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十七話 呼び出し

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 ライカは、静かに口を開いた。

「私付きの侍女であった、サラや屋敷の執事に私がお姉さまに嫌がらせなど聞いてみてください。私は絶対にそんなことしていません。それにお姉様とショーン様がご結婚してからはショーン様に会わないように常に心掛けていましたからそれについても使用人に確認をしてみてください」

 両親はその言葉に顔色を悪くすると、父が使用人を何人か呼び出した。

 以前はライカの身支度を手伝ってくれていた侍女や執事などであり、呼び出された使用人たちは何だろうかと不安げな表情を浮かべている。

「この中に、ライカがロザリーに嫌がらせなどをしたという所を見た者はいるか? 正直に言いなさい。これは命令だ」

 父の言葉に使用人たちは驚いた表情を浮かべたのちに、その中で最も年のいった執事が口を開いた。

「旦那様。ライカお嬢様はロザリーお嬢様をとても慕っていらっしゃいました。そんなことなどありません」

 父は目を丸くし、サラへと視線を移す。

「ライカの傍に仕えていた君も、知らないか」

 サラは小首をかしげるとはっきりと言った。

「ライカお嬢様は日ごろからロザリーお嬢様の心配をしたり、差し入れをしたりしていらっしゃいました。ショーン様とも、出来るだけ距離を取りたいからと、ショーン様とは会わないようにしたいと、使用人たちに指示をだしておりました……旦那様。これは、ライカお嬢様がショーン様と不貞を働いたという話と関係あるならば、言わせていただきます。ライカお嬢様はそのようなことをなさる女性ではありません」

 不安そうにそれでも勇気を振り絞ったサラの言葉に、ライカは涙が出そうになった。

 使用人は意見を勝手にしゃべれる立場にはない。だからこそ、聞かれた今がチャンスと皆が口々に言った。

「ライカお嬢様は、ロザリーお嬢様を大切にされておりました」

「そのようなことは一切ございません」

「ショーン様とも適度な距離を置かれようとされていました」

「ライカお嬢様は優しく聡明な女性です」

 使用人の口から出てきた言葉に、父は力なくソファへと座ると、頭を手で押さえた。

 母の顔も真っ青になっている。

「少し待ってくれ、なら、ロザリーが嘘をついていたということか?」

 父の言葉に、使用人の一人が一歩前へと出ると、おそるおそる口を開いた。

「……あの、私、あの、偶然見てしまったのですが……ロザリーお嬢様はあの日、ショーン様がライカお嬢様の所へ行ったのを聞いて、楽し気に、その、ショーン様の後ろをつけておられました」

 両親の目が点となり、ライカも驚きが隠せなかった。

「どういう、ことだ?」

 父の疑問はライカも同じであった。

 どういうことか分からずにいると、そこでヴィクターが口を開いた。

「ロザリー嬢に直接聞いてみてはいかがですか?」

 父は大きくため息をつくと、執事にロザリーを連れてくるように指示を出したのであった。


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