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第52章:久方ぶりの疼きデス

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 「学院長先生~!!どう言うおつもりですか~!?
 あの子は明らかに異常です~!!
 あのよく分からない力…
 なんなんですか~!?」

 「…あれは殺意だね…」

 「さつい~!?」

 「久しいね…殺意を使う者が、まさかまだいたとは…」

 「なんなんですか、さついって~…」

 私は、彼…エウレスに掴まれ、熱を帯びた顎をさすり、学院長椅子に腰掛ける。

 エルフとしてこの世に生をうけ、冒険者として世界を周り、この街に魔導学院を設立して早、幾星霜…

 とうの昔に殺意など…死など消えたと思っていたが…

 ぞくぞくした。
 
 若い頃、命をかけて魔物を狩り、幾多の魔王たちを屠ってきた時代が蘇る。

 顎の熱は今や、私の体の芯まで染み込み、大きさを増していた。

 「…ああ…またお会いしたい…
 あの目で見つめられたい…」

 「学院長~!?」

 あんな目で見られたら…

 ときめかずにはいられないだろう。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 「エウレス、何かしたの?」

 「何かとは?」

 姉は我輩を抱えたまま、質問してくる。

 現在寮への渡り廊下を歩いているのだが、無駄に長い。

 質問する猶予ができるはずだ。

 「ほら…学院長先生や、アロマ先生が倒れてたでしょ?
 でも…私は倒れなかった…
 エウレスが何かしたからかなって…」

 「…根拠が薄いな。
 目の付け所は良いが。
 …僕はただの子供だ。
 あのような大人を下せる訳がなかろう。」

 「…そっか。…そうだね!
 考え過ぎてた。ごめんね?
 エウレス。」

 ズグン。

 胸が疼き、我輩が持つはずのない不安が胸中に渦巻く。

 これは…2年前のあの時、我輩を父母の元へ向かわせたあの…

 ズグン、ズグン、ズグン、ズグン…

 ぐっ…

 「ねぇ、エウレス?…
 エウレス?エウレス!?」

 「…」

 そして我輩は意識を失った。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 __…ねえ。なんで。__

 …何がだ…

 __…なんでウソをつくの…__

 …ウソだと?…

 __…お姉ちゃん、謝ってた…__

 …そうだな。それがどうした…

 __…なんでウソをつくの…__

 …それが必要とあらば、神とて嘘を吐く。…神も世も嘘ばかりだ…

 __…必要?…__

 …そうだ。我輩が復讐を遂げる道筋を見出し、貴様に体を返すその日まで…我輩は嘘を吐き続ける。我輩にできる精一杯の嘘を吐く。それが我が筋。我輩から貴様への礼儀…

 __…__

 …神たる我輩と、人たる貴様のキズナだ…あの父は、あの母は、あの兄姉は…

 __…__

 …貴様の家族だ。違うか?

 

 




 __…!!!…__



 
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