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三千世界・黎明(11)

第二話「己を賭して」

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 エンベル森林
 レメディたちが森へ入ると、そこでも激しい戦闘が繰り広げられていた。見慣れた二人の男が、己の得物を持って斬り合う。
「明人さんと先生!?」
 レメディの言った通り、戦っていたのは明人とレイヴンだった。
「俺は後は帰るだけなんだよ!突っ掛かってくんなバカ!バカバカバカ!」
「そりゃ妹の連れに会ったらちょっかいもかけたくなるだろ、なぁ?」
 競り合う剣を明人が押し返し、二人は呼吸する。
「親戚みたいなもんだろ?なんでそんなにキレてんだ」
「知り合いに問答無用で攻撃仕掛けてくんな!特異点が来る前に帰りたいんだよこっちは!あんだけカッコつけて退場しておいて追い付かれたらカッコ悪……」
 明人がレメディたちに気付く。
「帰る!」
 異常なレスポンスの早さで明人は消える。レイヴンが剣をアーシャに戻し、二人でレメディへ歩み寄る。
「よう!ほんの数日会わないだけで、二人ともいい顔になってんじゃねえか」
 レイヴンの言葉に、レメディたちは笑む。
「先生もお元気なようで何よりです」
 ヴィルが続く。
「センセはなんでここに?」
 レイヴンが自分の顎に触れつつ答える。
「そりゃあ、お前さんたちを迎えに来るためだろ。この辺で合流しとかないと、この先なかなかタイミングが無いだろうしな」
「なるほど~」
「で、他の奴らは?」
「俺たちを逃がすために黒皇獣と戦ってンす」
「ほう。ルータ辺りは逃げるのを優先してくると思ってたが」
 アーシャが仕方なさそうに肩を竦める。
「主導権がロータちゃんにあって、ラータも中に居るんですから無理ですよ」
「まあそうだな。よし、そいつらが帰ってくるまでここで待つか」
 レイヴンの言葉に、レメディたちも頷く。

 政府首都アルマ
 恐るべき威力の豪雷が降り注ぎ、だがアストラムは驚異的な機動力で全てを躱す。
「ババアは老眼だから俺には当てられねえかぁ!」
 アストラムが吼えながら飛び上がり、次の雷撃を構えていたイシュタルを殴り落とす。甚だしい速度で道路に叩きつけられ、続く双頭斧の一撃を瞬間移動で間一髪回避する。だがそんな事は読み切っていたとばかりにアストラムは豪快に構え、双頭斧を放る。イシュタルは蓄えていた雷撃を解放することで双頭斧を押し止めるが、即座に肉薄した手を支えに逆立ちしたアストラムの強烈な回し蹴りが脇腹に叩き込まれ、ビルの壁面に叩きつけられる。アストラムは姿勢を戻し、弾かれ宙を舞っていた双頭斧を掴む。
「くっ……これが音に聞く星の赤子の力か……!」
 イシュタルはめり込んだ壁面から離れ、浮かぶ。
「流石に世界ひとつを犠牲にして生まれただけのことはある」
 傷を癒しつつ、イシュタルは平生を保つ。
「神様だった頃より俄然強いなクソババア」
「当然だ。地球という矮小な山で親分を気取る、あの愚か者と同列に語られるなど、私のプライドが許さん」
 彼女の全身からシフルが沸き立つ。
「次元門を解放するために虐殺しているだけだったが……お前を総力を以て討ち滅ぼしたくなった」
 竜化した彼女は槍を構えた黄金の竜人となり、瑠璃色の双翼を広げる。
「私の枝のひとつたるアスタルテを、あの愚物は詰まらん言い換えで貶めてきた。だが今となっては、奴を生物としての地位も、持つ力も全て凌駕した。あんな小物と張り合っていた頃の、なんと無為な時間よ」
「神様もなんだかんだで苦労してたんだな」
「当然だろう。生まれた時点で、三つの罪を被せられ、そして人が居らねば、そして信仰せねば存在すら許されんのだぞ。黒皇獣となり、己を保存しようというのは当然の流れよ。己より広い世界があると認められんあやつには、こんな芸当は出来んだろうがな」
 イシュタルは槍を掲げ、再び豪雷が降り注ぐ。更に彼女はそのままアストラムへ接近する。
「しゃあ!やっぱそうこなくっちゃなぁ!」
