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1!ぶっ飛んだ令嬢
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「おばあさまみてみて!!わたくしできましたわ!!"ひ"ですわ!"ひ"!!おばあさま!!」
「おほほほほ…こりゃこりゃハンナ。危ないよ。振り回すんじゃないよ…ハンナ…危ないから…ハンナっ!!こらっ!!」
「お~っほっほっほ!!わたくし、やっぱりてんさいですわ!!」
ここは西方の国アマラス。
共和主義と屈強な魔導戦士、豊富な資源のもと成り立つ高度経済国家。
そんなアマラス有数の名家デュオランダルの令嬢・ハンナ=デュオランダルは、大好きな祖母と、元気に魔法の訓練に勤しんでいた。
ハンナの年齢はわずか4歳。明日でちょうど5歳となる。
普通なら魔法の訓練など、10歳を過ぎた頃からしか行われないが、デュオランダル家は魔導戦士の家系だ。
その実力で貴族…すなわち貴き希望の一族にまで成り上がった家柄であり、こと魔法の訓練に関しては異常なほど厳しい。
「ふざけたら危ないよ…魔力を安定させるんだよハンナ…」
「だいじょうぶですわ!おばあさま!!わたくしあしたで5つですもの!りっぱにやりとげてみせますわ!!」
デュオランダル家の子は5歳になると単独で獣狩りに出向く。
狩場も獲物も全て自己責任、天任せ。
しかし、それでも類稀な武の才をもつデュオランダル家の人々は、わずか5歳でありながら、竜種や大型獣種を仕留める。
もちろん、今まで死傷者など出たこともない。
そんな異常な家に生まれたハンナも、もちろん人並みから大きく逸脱した才能を有していた。
2歳で抜き身の剣を握り3歳で二刀流に目覚め4歳ですでに大人の魔導戦士顔負けの実力を身につけていた。
才能だけでなく、たゆまぬ努力の賜物だ。
なので、ハンナ自身も、ハンナの祖母も、油断してしまっていた。
「おーっほっほっほ!!つぎはもっとおおきな"かえん"を____」
「!っ危ないハンナ!!!」
キュインッ!
ドゴオオオオオオオオオオオオオオン!!!!!!!!
練習のためのグラウンドは大きくえぐれ、周囲の草花や射撃魔法用の的など、ありとあらゆるものを魔力嵐が吹き飛ばした。
一点に凝縮され過ぎたハンナの魔力が、暴走したのだ。
「これはいけない…"結界"!」
ピキンッ!
祖母が魔力を込めると同時に、透明な箱が風を囲い込む。
よく見ると箱には通気口のように方々へ別の箱が長く伸び、風や熱、衝撃を空へ分散させている。
「ハンナ…返事をしな、ハンナ…!!」
土埃が結界内に充満し、中の様子が分からない。
「大奥様!!どうされました…!!?」
屋敷から執事が慌てた様子で駆けてきた。最近入ったばかりの若い執事だ。
「ああ、セイン…ハンナが、魔力暴走を…!」
「なんですって…!?あの中にハンナ様が……!!?」
若い執事も慌て出し、いよいよ収拾がつかなくなりかけたその時…
「"圧縮"」
キュボッ!!
結界内の残熱や埃が、全て極一点に集中させられた。もちろん魔法。
力の持ち主は執事長・モノフだ。
「大奥様…落ち着いて…まずはハーブティーをご賞味くださいませ…」
「あ…ありがとう、モノフ…」
それどころではないと分かっているのに、モノフのお茶はデュオランダルの大奥でも断れない。
飲むと頭の中がさっぱりと落ち着いていく。
「落ち着かれましたね…では、ハンナお嬢様を…」
「そうね…」
妙に落ち着いてしまった祖母と、最初から落ち着いているモノフ。そして慌てふためくセインが、すっかり静まり返ったクレーターの中心部へ向かう。
「あ…ああっ……そんなっ…!!!」
「これは…」
「うあぁっ…ハンナ様が…!」
ハンナの体は無事だった。
が、首から上が消えていた。
吹き飛んでいた。跡形もなく。
「ああああああ…ハンナ…私の可愛い孫……!!!」
「お気を確かに…メイナス様……」
「うううううう…そんな…ハンナ様…」
「………ぷはーーー!!びっくりぎょーてんいたしましたわ!!」
「「「!!!!?」」」
ハンナの声だった。
体は魔力暴走する前と同じく元気に動き、ブンブンと両手を振り回している。
だが、首から先…そこにはやはり頭は無く…
変わりに紅蓮の炎が揺らめいていた。
ハンナの頭と、ちょうど同じくらいの大きさの炎が。
