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大好きなお姉様
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あぁ。なんで今まで気づかなかったのかしら。
私は、不必要な存在だったのね。
表では笑顔で私に接し、裏では私を疎んでいた由緒正しい血筋のメアリーお姉様。
お父様と血が繋がっているとはいえ、メアリーお姉様のお母様を裏切った不義の子の私。
お姉様にとっては目の上のたん瘤に違いない。
お姉様の本当のお母様ばご病気で亡くなった後、私とお母様はお父様である侯爵様の家へと移り住んだ。
貴族令嬢の生活など夢の夢だった私は最初はたくさんわがままを言って、そして贅沢をして、毎日を楽しんだ。
それがいけなかったのだろうか。
年を追うごとにメアリーお姉様は私を嫌っていった。
私は仲良くなりたくてお姉様のところに行っては、一緒に遊ぼうと誘ったけれど、お姉様はいつも忙しいと言って断られてばかりだった。
お父様はお母様だけが必要で、私の事なんて興味がなかった。
お母様は私のお母様だけれど、貴族夫人としての立場の方が大変なようだった。
いつの間にか、お父様もお母様も私のことを可愛いとは言うけれど、着飾らせて皆に自慢するだけのになった。
私は一生懸命学んだから、勉学の成績はよかったけれど、人との付き合い方については学べていなかった。
貴族の令嬢達というものは、私が不義の子だということを知っており、だからこそ疎遠にされることが多かった。
私自身が、貴族の令嬢のマナーというものを身につけられていなかったという事も悪いのだろう。
学園ではいつも私は一人で行動しており、そんな私に近寄る人はいなかった。私から声をかけても、嫌な顔をするだけで、近寄ってほしくないのだろうという事がわかった。
そして一人きりでいたら、たまにメアリーお姉様のご婚約者が気を使ってか声をかけてきてくれるようになった。
メアリーお姉様の妹である私に気を使ったのだろう。
そしていつの間にかメアリーお姉様のご婚約者が私の傍にはいるようになった。
私は可愛そうな子にみえたのかもしれない。だからアルフォンス第二王子殿下は婚約者のメアリーお姉様ではなく私の傍にいてくれたのかもしれない。
けれどそれが決定打になった。
「貴方なんて、大っ嫌い」
大輪の花のように華やかで、美しいメアリーお姉様。
そんなメアリーお姉様が大粒の涙を流して、私の頬を打った。何でも、私の方が可愛いと、アルフォンス第二王子殿下に婚約破棄を言い渡されたそう。
憎々しげにこちらを見つめてくるメアリーお姉様は、そんな姿すら美しくて。
私は、あぁ、本当に私は余計なことばかりする役立たずな人間なのだと知った。
何をしても、私は誰にも喜んでなどもらえないのだ。
「……ごめんなさい。メアリーお姉様」
そう告げると、メアリーお姉様は自分の部屋へと帰ってしまった。
瞼を閉じれば、先ほどのメアリーお姉様の姿が鮮明に思い出せる。
私はそれからすぐに自分の荷物をまとめ、そして簡素な服に着替えると小さなカバン一つだけをもって立ち上がった。
「さぁ、行きましょう」
ここに私の居場所はない。
だって、私は不必要な存在だもの。
涙が一滴だけ流れ落ち、それを私はハンカチで拭う。
「メアリーお姉様、本当に、ごめんなさい」
大好きなメアリーお姉様。私は、お姉様に嫌われても、私は、大好きでした。
だって、お姉様は常に前を向き、気高く、その様に憧れと羨望を抱かずにはいられなかった。
そんなお姉様の邪魔になるならば、ここにはいられない。
もっと早くにこうするべきだったのだ。
貴族令嬢などと言う華やかな場所に憧れ、それに溺れた自分もいた。けれど、一歩足を踏み入れてみればそこは私のような異物を受け入れてくれるような場所ではなかった。
美しく気高いメアリーお姉様。
ぎゅっと、昔、お姉様からいただいはハンカチを握りしめて、私は屋敷の勝手口から外へと出る。
「さようなら」
不義の子が行方をくらましたことなど、時が経てばすぐに忘れられる。