 双頭斧と槍が激突し、激甚な衝撃が起こる。干渉し合った力が力場となり、周囲の瓦礫が不意に浮遊し始める。行政都庁の頂上の空に罅《ひび》が入り、死体や瓦礫がシフルに変わって天へ昇っていく。
「星の赤子だの特異点だのしゃらくせえ!戦いに能書きなんて何の意味もねえんだよォ!」
「お前の言うとおりだな……!」
 イシュタルは競り合う槍を手元に戻し、双頭斧の追撃を身を翻しながら背に槍を添え、弾く。続いて瞬時に猛烈な刺突が放たれ、僅かに後退して避け、穂先を左手で掴んで受け止める。凄まじい電撃がアストラムの手を焼き焦がすが、全く動じない。
「楽しかったぜババア。だが終わりだッ!」
 穂先を握り潰し、左腕を竜化させてラリアットをぶつけて薙ぎ倒し、クロックアップしたかのような挙動で双頭斧を渾身の力で叩きつける。圧縮されたシフルエネルギーが極大の爆発を起こし、強烈な閃光に辺りが包まれる。それが収まると、竜化を解いたイシュタルが前方の空中に浮いていた。
「チッ、躱したか」
「我らの目的も、お前の目的もここで殺す、死ぬことではあるまい」
 イシュタルは背を向ける。
「天を見よ」
 二人が揃って天空を見上げると、中天に入った罅が大きく広がり始めていた。
「次元門が開き始めた……」
「その通りだ。欲を言えば特異点の力を試したいところではあったが……まあ、お前の強さを再確認できたことも収穫であったのかもしれんな」
「はんッ。黒皇獣は全員俺がどんなもんか知ってるくせによ。さっさと帰りやがれクソババア」
「そうさせてもらおう。ではな、アストラム・コルンツ」
 イシュタルは消えた。
「チッ、俺もさっさとずらかるか」
 アストラムは双頭斧を消し、街を駆け抜ける。
 ――……――……――
 紫のレイピアがイナンナの乳房ごと右胸を貫く。
「黒皇獣と、曲がりなりにも真性の王龍では力量の差がありすぎるか」
 イナンナがレイピアを砕いて回し蹴りを放つが、エストは既に得物を手放して後退していた。
「もちろん、美しさも、ですよね?」
 エストが嫌味ったらしく告げるが、イナンナは特に反応を示すこともない。
「流石は最強の三柱の眷属たる、隷王龍エストエンデよな。だが――」
 イナンナの纏う闘気が赤く変貌していく。
「我も深淵を垣間見た。無の無……全ての世界の全ての万物がいずれ辿り着く、大いなる流転の坩堝、その姿を」
 闘気が彼女の体を覆い、閃光が膨れ上がっていく。
「これは……メギド・アーク……!」
 エストが少々驚く。
「闘気の終着点たるこの力、いかにお前と言えどそよ風とはなるまいッ!」
 イナンナは竜化する。現れたその姿は、マッシブで鋭角な甲殻に覆われたヒトの上半身と、蛇の下半身を組み合わせた怪物だった。
「我が力の到達点、ナンムの姿なるぞ!ティアマトなどという世迷い言の化身とは格が違うのよ!」
 胸前で構えた両手の狭間に莫大な激流が蓄えられ、右手を天に掲げて弾け飛ばす。猛烈な水の勢いが天より注ぎ、瓦礫と死体をシフルへと融かしていく。エストは飛び上がりつつ竜化する。漆黒の鋼の鱗と、巨大な一対の翼を携えた、四足の竜が顕現し、迸る激流の最中、宙に浮かぶ。
「確かに、人の姿で相手取るには手に余るでしょうね」
 エストは咆哮する。同時に彼女の体から漆黒の蝶が大量に飛び立つ。更に先程まで青天であった天空には暗雲が立ち込め、暴風雨が発生する。
「本気で、とまでは行きませんが、竜の姿でお相手差し上げますよ。うふふ」
 全身を使って右翼を振り抜き、猛烈な暴風がイナンナへ飛ぶ。しかし足元から沸き立つ水の壁が受け止め、再び両手に蓄えた激流をエストへ放る。エストが若干その場で翼をはためかせ、突然自身を中心に壮絶な竜巻を起こす。激流を打ち消しつつ、竜巻は徐々に動き始める。蝶たちが一気にエストへ集まり、放たれた空気の塊に乗ってイナンナの眼前で爆裂する。弾けた蝶たちが結晶になって周囲へ突き刺さり、瞬時に爆裂する。イナンナは簡単な防御で防ぎつつ、自らの激流に合わせて泥で大地を侵食していく。
 と、二人の耳に何かが割れるような音が届く。それぞれが注意を向けると、行政都庁の頂上に大穴が開かんとしているのが見えた。
「レメディ君たちが面倒に巻き込まれなくてよかったわ」
「惜しいものよ、我に目的なくば、お前とどちらかが消し飛ぶまで戦い続けたものを」