「あら?なんだかあついですわね…やりすぎてしまいましたわ!はんせい!!」
「「「……………」」」
言葉も出ない祖母達であった。
「おほほほほ…こりゃこりゃハンナ。危ないよ。振り回すんじゃないよ…ハンナ…危ないから…ハンナっ!!こらっ!!」
「お~っほっほっほ!!わたくし、やっぱりてんさいですわ!!」
ここは西方の国アマラス。
共和主義と屈強な魔導戦士、豊富な資源のもと成り立つ高度経済国家。
そんなアマラス有数の名家デュオランダルの令嬢・ハンナ=デュオランダルは、大好きな祖母と、元気に魔法の訓練に勤しんでいた。
ハンナの年齢はわずか4歳。明日でちょうど5歳となる。
普通なら魔法の訓練など、10歳を過ぎた頃からしか行われないが、デュオランダル家は魔導戦士の家系だ。
その実力で貴族…すなわち貴き希望の一族にまで成り上がった家柄であり、こと魔法の訓練に関しては異常なほど厳しい。
「ふざけたら危ないよ…魔力を安定させるんだよハンナ…」
「だいじょうぶですわ!おばあさま!!わたくしあしたで5つですもの!りっぱにやりとげてみせますわ!!」
デュオランダル家の子は5歳になると単独で獣狩りに出向く。
狩場も獲物も全て自己責任、天任せ。
しかし、それでも類稀な武の才をもつデュオランダル家の人々は、わずか5歳でありながら、竜種や大型獣種を仕留める。
もちろん、今まで死傷者など出たこともない。
そんな異常な家に生まれたハンナも、もちろん人並みから大きく逸脱した才能を有していた。
2歳で抜き身の剣を握り3歳で二刀流に目覚め4歳ですでに大人の魔導戦士顔負けの実力を身につけていた。
才能だけでなく、たゆまぬ努力の賜物だ。
なので、ハンナ自身も、ハンナの祖母も、油断してしまっていた。
「おーっほっほっほ!!つぎはもっとおおきな"かえん"を____」
「!っ危ないハンナ!!!」
キュインッ!
ドゴオオオオオオオオオオオオオオン!!!!!!!!
練習のためのグラウンドは大きくえぐれ、周囲の草花や射撃魔法用の的など、ありとあらゆるものを魔力嵐が吹き飛ばした。
一点に凝縮され過ぎたハンナの魔力が、暴走したのだ。
「これはいけない…"結界"!」
ピキンッ!
祖母が魔力を込めると同時に、透明な箱が風を囲い込む。
よく見ると箱には通気口のように方々へ別の箱が長く伸び、風や熱、衝撃を空へ分散させている。
「ハンナ…返事をしな、ハンナ…!!」
土埃が結界内に充満し、中の様子が分からない。
「大奥様!!どうされました…!!?」
屋敷から執事が慌てた様子で駆けてきた。最近入ったばかりの若い執事だ。
「ああ、セイン…ハンナが、魔力暴走を…!」
「なんですって…!?あの中にハンナ様が……!!?」
若い執事も慌て出し、いよいよ収拾がつかなくなりかけたその時…
「"圧縮"」
キュボッ!!
結界内の残熱や埃が、全て極一点に集中させられた。もちろん魔法。
力の持ち主は執事長・モノフだ。
「大奥様…落ち着いて…まずはハーブティーをご賞味くださいませ…」
「あ…ありがとう、モノフ…」
それどころではないと分かっているのに、モノフのお茶はデュオランダルの大奥でも断れない。
飲むと頭の中がさっぱりと落ち着いていく。
「落ち着かれましたね…では、ハンナお嬢様を…」
「そうね…」
妙に落ち着いてしまった祖母と、最初から落ち着いているモノフ。そして慌てふためくセインが、すっかり静まり返ったクレーターの中心部へ向かう。
「あ…ああっ……そんなっ…!!!」
「これは…」
「うあぁっ…ハンナ様が…!」
ハンナの体は無事だった。
が、首から上が消えていた。
吹き飛んでいた。跡形もなく。
「ああああああ…ハンナ…私の可愛い孫……!!!」
「お気を確かに…メイナス様……」
「うううううう…そんな…ハンナ様…」
「………ぷはーーー!!びっくりぎょーてんいたしましたわ!!」
「「「!!!!?」」」
ハンナの声だった。
体は魔力暴走する前と同じく元気に動き、ブンブンと両手を振り回している。
だが、首から先…そこにはやはり頭は無く…
変わりに紅蓮の炎が揺らめいていた。
ハンナの頭と、ちょうど同じくらいの大きさの炎が。
「あら?なんだかあついですわね…やりすぎてしまいましたわ!はんせい!!」
「「「……………」」」
言葉も出ない祖母達であった。
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