多少ラストが違います。
※小説家になろう版にラスト部分を加筆した物です。
※二章に王子と自称神様へのざまぁがあります。
※二章はアルファポリス先行投稿です!
※表紙素材はあぐりりんこ様よりお借りしております。
「Copyright(C)2022-九頭竜坂まほろん」
※小説家になろうにて、2022/12/14、異世界転生/転移・恋愛・日間ランキング2位まで上がりました! ありがとうございます!
※感想で続編を望む声を頂いたので、続編の投稿を始めました!2022/12/17
※アルファポリス、12/15総合98位、12/15恋愛65位、12/13女性向けホット36位まで上がりました。ありがとうございました。
白い結婚は無理でした(涙)
詩森さよ(さよ吉)
恋愛
わたくし、フィリシアは没落しかけの伯爵家の娘でございます。
明らかに邪な結婚話しかない中で、公爵令息の愛人から契約結婚の話を持ち掛けられました。
白い結婚が認められるまでの3年間、お世話になるのでよい妻であろうと頑張ります。
小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しております。
現在、筆者は時間的かつ体力的にコメントなどの返信ができないため受け付けない設定にしています。
どうぞよろしくお願いいたします。
勇者になった幼馴染は聖女様を選んだ〈完結〉
ヘルベ
恋愛
同じ村の、ほのかに想いを寄せていた幼馴染のジグが、勇者に選ばれてしまった。
親同士も仲良く、族ぐるみで付き合いがあったから、このままいけば将来のお婿さんになってくれそうな雰囲気だったのに…。
全てがいきなり無くなってしまった。
危険な旅への心配と誰かにジグを取られてしまいそうな不安で慌てて旅に同行しようとするも、どんどんとすれ違ってしまいもどかしく思う日々。
そして結局勇者は聖女を選んで、あたしは――。
学園にいる間に一人も彼氏ができなかったことを散々バカにされましたが、今ではこの国の王子と溺愛結婚しました。
朱之ユク
恋愛
ネイビー王立学園に入学して三年間の青春を勉強に捧げたスカーレットは学園にいる間に一人も彼氏ができなかった。
そして、そのことを異様にバカにしている相手と同窓会で再開してしまったスカーレットはまたもやさんざん彼氏ができなかったことをいじられてしまう。
だけど、他の生徒は知らないのだ。
スカーレットが次期国王のネイビー皇太子からの寵愛を受けており、とんでもなく溺愛されているという事実に。
真実に気づいて今更謝ってきてももう遅い。スカーレットは美しい王子様と一緒に幸せな人生を送ります。
私はざまぁされた悪役令嬢。……ってなんだか違う!
杵島 灯
恋愛
王子様から「お前と婚約破棄する!」と言われちゃいました。
彼の隣には幼馴染がちゃっかりおさまっています。
さあ、私どうしよう?
とにかく処刑を避けるためにとっさの行動に出たら、なんか変なことになっちゃった……。
小説家になろう、カクヨムにも投稿中。
【書籍化確定、完結】私だけが知らない
綾雅(要らない悪役令嬢1/7発売)
ファンタジー
書籍化確定です。詳細はしばらくお待ちください(o´-ω-)o)ペコッ
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2024/12/26……書籍化確定、公表
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
聖女召喚されて『お前なんか聖女じゃない』って断罪されているけど、そんなことよりこの国が私を召喚したせいで滅びそうなのがこわい
金田のん
恋愛
自室で普通にお茶をしていたら、聖女召喚されました。
私と一緒に聖女召喚されたのは、若くてかわいい女の子。
勝手に召喚しといて「平凡顔の年増」とかいう王族の暴言はこの際、置いておこう。
なぜなら、この国・・・・私を召喚したせいで・・・・いまにも滅びそうだから・・・・・。
※小説家になろうさんにも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる