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第153章:迷いの一行デス
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「びええええぇぇぇぇん…!!!」
凄い速さで走っていく竜ちゃんを、僕は急いで追いかける。
途中でギョッとしたような顔で、逃げる竜ちゃんを見る竜人さん達は、慣れているのか追いかけてこない。
「はぁ…はっ……待って………」
あぁ…見失っちゃった。ちゃんと謝りたかったのに…。
『気は済んだか?』
「おじさん…ありがとう。ついて来てくれてたんだね…」
『ふん…我輩だけではないがな。』
「え?」
『急に走らないでください…足が勝手に動くのは不愉快です…!!!』
『オデの足、そ、そんなに早く走れねえはずなのにぃ…きちぃ…!!!』
アテナさんとイストスおじさんもついて来てくれてた。
…と思ったら、ついてくるようになってたみたい。お構いなしに走っちゃって、なんだか悪いことしちゃったや。
「ごめんなさい。アテナさん、イストスおじさん。」
『以後気をつけるように…!!』
『ぶひぃい…』
『ふん。神ともある者が情け無い。
そんなことよりエウレスよ…ここはどこだ?』
「え?あれ…なんだか知らない所だね…」
竜ちゃんを追いかけて、いつの間にか知らない廊下についちゃったみたいだ。
窓はカーテンが閉められてて、明かりもなくて薄暗い。
「こわい廊下だね…おじさん。」
『ふん。我輩にとっては薄ら心地の良い闇だが。もう少し暗くとも良い。』
「おじさん…あれだね。そういうの、趣味悪いって言うんだよね。」
『ぶふっ!』
『喧しいぞエウレス。笑うな脂豚。』
『ぶひゃ!!ごめんなさい!!』
『おや…エウレス。この奥の部屋、何やら怪しげな気配を感じます。
邪なる悪の気配…。』
アテナさんが廊下の奥の大扉を睨んでる。凄い…そんなの分かるんだ。
『アテナは戦の…それも聖戦の神だからな。悪しき戦の気配や記憶・記録を敏感に察知する。
どうやらあの大扉は…書庫のようだな。』
「えっと…本の部屋ってことだよね…
うーん、どうしよう。誰かいるかな…」
『確かめる為にも、部屋へ入ることを推奨します。』
「うん。入ろっか。」
『あ、お、オデが扉を開けるよう。』
「ありがとう!イストスおじさん!」
『へへへ…お安い御用だ…』
ギギギってすごい音を立てて、大扉が開いていく。中は廊下よりももっと暗い。
一体なんの本があるんだろう…
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
エウレスには部屋が暗すぎて見えんようだが、部屋の中には数え切れないほどの本が積み重なっていた。
棚に入り切れず、無造作に、そこら中に本が置かれている。
まるで本の地獄だな。
『エウレス。足下に気をつけることだな。下手をすればつまづいて…』
ドタンッ!!ガスン!!
「いたいぃぃ………」
遅かったか。
『大丈夫ですかエウレス。怪我などは…』
「う、うん…大丈夫だよ。平気。」
『…普通の2歳半は、泣き叫ぶ場面ですが…』
「?…大丈夫だよ!ごめんなさい。心配かけて。」
『…』
アテナめ、我輩を睨んで何か言いたげだが、知ったことか。
強いことは良いことだ。精神を中立に保てる。冷静に物事を考えられる。
「ハデスおじさん。この部屋の本、文字が読めないよ。ほら。」
『むう…見たことのない文字だな…』
それ見たことか。エウレスは転けた弾みに開いた本を、冷静に分析していた。
それでこそ我が器。
「誰かいないかな…おーーい!!すいませーーーん!!誰かいませんかーー!!?」
しかし、その問いかけに応える者はいない。我輩の目にも、命の気配は写らない。
「………だめだ。誰もいな」
【なんスカ。なんか用スカ。】
「うわぁ!!!!?」
『何者です!?』
『!!』
『ぶひゃああ!!』
突然声が頭に響いた。
おかしい…気配は微塵も無いが…
凄い速さで走っていく竜ちゃんを、僕は急いで追いかける。
途中でギョッとしたような顔で、逃げる竜ちゃんを見る竜人さん達は、慣れているのか追いかけてこない。
「はぁ…はっ……待って………」
あぁ…見失っちゃった。ちゃんと謝りたかったのに…。
『気は済んだか?』
「おじさん…ありがとう。ついて来てくれてたんだね…」
『ふん…我輩だけではないがな。』
「え?」
『急に走らないでください…足が勝手に動くのは不愉快です…!!!』
『オデの足、そ、そんなに早く走れねえはずなのにぃ…きちぃ…!!!』
アテナさんとイストスおじさんもついて来てくれてた。
…と思ったら、ついてくるようになってたみたい。お構いなしに走っちゃって、なんだか悪いことしちゃったや。
「ごめんなさい。アテナさん、イストスおじさん。」
『以後気をつけるように…!!』
『ぶひぃい…』
『ふん。神ともある者が情け無い。
そんなことよりエウレスよ…ここはどこだ?』
「え?あれ…なんだか知らない所だね…」
竜ちゃんを追いかけて、いつの間にか知らない廊下についちゃったみたいだ。
窓はカーテンが閉められてて、明かりもなくて薄暗い。
「こわい廊下だね…おじさん。」
『ふん。我輩にとっては薄ら心地の良い闇だが。もう少し暗くとも良い。』
「おじさん…あれだね。そういうの、趣味悪いって言うんだよね。」
『ぶふっ!』
『喧しいぞエウレス。笑うな脂豚。』
『ぶひゃ!!ごめんなさい!!』
『おや…エウレス。この奥の部屋、何やら怪しげな気配を感じます。
邪なる悪の気配…。』
アテナさんが廊下の奥の大扉を睨んでる。凄い…そんなの分かるんだ。
『アテナは戦の…それも聖戦の神だからな。悪しき戦の気配や記憶・記録を敏感に察知する。
どうやらあの大扉は…書庫のようだな。』
「えっと…本の部屋ってことだよね…
うーん、どうしよう。誰かいるかな…」
『確かめる為にも、部屋へ入ることを推奨します。』
「うん。入ろっか。」
『あ、お、オデが扉を開けるよう。』
「ありがとう!イストスおじさん!」
『へへへ…お安い御用だ…』
ギギギってすごい音を立てて、大扉が開いていく。中は廊下よりももっと暗い。
一体なんの本があるんだろう…
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
エウレスには部屋が暗すぎて見えんようだが、部屋の中には数え切れないほどの本が積み重なっていた。
棚に入り切れず、無造作に、そこら中に本が置かれている。
まるで本の地獄だな。
『エウレス。足下に気をつけることだな。下手をすればつまづいて…』
ドタンッ!!ガスン!!
「いたいぃぃ………」
遅かったか。
『大丈夫ですかエウレス。怪我などは…』
「う、うん…大丈夫だよ。平気。」
『…普通の2歳半は、泣き叫ぶ場面ですが…』
「?…大丈夫だよ!ごめんなさい。心配かけて。」
『…』
アテナめ、我輩を睨んで何か言いたげだが、知ったことか。
強いことは良いことだ。精神を中立に保てる。冷静に物事を考えられる。
「ハデスおじさん。この部屋の本、文字が読めないよ。ほら。」
『むう…見たことのない文字だな…』
それ見たことか。エウレスは転けた弾みに開いた本を、冷静に分析していた。
それでこそ我が器。
「誰かいないかな…おーーい!!すいませーーーん!!誰かいませんかーー!!?」
しかし、その問いかけに応える者はいない。我輩の目にも、命の気配は写らない。
「………だめだ。誰もいな」
【なんスカ。なんか用スカ。】
「うわぁ!!!!?」
『何者です!?』
『!!』
『ぶひゃああ!!』
突然声が頭に響いた。
おかしい…気配は微塵も無いが…
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