拳法使いのVRMMO外伝－漢は一撃必殺－

１３：告白とエピローグ

　


　場所は首都ミラディの街はずれ。人気のない路地で、厳ついガタイのいい大男「ストロング・アデプト」の拳道は、OL系の黒髪の知的美人「ハイプリースト」のカレンを呼ぶと、意を決して言う。

　「カレン、俺は自分で納得のいく「武」を手にした。だから、俺と正式に付き合ってくれないか」

　女に免疫の少ない拳道の「告白」は直球だった。

　これに対してカレンは、冷静な表情を崩さず、すまし顔で告げる。

　「何言ってるのよ、馬鹿ね」

　…やはりだめか、と拳道は思ったが、カレンの言には続きがあり、それは前向きなものだった。

　「私があなたを振る訳ないでしょ。むしろ、何で今までかかったのかが不思議だわ」

　カレンはさらに続けて言う。

　「じゃあ、ここからのゲームプレイは、二人でＶＲ旅行にしましょう。ＬＶもＧＰも充分だし、もうモンスターと戦う意味もないでしょうし」

　拳道は、カレンが告白を受けてくれたのを悟ると、右手で小さくガッツポーズをして、カレンに言う。

　「ＶＲ旅行か、いいな。だが、鍛錬は続けるぞ。腕が鈍ってはいかんからな」

　カレンは、これに嬉しそうにクスッと笑う。

　「拳道らしいわね。そういうところも、好きよ」

　…こうして、拳道とカレンは正式に付き合う事になった。

　リアルでは、住むところが遠くてなかなか会えないが、そこをＶＲが埋めてくれた。

　そして、VRでの旅行の後、お互いの想いを再確認した二人は、まずリアルに先行してＶＲで婚儀を挙げる事にした。

　…ＶＲでの挙式の日、純白のウェディングドレス姿のカレンと、大柄な身体に紳士服を着込んだ拳道は、首都ミラディの白い教会で、指輪を交わし、愛を誓い合った。

　参席した者は少なかったが、そこには黒髪の中性的な美人、女武闘家の黒蘭と、黒髪ツインテールの魔女っ子、ロゼリーの着飾った姿もあり、二人を盛大に祝福したのは、ここでの最後の余談である…。

　「拳法使いのＶＲＭＭＯ外伝－漢は一撃必殺－」「了」