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第二十六話 竜の呪い

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 ラハトは、皇帝の代わりに貴族らの前へと姿を現すと、にこやかにほほ笑みながら言った。

「皇帝陛下の命により、私が変わって話を聞きましょう。」

 貴族らは地面へと頭を押し付けながらひれ伏し、ラハトの言葉に震えながら自分達の罪を口にしていった。

 それらは聞くに堪えない、自分達の利益になると目がくらんだ哀れな男達の懺悔。

 そして、今ではそれを悔い、どうか恩赦をお与えくださいと言う懇願。

 ラハトはそれを顔に笑顔を張り付けて最後まで聞くと言った。

「では、罪人ヒューはどこに?」

「こ・・・ここにございます。」

 そこには子犬一匹が入るほどの小さな箱があり、それを一人の男が震えながら差し出してきた。

 ラハトは表情を変えずにその箱を一瞥すると、他の男達の顔もじっと見つめながら、ゆっくりと口を開いた。

「おやおや・・・あなた方の姿が変わっていないところを見ると、ほとんどの魔術をヒューが行ったと・・あなた方もあくどいですねぇ。」

 次期皇帝にしようと言う男に全ての呪いをかぶせたのかと、あきれた口調でラハトは言うとその箱を、男に開けさせた。

 すると中からはするすると、小さな蛇が這い出てきた。

『ら・・・は・・と・・・・も・・・ど・・・せ!』

「おやおや。まだ人の意識が残っているとは。」

 それは竜の力に手を出してしまったものの哀れな姿。

 ラハトはそれを見て大きくため息を一つ着くと、笑顔をもう一度貼り付けて言った。

「そうですねぇ、即刻縛り首と、一族全財産の没収の後に流刑と、どちらがいいですか?」

 別名非道のラハトと言われたこの男の笑顔が、最終通告な事は有名な話であり、男達は震える体で生きる方を選ぶものが大半であった。

 その様子にヒューは肥を上げて男達の周りを動き回るが、もうすでにヒューの言葉を聞くものなど誰もいない。

 そんな様子をラハトは見つめながら大きくため息をつくと、横に控えていた者達にヒューをかごの中へと捕えるように命じた。

『お・・れ・・・は・・・こう・・てい・・だぞ・・!』

 ラハトは哀れな生き物を見て言った。

「いいえ。貴方はただの、蛇ですよ。でも、言葉が話せてよかった。これでこちらの質問に答えられますね。」

 笑顔なのに、目は全く笑ってなどいなかった。

 ヒューはこの時になってやっと自分の今後に恐怖し、慌てて逃げようとするが、蛇の姿で逃げられるわけもない。

「さぁ、頑張って質問に答えて下さいね。」

『や・・め・・・ろ!・・・・やめ・・・』

 ラハトはその後淡々と仕事をこなしていきながら、その後、町に出かけて行って一軒の店に入った。

「ふふふ。注文しておいて、よかった。きっとシン様もキャロル様も喜んで下さる。」

 先ほどの笑顔とは全く違った、優しい笑みを浮かべてラハトはルンルン気分でシンとキャロルの元へと向かうのであった。





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