ツインクラス・オンライン

秋月愁

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24話後編:幸運を呼ぶ者(後)

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 ゼクロス、クレイド、ライナス、リオールのPTが隠れ家的な店に戻ると、白髪の、青い眼をした、どこかのんびりした風の、少年アバターが茶色を基調とする、喫茶店風の店内のカウンター席に座っていた。

レザーアーマーに、ショートソードを装備したその軽装の少年は、多分ルーシアが作ったであろうサンドイッチを食べていて、ゼクロス達が店に入ると、手早くその最後のひとかけらを口に放ると、ゼクロスPTに軽く手を振って、にこやかに挨拶してみせる。

ゼクロスが「やあ、初めまして、かな?」と少年に話しかけると、その少年は「うん、シレネスっていいます。よろしく」と手短かに名乗り、PTのみんなと軽い挨拶を交わすと、こう続けた。

「風の噂で、ここで、絶品の料理が食べられると聞いて、来たんだ。でも、看板もなくて「準備中」の札もかかってたから、間違いかなと思ったんだけど、店内に人がいるみたいだから、聞いてみたんだ。そうしたら、入れてくれて、こうして軽食を出してもらったというわけさ」

ひとしきり、いきさつを話したシレネスは、台所のルーシアが作ったチキンカツのサンドイッチにも満足したらしく「どうやら、当たりだったみたいだ。GPは、幾ら払えばいいのかな?」とカウンターのエリシャに聞いたので、エリシャは優しく微笑んで、

「GPはいらないわ。ここは、形式上は店になってるけど、FLのみんなが集まるたまり場みたいなものだから。だから、看板も出てないし、常に「準備中」になっているの。勘違いさせちゃって、ごめんね」

シレネスは、得心がいったという感じで、なるほど、と頷いた。

「なるほど、秘密の憩いの場所という感じですね。じゃあ僕も、ここのことは秘密にしますから、また遊びにきても、いいですか?」

「もちろんよ。あなたさえよければ、また来てね。FLとかもしてもらえると、なおいいわね」

こうして、エリシャとシレネスはFLを交わすのだが、FLリストでクラス欄を見たエリシャは少し困惑した。シレネスは「グッドラッカー」と「鑑定士」のツインクラスで、共に珍しいクラスであったからだ。

「初めて見るクラスね。「グッドラッカー」ってどんなクラスなの?」

首を傾げるエリシャに、シレネスはこう説明する。

「PTの味方のアイテムドロップ入手数を増やしたり、レアドロップ率を引き上げたり、入手GPを増やしたりするクラスかな?こういうと便利だけど、簡単な装備と魔法しか使えないから、ほとんど戦力にはならないけどね」

「なるほど、PTでアイテム収集する時に、居ると良い感じのクラスだね。良ければ僕ともFLをしてもらえるかな?」と興味ありげにクレイドが頼むと、

「私もFLいいでしょうか」とルーシアも同調して、シレネスはこの2人とも快くFLを交わした。

「ドロップアイテムが沢山必要になったら、気軽にFLから呼んで。それじゃあ、またね」

そういって、愛想よくみんなに手を振ってからこの隠れ家的な店から出るシレネス。

それから彼は度々この隠れ家的店に来ては、料理と会話を楽しみ、これに満足すると「これは気持ちばかりのお礼だよ」といって「珍しい合成アイテムの材料」を沢山もってきて、主に料理の腕を振るっていた錬金師のルーシアを喜ばせた。

…やがて、彼も店の常連となって、時にPTの一員として、狩りでアイテム収集の効果を高めつつ自らのLVも上げて、エリシャの隠れ家的店のみんなとも改めてFLを交わしたのであった…。


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