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~ありがとう。【暁人】~ 8話
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俺が佐田くんと初めて出逢ったのは中学一年生の頃。
俺は超有名企業の社長【霧島 湊(みなと)】の息子とあって、他のやつらは俺に、親父にめをつけられるのが怖いらしく、俺と一緒にいようとはしなかった。
俺は別にそれでも良いと思っていたから自分から歩み寄ろうとはしなかった。
でも、中学に入学式してから何日か経った後、俺がいつものように帰ろうとした時、後ろから声をかけられた。
その男は嘘偽りない笑みで俺にこう言った。
「ねぇ、君って霧島望くんでしょ?
これ、落としてたよ。ハンカチっ!」
「え。」
な、なんだこいつ……。
なんで俺に……てか、それ俺のじゃない……
「それ、俺のじゃないよ」
「え!?………そんなはずは!?
あ…。本当だ。霧崎臨だ!!
か、漢字が違う…僕、てっきり【望くん】の物だとばかり。」
の、望くん……?
【望くん】そう呼ばれたのは初めてだった。そんな些細な事でも、俺にとっては衝撃的で、それと同時に、不思議な感覚がした。
「あ、じゃあ僕はこれで!!!」
「あっ、まって!君の名前。なんていうの?」
「名前?あぁ、そっか。自己紹介してなかったね。僕は佐田暁人!!よろしくね!」
そう言って佐田くんは長い廊下を走っていった。
「佐田くん…か。ふふふ。」
この時から俺は佐田くんを毎日観察するようになった。話かけようかとも思ったけど、俺はそれをためらった。
毎日観察を続けているうち、俺は変な感情を持ち始めた。
毎朝佐田くんを見つけると心がギュッとなる。
佐田くんが他の男や女と話していると、心の奥からふつふつと怒りが湧き上がってくる。
俺は。気付いてしまった。この感情の正体を…………
「俺……佐田くんの事が好き……なんだ。」
「ーーーーーー。っ。あ、あれ?
佐田くん?」
「っ!!望っ!!だ、大丈夫!?」
あぁ。やっぱり、佐田くんって可愛いな。
「うん。大丈夫だよ。」
「で、でも。僕のせいで……。
お詫びに、僕にできる事があったら言ってくれ!!」
「お詫び?」
僕がそう言うと、望は少し悩んだ後、なにか企んでいる笑みを浮かべ、僕は嫌な予感がし、少し後悔したーーーーーー。
「じゃあ、一つだけ、お願い聞いてくれる?」
「【僕にできる事なら】だからなっ!」
「ふふふ。何想像してるの?
俺がお願いしたい事は、
俺と【デート】しよ…?佐田くん。」
「で、でぇーと?
…………デート!?」
あれ……意外と普通。な、なんなんだ?
望は性行為しか頭にない奴だと思ってたのに……。
「あ。佐田くん。俺のこと、【SEXしか頭にない奴】って思ったでしょ?」
「え!?」
「あっははっ!佐田くん。
分かりやすすぎ。」
「あ……」
望が本気で笑ってる顔、初めて見た。
なんだよ、こういう顔もできるんじゃんか。
その時、僕の心が暖かくなるのを感じた。
「?どうしたの、佐田くん?」
「……。なぁ、その【佐田くん】って呼び方、やめてよ。
望は、僕がいじめられてるのを利用して性行為してた、すっげぇクズだけどさ……。
下の名前で呼ぶことぐらい、許してやるよ。」
「え…………。ふふふ。
そっか、ありがとう。【暁人】」
我ながら、なんでそんな事を言ったのか分からなかった。
もしかしたらその理由は、ただ僕が【望】と呼んでいるのに、あいつは僕の事を【佐田くん】と呼んでいるのが気に食わなかったからなのか、
それとも、もっと他の理由なのか。
その時の僕には皆目見当もつかなかった。
でもーーーーーーーーー。
僕を【暁人】と呼んだ望の顔は、いつもの顔よりは悪くない。と、
僕は思ったのだった。
俺は超有名企業の社長【霧島 湊(みなと)】の息子とあって、他のやつらは俺に、親父にめをつけられるのが怖いらしく、俺と一緒にいようとはしなかった。
俺は別にそれでも良いと思っていたから自分から歩み寄ろうとはしなかった。
でも、中学に入学式してから何日か経った後、俺がいつものように帰ろうとした時、後ろから声をかけられた。
その男は嘘偽りない笑みで俺にこう言った。
「ねぇ、君って霧島望くんでしょ?
