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大人になった僕ら
42.あいしあう(1) ※成人向け
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キスってこんなに甘かったんだな。
早音が大型犬にでもなったみたいに、俺の口の中をべろべろと舐めてくるので、もうふたり分の唾液が混ざって、飲みきれない。ふれ合うと、そこからどんどん甘くなっていくように感じるから、俺の味覚は馬鹿になっているのかもしれない。
(もっと、もっと飲ませて、早音)
暴れているのに俺の気持ちいいところを的確にさらう舌に必死に付いていくと、ふと、早音が笑った気がした。
「智、いっぱい欲しがって、赤ん坊みたい」
「だって、何か、甘くて……」
「舐めるの好きなの?」
ひとの話を聞いてるのか聞いてないのか。聞いてないなあこれ、早音らしい。
「そんなに欲しいなら、俺の舐めてよ」
「早音、の?」
「ここ」
手をとって導かれる、早音のあそこ。
そこはもう興奮して、デニムの前をきつそうに押し上げている。
俺はその事実に頬を赤らめてしまう。何度も早音とはえっちしてるのに、まだ俺の身体にこんなに欲情してくれるらしい。何だか嬉しい。
(まあ、俺、めちゃくちゃ美しいからな)
飽きさせないつもりだし、飽きたら怒る。絶対に。
なんて、『早音のを舐める』という事実から現実逃避していたのに、早音はもうやる気満々というか、やらせる気満々だ。
「スーツ汚したら困るだろ。脱がせてあげる」
「え、何でもう決定事項なんだよ! そんな、恥ずかしい、こと」
「できないの? 僕はするだろ、たまに」
何だその挑発。
乗らないぞ、と思うのに、早音の手に脱がされっぱなしになる。
ちくしょう、舐めたいんじゃなくて、早音が言うから仕方なく、だからな!
すっかり丸裸にされてしまって、早音も素っ裸で、あれ? と思う。早音もガチガチに勃起した身体で、何でそんなに熱い目で見るんだよ。
「智、僕に跨がって」
「は!? なに、言って」
「早く挿れたいんだ。でも智は僕のを咥えなきゃならないよね。だから、同時にしよう」
待って、待ってくれ。
それっていわゆるシックスナインでは。
そんな濃厚なの、したことない!
「やだ、恥ずかしい、そんなの……!」
「何で? 智のえっちな場所が全部丸見えになるだけだけど」
「早音、わざと言ってるだろ!」
絶対に俺を困らせて楽しんでる。
早音を睨むと、何故だか愛おしげに見返されて、腹の底がきゅんとしてしまった。何なんだ、俺の身体。
「どうしても嫌なら挿れるだけにするけど」
寂しそうにするな。何て卑怯なんだこいつ。
何で俺、こんな男が好きなんだっけ。──こいつが糸島早音だからだ。全部、好きじゃん。困る。
「……くしょ、俺、上手くないからな!」
真っ赤になった顔が早音から見られないのは、気分がちょっとだけマシだ。
早音の顔に下半身を見せつける格好、は、死にたくなるほど恥ずかしいけど。
「うわ、絶景」
「……ジジくせえ。それに、男のそんなの見て何が楽しいんだよ」
「楽しいけど。智、もう欲しいの? 先走りが溢れてる。可愛い」
実況するな。可愛いとか言うな。あまつさえ、もう指、挿れようとすんな!
