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3:クラスとスキル

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「ねえ、拳道、クラスのスキル、きちんとスキル欄に登録してる?」

 カレンは、酒場「泥沼亭」で、隣のカウンター席でビールを飲む拳道に問いかける。

 『「スキル」?何だそれは』ゲーム初心者の拳道は「?」がついたようなすっとぼけた表情で聞き返す。

 カレンは、漫画のように椅子ごと後ろにひっくり返った。

 「あのね。私達のクラス、つまり「職業」にはLVが上がると使えるスキルが増えて、それは、スキル欄に登録しないと使えないって話。拳道は、基本の溜め攻撃しかしてないから、少し気になってたのよ」

 「そうなのか、どうすれば登録できるんだ?」起き上がるカレンに、今度は真顔で問う拳道。

 『クラスウィンドウ開いて、「スキル」から、「登録」でいけるわ。でも10個までしか入らないからね』

 拳道は、自分なりに、つかえそうなスキルを選んで登録した。

 …特攻系スキルの「パワーフィスト」と「スラッシュソバット」

 …スタン効果のある、足払い「スネークカット」

 …そして、溜め系の「気」を砲撃のように放つ「気功砲」

 中でも、溜め系の「気」の砲撃「気功砲」に、拳道は強い興味を持った。

 「じゃあ、早速ゴブリン辺りで試すか…」

 「EXPにはならないけど、私も少し、興味があるわね」

 …こうして二人は、上天気の草原である初心者フィールドで、拳道のクラス「パワーフィスター」のスキル検証に入った。

                     ☆

 遠くのゴブリンに、眼光鋭く睨みつけて、手にスキルを用いて「気」を溜める拳道。

 「ぬううううう…はあっ!」

 両手を突き出して、放たれたのは、極太ビーム状の「気」の光条。それは、ゴブリンに直撃して、その上半身を吹き飛ばした。あきらかなオーバーキルであった…。

 「凄い威力ね。このスキル…。溜めが要るけど、滅茶苦茶強力なんじゃない?」

 呆れ気味にカレンが言う。しかし、カレンはなにか思いついたようで拳道を北西の丘陵地帯に連れて行くと「それ」を差してこう言った。

 「じゃあ、次、あれいってみましょうか!」

 「それ」は、LV的に数段上の巨大な鬼、オーガだった。

 「おいおい、それはちょっと無茶だろう…。っと、気付かれたか!」

 棍棒を持って、突進してくるオーガ。

 『足止めは任せて!「ライト!」』

 カレンが光の魔法で、オーガの目つぶしをすると、拳道は「気功砲」の溜めに入った。

 「ぐぬぬぬぬぬ…でいっ!」

 目つぶしされて、戸惑うオーガに「気功砲」の光条が襲う。

 オーガの上半身は、極太ビーム状の「気功砲」を受けて、分解するように溶けた。そしてHPが0になり、残った下半身は、セル状になり、かき消えた。

 「LVUP!」

 二人のLVが一気に5ずつ上がり、25になる。

 「溜めがいるし、無茶苦茶派手で目立つけど、強力なスキルね」

 今度はカレンは素直に感心した。それは拳道も同じだった。

 「MPも馬鹿みたいに喰うが、手の一つとしては、使えるな」と答えた。

 …そして、これを見たあるプレイヤーが、影で拳道に目を付けたのも、この時は二人とも預かり知らぬ所でもあった…。




 
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