上 下
1 / 7

クロック・シティ(序章という名の前書き)

しおりを挟む
 時計だらけの街、クロック・シティ。

 家の2階や、家の前、時計塔、各店にも、丸いアナログ時計が無造作にごろごろと転がるこの街では、時間と現象がその所々でおかしい。そう、この街は狂っている。

 雨かと思えばかんかん照り、朝かと思えば夜、そのためか、住人達も変人が多い。

 …ペルソナという仮面を揃って被る「レイバード三人衆」

 …シルクハットにスーツを着た怪盗「レガシースティーラー」

 …サングラスの初老の紳士にして錬金師の「ムーンジェルマン」

 …いかさま鍛冶屋のドワーフ達「ロストアールヴ」

 上げればきりがないほどだ…。


 そしてこの話の主人公、夢占い師の「ドリムアート・アイゼン」は、住人達に「アイゼン」と言われて、親しまれている。


 「夢占い師」の彼は、人の見た夢を聞いて、卦を立てて、水晶も用いてその人に助言をする。ただし、それが人を幸せにするとは限らないが…。

 彼には、罰当たりにもシスターの姿をした夢魔「ミラーリア」という使い魔兼助手がおり、彼女は剣技にも秀でていて、彼の護衛役をしている。


 そして彼は、詩人のような羽根つき帽子に、緑の外套、厚手の白い服といったいでたちで、クロックシティで夢占いの店を経営する。

 彼が自分自身への夢占いに出たという、お得意先の錬金術師「ムーンジェルマン」の醜女の娘「ミストブルー」と結ばれる占いの卦。

 これを回避する方法をさらに占うと「100の迷える子羊を助ければ理想の女性と結ばれる」という卦が出た。彼はこれに臨むべく、今日もこのクロックシティで「夢占い」をする…。

 


 
しおりを挟む

処理中です...