ローションがその辺からほいほい出てくるこのベッドに押し倒された時点で俺はもう負けだった。いや違う、この糸島早音に惚れたときから、もう、俺は駄目になっている。
「さね、もっと」
「……可愛いこと、言わないで。抑えが効かなくなる」
「な──あんっ!」
俺の中に入っている指が、俺の好きな、入り口付近を宥め始める。そこをぐずぐずにされると俺は弱い。それなのに、智のもう片方の手が俺の欲を扱き始めて、膝から震える。
俺、びちゃびちゃにこぼしすぎだ。自分で恥ずかしいくらい濡らして、きっと腹にまで雫が飛んでる。
「智、口がお留守だよ。智はその口だってえっちだろ?」
貶されているのか、急かされているのか分からない。
でも俺は、智を愛することを決めた。この唇で。
男の欲望なんて舐める日が来るなんて思っていなかった。
もやしっ子のくせに無駄にでかい早音自身に口を近づけると、濃厚な男のにおいがする。香りだけで、ぞくぞくするほど気持ちが好い。早音が俺を欲してこうなっているのだから、俺には快感にすり替わるだけだ。
「む……、んっ、はあっ」
張り詰めた独特の感触に、一生懸命舌を這わせる。
何だ、これ。くせになる。俺が一生懸命啜って舐めて、喉に迎え入れるほどに、早音がどんどん育つのが分かる。
(俺が舐めるの、嬉しい? なあ、早音)
俺は、もうこの性器に奉仕するのが、嬉しくて切なくて仕方がない。
俺で、早音が、悦んでくれるのが、こんなに嬉しい。
(だめだ、俺、早音のこと)
好き、より上は何て言えばいいんだろう。
分からないけど、早音を追い詰める度に、多分俺の内側もきゅうきゅう締まっている。口と、早音を受け入れる場所が、繋がってしまったみたいだ。
「は……智、そんなに美味しい? 僕のそれ、好き?」
俺はこくりと頷く。口の中が早音で埋まっていたから。早音の方から見えたかな。分からないけど、きっと早音は気づいてくれた。俺のを虐める手を、速めたから。
身体をよじって快感を逃がしたいのに、早音がそれを許してくれないから、どんどん気持ち好い、が溜まったままになる。
頭がおかしくなりそうだ。
そう思っていたのに。
「む!? んん……っ! さね、それ、や……!」
早音の、舌だろうものが、俺の入り口を舐めた。俺は思わず早音から口を離す。
こいつ、頭おかしい! そんなところ、絶対に口でどうこうする場所じゃない。
「やだ、やらぁ……! さね、やめて」
必死に懇願するのに、早音の舌は中に入ってくるし、手は俺の弱いところばかりを狙う。やばいって、それ、どうにかなりそう。
足が震える。早音に奉仕する、なんて、余裕がなくてできない。ただ早音に与えられる快楽から逃げたい。俺が、俺じゃ、なくなりそうだから。
「智」
「な、に……?」
「好きだよ、智」
こんな時に、そんなこと、言うかよ。
おかげで俺はもう訳が分からないままに、精を吹き上げてしまった。声の刺激でこんなことになるなんて、情けない。ああ、びちょびちょ。
「可愛かった、智。もっと、もっと乱れて」
早音がなんか怖いことを笑顔で告げてくる。
俺はとんでもない奴を好きになってしまったのかもしれない。
早音が大型犬にでもなったみたいに、俺の口の中をべろべろと舐めてくるので、もうふたり分の唾液が混ざって、飲みきれない。ふれ合うと、そこからどんどん甘くなっていくように感じるから、俺の味覚は馬鹿になっているのかもしれない。
(もっと、もっと飲ませて、早音)
暴れているのに俺の気持ちいいところを的確にさらう舌に必死に付いていくと、ふと、早音が笑った気がした。
「智、いっぱい欲しがって、赤ん坊みたい」
「だって、何か、甘くて……」
「舐めるの好きなの?」
ひとの話を聞いてるのか聞いてないのか。聞いてないなあこれ、早音らしい。
「そんなに欲しいなら、俺の舐めてよ」
「早音、の?」
「ここ」
手をとって導かれる、早音のあそこ。
そこはもう興奮して、デニムの前をきつそうに押し上げている。
俺はその事実に頬を赤らめてしまう。何度も早音とはえっちしてるのに、まだ俺の身体にこんなに欲情してくれるらしい。何だか嬉しい。
(まあ、俺、めちゃくちゃ美しいからな)
飽きさせないつもりだし、飽きたら怒る。絶対に。
なんて、『早音のを舐める』という事実から現実逃避していたのに、早音はもうやる気満々というか、やらせる気満々だ。
「スーツ汚したら困るだろ。脱がせてあげる」
「え、何でもう決定事項なんだよ! そんな、恥ずかしい、こと」
「できないの? 僕はするだろ、たまに」
何だその挑発。
乗らないぞ、と思うのに、早音の手に脱がされっぱなしになる。
ちくしょう、舐めたいんじゃなくて、早音が言うから仕方なく、だからな!
すっかり丸裸にされてしまって、早音も素っ裸で、あれ? と思う。早音もガチガチに勃起した身体で、何でそんなに熱い目で見るんだよ。
「智、僕に跨がって」
「は!? なに、言って」
「早く挿れたいんだ。でも智は僕のを咥えなきゃならないよね。だから、同時にしよう」
待って、待ってくれ。
それっていわゆるシックスナインでは。
そんな濃厚なの、したことない!