触れてはいけないことのように話がされなくなり、そして彼女はそこに存在しなかったように時は流れる。
ただ、それだけのこと。
私は、不必要な存在だったのね。
表では笑顔で私に接し、裏では私を疎んでいた由緒正しい血筋のメアリーお姉様。
お父様と血が繋がっているとはいえ、メアリーお姉様のお母様を裏切った不義の子の私。
お姉様にとっては目の上のたん瘤に違いない。
お姉様の本当のお母様ばご病気で亡くなった後、私とお母様はお父様である侯爵様の家へと移り住んだ。
貴族令嬢の生活など夢の夢だった私は最初はたくさんわがままを言って、そして贅沢をして、毎日を楽しんだ。
それがいけなかったのだろうか。
年を追うごとにメアリーお姉様は私を嫌っていった。
私は仲良くなりたくてお姉様のところに行っては、一緒に遊ぼうと誘ったけれど、お姉様はいつも忙しいと言って断られてばかりだった。
お父様はお母様だけが必要で、私の事なんて興味がなかった。
お母様は私のお母様だけれど、貴族夫人としての立場の方が大変なようだった。
いつの間にか、お父様もお母様も私のことを可愛いとは言うけれど、着飾らせて皆に自慢するだけのになった。
私は一生懸命学んだから、勉学の成績はよかったけれど、人との付き合い方については学べていなかった。
貴族の令嬢達というものは、私が不義の子だということを知っており、だからこそ疎遠にされることが多かった。
私自身が、貴族の令嬢のマナーというものを身につけられていなかったという事も悪いのだろう。
学園ではいつも私は一人で行動しており、そんな私に近寄る人はいなかった。私から声をかけても、嫌な顔をするだけで、近寄ってほしくないのだろうという事がわかった。
そして一人きりでいたら、たまにメアリーお姉様のご婚約者が気を使ってか声をかけてきてくれるようになった。
メアリーお姉様の妹である私に気を使ったのだろう。
そしていつの間にかメアリーお姉様のご婚約者が私の傍にはいるようになった。
私は可愛そうな子にみえたのかもしれない。だからアルフォンス第二王子殿下は婚約者のメアリーお姉様ではなく私の傍にいてくれたのかもしれない。
けれどそれが決定打になった。
「貴方なんて、大っ嫌い」
大輪の花のように華やかで、美しいメアリーお姉様。
そんなメアリーお姉様が大粒の涙を流して、私の頬を打った。何でも、私の方が可愛いと、アルフォンス第二王子殿下に婚約破棄を言い渡されたそう。
憎々しげにこちらを見つめてくるメアリーお姉様は、そんな姿すら美しくて。
私は、あぁ、本当に私は余計なことばかりする役立たずな人間なのだと知った。
何をしても、私は誰にも喜んでなどもらえないのだ。
「……ごめんなさい。メアリーお姉様」
そう告げると、メアリーお姉様は自分の部屋へと帰ってしまった。
瞼を閉じれば、先ほどのメアリーお姉様の姿が鮮明に思い出せる。
私はそれからすぐに自分の荷物をまとめ、そして簡素な服に着替えると小さなカバン一つだけをもって立ち上がった。
「さぁ、行きましょう」
ここに私の居場所はない。
だって、私は不必要な存在だもの。
涙が一滴だけ流れ落ち、それを私はハンカチで拭う。
「メアリーお姉様、本当に、ごめんなさい」
大好きなメアリーお姉様。私は、お姉様に嫌われても、私は、大好きでした。
だって、お姉様は常に前を向き、気高く、その様に憧れと羨望を抱かずにはいられなかった。
そんなお姉様の邪魔になるならば、ここにはいられない。
もっと早くにこうするべきだったのだ。
貴族令嬢などと言う華やかな場所に憧れ、それに溺れた自分もいた。けれど、一歩足を踏み入れてみればそこは私のような異物を受け入れてくれるような場所ではなかった。
美しく気高いメアリーお姉様。
ぎゅっと、昔、お姉様からいただいはハンカチを握りしめて、私は屋敷の勝手口から外へと出る。
「さようなら」
不義の子が行方をくらましたことなど、時が経てばすぐに忘れられる。
触れてはいけないことのように話がされなくなり、そして彼女はそこに存在しなかったように時は流れる。
ただ、それだけのこと。
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