これ、落としてたよ。ハンカチっ!」
「え。」
な、なんだこいつ……。
なんで俺に……てか、それ俺のじゃない……
「それ、俺のじゃないよ」
「え!?………そんなはずは!?
あ…。本当だ。霧崎臨だ!!
か、漢字が違う…僕、てっきり【望くん】の物だとばかり。」
の、望くん……?
【望くん】そう呼ばれたのは初めてだった。そんな些細な事でも、俺にとっては衝撃的で、それと同時に、不思議な感覚がした。
「あ、じゃあ僕はこれで!!!」
「あっ、まって!君の名前。なんていうの?」
「名前?あぁ、そっか。自己紹介してなかったね。僕は佐田暁人!!よろしくね!」
そう言って佐田くんは長い廊下を走っていった。
「佐田くん…か。ふふふ。」
この時から俺は佐田くんを毎日観察するようになった。話かけようかとも思ったけど、俺はそれをためらった。
毎日観察を続けているうち、俺は変な感情を持ち始めた。
毎朝佐田くんを見つけると心がギュッとなる。
佐田くんが他の男や女と話していると、心の奥からふつふつと怒りが湧き上がってくる。
俺は。気付いてしまった。この感情の正体を…………
「俺……佐田くんの事が好き……なんだ。」
「ーーーーーー。っ。あ、あれ?
佐田くん?」
「っ!!望っ!!だ、大丈夫!?」
あぁ。やっぱり、佐田くんって可愛いな。
「うん。大丈夫だよ。」
「で、でも。僕のせいで……。
お詫びに、僕にできる事があったら言ってくれ!!」
「お詫び?」
僕がそう言うと、望は少し悩んだ後、なにか企んでいる笑みを浮かべ、僕は嫌な予感がし、少し後悔したーーーーーー。
「じゃあ、一つだけ、お願い聞いてくれる?」
「【僕にできる事なら】だからなっ!」
「ふふふ。何想像してるの?
俺がお願いしたい事は、
俺と【デート】しよ…?佐田くん。」
「で、でぇーと?
…………デート!?」
あれ……意外と普通。な、なんなんだ?
望は性行為しか頭にない奴だと思ってたのに……。
「あ。佐田くん。俺のこと、【SEXしか頭にない奴】って思ったでしょ?」
「え!?」
「あっははっ!佐田くん。
分かりやすすぎ。」
「あ……」
望が本気で笑ってる顔、初めて見た。
なんだよ、こういう顔もできるんじゃんか。
その時、僕の心が暖かくなるのを感じた。
「?どうしたの、佐田くん?」
「……。なぁ、その【佐田くん】って呼び方、やめてよ。
望は、僕がいじめられてるのを利用して性行為してた、すっげぇクズだけどさ……。
下の名前で呼ぶことぐらい、許してやるよ。」
「え…………。ふふふ。
そっか、ありがとう。【暁人】」
我ながら、なんでそんな事を言ったのか分からなかった。
もしかしたらその理由は、ただ僕が【望】と呼んでいるのに、あいつは僕の事を【佐田くん】と呼んでいるのが気に食わなかったからなのか、
それとも、もっと他の理由なのか。
その時の僕には皆目見当もつかなかった。
でもーーーーーーーーー。
僕を【暁人】と呼んだ望の顔は、いつもの顔よりは悪くない。と、
僕は思ったのだった。
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