「やだ、恥ずかしい、そんなの……!」
「何で? 智のえっちな場所が全部丸見えになるだけだけど」
「早音、わざと言ってるだろ!」
絶対に俺を困らせて楽しんでる。
早音を睨むと、何故だか愛おしげに見返されて、腹の底がきゅんとしてしまった。何なんだ、俺の身体。
「どうしても嫌なら挿れるだけにするけど」
寂しそうにするな。何て卑怯なんだこいつ。
何で俺、こんな男が好きなんだっけ。──こいつが糸島早音だからだ。全部、好きじゃん。困る。
「……くしょ、俺、上手くないからな!」
真っ赤になった顔が早音から見られないのは、気分がちょっとだけマシだ。
早音の顔に下半身を見せつける格好、は、死にたくなるほど恥ずかしいけど。
「うわ、絶景」
「……ジジくせえ。それに、男のそんなの見て何が楽しいんだよ」
「楽しいけど。智、もう欲しいの? 先走りが溢れてる。可愛い」
実況するな。可愛いとか言うな。あまつさえ、もう指、挿れようとすんな!
ローションがその辺からほいほい出てくるこのベッドに押し倒された時点で俺はもう負けだった。いや違う、この糸島早音に惚れたときから、もう、俺は駄目になっている。
「さね、もっと」
「……可愛いこと、言わないで。抑えが効かなくなる」
「な──あんっ!」
俺の中に入っている指が、俺の好きな、入り口付近を宥め始める。そこをぐずぐずにされると俺は弱い。それなのに、智のもう片方の手が俺の欲を扱き始めて、膝から震える。
俺、びちゃびちゃにこぼしすぎだ。自分で恥ずかしいくらい濡らして、きっと腹にまで雫が飛んでる。
「智、口がお留守だよ。智はその口だってえっちだろ?」
貶されているのか、急かされているのか分からない。
でも俺は、智を愛することを決めた。この唇で。
男の欲望なんて舐める日が来るなんて思っていなかった。
もやしっ子のくせに無駄にでかい早音自身に口を近づけると、濃厚な男のにおいがする。香りだけで、ぞくぞくするほど気持ちが好い。早音が俺を欲してこうなっているのだから、俺には快感にすり替わるだけだ。
「む……、んっ、はあっ」
張り詰めた独特の感触に、一生懸命舌を這わせる。
何だ、これ。くせになる。俺が一生懸命啜って舐めて、喉に迎え入れるほどに、早音がどんどん育つのが分かる。
(俺が舐めるの、嬉しい? なあ、早音)
俺は、もうこの性器に奉仕するのが、嬉しくて切なくて仕方がない。
俺で、早音が、悦んでくれるのが、こんなに嬉しい。
(だめだ、俺、早音のこと)
好き、より上は何て言えばいいんだろう。
分からないけど、早音を追い詰める度に、多分俺の内側もきゅうきゅう締まっている。口と、早音を受け入れる場所が、繋がってしまったみたいだ。
「は……智、そんなに美味しい? 僕のそれ、好き?」
俺はこくりと頷く。口の中が早音で埋まっていたから。早音の方から見えたかな。分からないけど、きっと早音は気づいてくれた。俺のを虐める手を、速めたから。
身体をよじって快感を逃がしたいのに、早音がそれを許してくれないから、どんどん気持ち好い、が溜まったままになる。
頭がおかしくなりそうだ。
そう思っていたのに。
「む!? んん……っ! さね、それ、や……!」
早音の、舌だろうものが、俺の入り口を舐めた。俺は思わず早音から口を離す。
こいつ、頭おかしい! そんなところ、絶対に口でどうこうする場所じゃない。
「やだ、やらぁ……! さね、やめて」
必死に懇願するのに、早音の舌は中に入ってくるし、手は俺の弱いところばかりを狙う。やばいって、それ、どうにかなりそう。
足が震える。早音に奉仕する、なんて、余裕がなくてできない。ただ早音に与えられる快楽から逃げたい。俺が、俺じゃ、なくなりそうだから。
「智」
「な、に……?」
「好きだよ、智」
こんな時に、そんなこと、言うかよ。
おかげで俺はもう訳が分からないままに、精を吹き上げてしまった。声の刺激でこんなことになるなんて、情けない。ああ、びちょびちょ。
「可愛かった、智。もっと、もっと乱れて」
早音がなんか怖いことを笑顔で告げてくる。
俺はとんでもない奴を好きになってしまったのかもしれない。
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