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第二十四話
しおりを挟むヒューは息を荒くしながら森の中に隠しておいた馬車に乗ると、仲間の貴族らと落合い、その身を小さな屋敷の中へと隠していた。
仲間が今、自分を皇帝にするはずの手筈を整えているはずである。
それを思うとヒューは胸が高鳴るのを感じた。
おそらくシンはあの瓦礫にのまれて死んだであろう。もし、運よく生き残っていたとしても女の身となっていれば皇帝のままではいられない。
それを考えただけで笑みが浮かんでくる。
だがしかし、ヒューは笑い語を上げようとして自身の喉の違和感に気が付いた。
喉がごつごつとして、上手く笑い声が出せないのである。
そればかりか、最近は節々がまるで石のように痛み、何故だろうかとヒューは訝しんでいた。
「おい。あれを見たか?」
「あぁ。あれはなんだ。」
「あれでは皇帝になどなれるはずもないぞ。」
「あぁ、我が一族はもうおしまいだ。ヒュー様についたのが運のつきであった。」
「何と嘆かわしい事か。」
男達の声が静かに部屋の中に響き、そして今後を憂う。
「もはや、時が来るのを待つのみか。」
「減刑を乞うてみよう。自分達から出頭すれば、わずかだが、希望はある。」
男達はため息をつき、皇帝の元へと出頭することを決めた。
男達は、付く側を間違えたのである。
そして、ヒューは自身に起こっている異変にまったくもって気づいてもいなかった。
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