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27話:ギルド館と領地の経営
しおりを挟む高LVデーモン騒ぎが収まってから、ゼクロス達は本格的にクエストに乗り出した。
主に4人PTでの戦いになるので、ゼクロスは戦術家肌のリオールの意見を聞きつつPT編成をする。
今回の相手は、レストの西方面、湿地の泥の魔物「マッドマン」である。
BOSS戦ではないので、少し控えめに、ゼクロス、ウェルト、ローザ、クレイドでPTを組む。
エリシャ達には、隠れ家的店や商売用の2号店の方を任せている。
レスト西にある湿地は、ディルドラMAP全般にいえるが、どんよりと曇っており、その湿地はゼクロス達の足を大きく鈍らせた。
「足場が悪いな。回避に影響がでなければいいが」ウェルトが呟く。
マッドマン自体は、それほど強いモンスターではないが、軽装のアサシンのウェルトは予想通り足を取られて多少の被ダメージを受けたので、レンジャーにクラススイッチして、同じくウィザードからソルジャーにクラススイッチしたクレイドに前衛を譲った。
これで、前衛3人に、後衛に弓一人の編成になって、ウェルトも弓スキル「ハイパワーショット」を的確に当てて、持ちなおすと、前衛3人もマッドマンを圧倒して、クエストどうり、10体を倒して翼のペンダントで、ギルド拠点に帰還した。
それほど被害を受けてない上、あっさりと片付いたので、報告を終えた4人はさらに、レスト東の湖に居る、ダークマーマン討伐のクエストも、ギルドのクエストカウンターで受けた。
東の湖は、茶色に濁っており、その内辺には、トライデントをもった闇属性の人魚ダークマーマンが、弓に武器を切り替えて、PTを目掛けて射かけてくる。
「僕が魔法で仕留める!」とクレイドは後衛に回りつつ「ウィザード」にクラススイッチして「このダークマーマンたちに、範囲魔法「フレイムシャワー」を浴びせる。
炎の雨を受けてバタバタと倒れて沈むダークマーマン。残った分も、ウェルトが「トリプルショット」で正確に仕留めて、10体を倒すと、このダークマーマン討伐も成功に終わる。
「意外とあっけなかったな」とクレイドがいうように、
高LVのデーモンと戦ってきたゼクロス達には、このレスト周辺のクエストは、少し楽に感じられた。
そして、翼のペンダントでギルド拠点に戻り、クエスト報告をすると、ギルドLVが15になり、拠点が家屋から館になり、この洋館は、今のたまり場である隠れ家的店より立派な上、周辺の土地も領地として利用できるようになった。
ゼクロスは「これは、エリシャも喜ぶだろうな」と言い、ギルド拠点のワープポイントから、ラストール王国の首都セルフィに戻り、彼らの「隠れ家的店」に帰還した。
☆
そして、エリシャとゼクロス、他の皆も全員一致で「ギルドの洋館に引っ越そう」と言う話になり、移転の段取りが行われた。
隠れ家の家具はそのままに、新たな家具をGPで購入して、隠れ家の簡易倉庫と繋がっている、洋館の倉庫越しに家具を移して、洋館内部に配置する。主にゼクロス、ライナス、クレイド、ウェルトがこれを行い、あらかた配置が完成すると、ゼクロスはギルドマスターのエリシャに問うた。
「周辺の領地が使えるようになったけど、どう使う?普通なら、NPCの農民を雇って、農地にして、商館も立てて、作物をGPにするのが基本だけど」
エリシャはゼクロスの言に、今一つ満足いかないようで、
「でも、2号店の売り上げで、GPは潤沢にあるから、領地の収入ってピンとこないのよね。他に建てられる施設とかあったりする?」
「それなら、僕に良い考えがあります」
と、言いだしたのは「グッドラッカー」のシレネスである。
「領地は、色々な建物が建てられますが、宿屋や商店、共用のワープ、セーブポイントも配置できます。ここはラストールとディルドラの国境付近にありますから、上手くすれば、いい商売になりますよ」
「それよ!名案だわ!」
シレネスの言に、エリシャは飛びつくように乗った。
「隠れ家からここに引っ越すなら、領地にお店も作って、2号店も移せばいいのよ!そして、宿屋とセーブポイントも作れば、ラストールからディルドラへ行くプレイヤーの中継地点にもなって、他プレイヤーの人達も助かるわ!」
エリシャはこの案をメンバーのみんなに告げると、皆、この話に乗り気であり、特にウェルトも賛意を示して「宿は酒場も兼用にすればいいかも知れないな。通り道にするなら、情報も集まる」と提案もする。
ゼクロスとエリシャ、シレネスの主導で話は進み、洋館の2階はルーシアの工房とメルの鍛冶場にして、1階の広間は、隠れ家と同じ感じの茶色基調の喫茶店風の休憩スペースとした。奥には一応領主の間もあるが、エリシャが使うかどうかは微妙な所ではあった。
周辺の土地は、西側に大きな宿屋兼酒場を建ててNPCに管理させて、東にはこれも立派な商店を建設し、2号店の店員であったNPCエルトレイドもこちらに呼んだ。
南には、誰でも使えるセーブ、ワープのポイントを設置して、メンバーはもとより、通りがかる冒険者の助けにもすることになった。
隠れ家的1号店と、商売用の2号店は、さすがに管理しきれないので当面は店じまい。一応、来た人の為に、移転先の地図は張ってはいるが、宣伝になっているかはやや不明である。
デフォルトで、NPCの兵士も6人配備できたので、エリシャは館の門衛、宿屋と商店の警備にそれぞれ2人ずつを配置した。
こうして、移転作業が大方終わり、ゼクロス達の拠点は洋館となり、領地には宿屋兼酒場、アイテム商店、そしてセーブポイントとワープポイントがそれぞれ、置かれてる事となり、
「さあ、ここから、どんどん繁盛させていくわよ!」と意気込むギルドマスター、エリシャの言どうりに事は運び、
この洋館と周辺の施設は、初期の国ラストール王国と2番目のエリアの国ディルドラ王国の国境付近の中継地点として、繁栄していくことになるのであった…。
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