「ダメですよ。ここが半分異界と化しているからこそ私たちがこの程度の小競り合いをしようと問題ないですがね、全力で当たれば、せっかくの超越世界が壊れてしまうでしょう?」
「ふん」
 イナンナは鼻で笑うと、竜化を解く。
「まあ何にせよ、我ら黒皇獣にとって言えば、結論、世界がどうなろうとどうでもよい訳だ。黒皇獣も、王龍も、皆特異点がアルヴァナを葬る、その瞬間を狙っている。エストエンデ。特異点の尊厳を砕き、凌辱し尽くしたいと思うのならば、お前の主でさえ敵になると、よくよく胸に刻み込んでおくことだな」
 そう言い残し、彼女は消えた。
「……。重々承知しておりますとも。それでも私も、おばさまも、母様も……己の性《さが》の欲望には逆らえない」
 ぼそり呟いたところに、荒れ狂う水面を走ってアストラムが現れる。
「おいエスト!片ついたならさっさとずらかるぞ!次元門がもうほぼ開ききってる!」
「もちろん」
 エストはアストラムを背に乗せ、完全な崩壊を始めたアルマの街を飛び抜ける。
 ――……――……――
 巨大な大剣が振り下ろされ、体格相応の小さな裏拳に弾き返される。ギルガメスが怯んだ瞬間、天象の鎖が胴体の鎧に五本打ち込まれ、刃先の返しで鎧を引き剥がしつつ、勢いをつけたアッパーカットをぶつけ、爪先蹴りからの踵落としを決め、大きく後退させる。
「おお、おおぉッ!?まさか俺がここまで押されるとは……!」
 ギルガメスが体勢を立て直すが、既に胴体に鎖が巻き付けられており、そのまま力任せに振り回される。しかしギルガメスも力ずくで鎖を引き千切り、突如として腕を四本追加する。合計六本の腕にはそれぞれ剣が握られており、高名な得物――に見えなくもない。ギルガメスは空中を滑るように移動し、大振りながらもディレイをかけて右腕三本を向ける。ロータは背から黒い骨の右翼を産み出して体を翻し、右翼とギルガメスの武器が激突して火花を散らす。
「あの時はどうもね、ギルガメス」
「ガッハッハ!今日は絶好調のはずなんだがなぁ……」
 鎖がギルガメスの右腕三本を戒め、素早く身を翻して翼で切断し、左腕を竜化させて腹に拳を極めつつ、圧縮した魔力を爆発させて吹き飛ばす。
「うごはぁッ!」
 甚だしい衝撃でギルガメスは武器を手放し、倒れたまま動かない。
「すっきりした。じゃあね」
 ロータがそう言うと、彼の胴体に鎖を巻き付け、街中へ向けて放り投げる。
「あ~れ~!?」
 ギルガメスはベタな叫びを上げながら彼方へ消えていった。程無くして、開ききった次元門が政府首都を飲み込んでいく。大橋の向こうからエストとアストラムが全速力で向かってきて、ロータと合流する。
「イシュタルとイナンナは」
 大橋から次元門を眺めつつ、ロータが問うとアストラムが答える。
「大事なく撃退したぜ。次元門が開いたが……空の器の言うとおり、エウレカに行くんだろ?」
「それしかない。楔が9つなら、人の六罪、神の三罪をそれぞれ封印したものだから……それを使って何をしようとしてるのか、ちゃんと確かめる必要もある」
 エストが思案顔になる。
「それにしても、ここで次元門を開いて繋げた世界は一体なんなのでしょうね」
「さあね。それを知るためにも、先に進まないと」
 三人は大橋を進み始めた。
 ――……――……――
 スラオシャの右腕と刀が激突し、弾き返され、着地した不知火へ天地より光の柱が立ち上る。不知火は瞬時に後退して躱す。
「これだけ戦えば充分だろう」
 スラオシャは構えを解く。
「既に同胞がこの世界で各々の欲望のままに主の手駒となり動いている。これ以上私が干渉する理由もさしてあるまい。覚えておけ、アルヴァナの狗よ。特異点を使い、座を奪うのは我らの主、王龍ニヒロである」
 そのまま、彼は天に召された。間もなく後方からロータたちが合流する。
「シラヌイ、レメディたちは?」
 ロータの問いに、不知火は頷く。
「この先の森へ向かった。戦闘の気配がしない以上、無事であると思うが」
「じゃ、行こう」

 エンベル森林
 森へ足を踏み入れると、レメディたちがどこから持ってきたのか、簡素なテーブルを囲んで茶会を開いていた。
「何やってるの……って、兄様」
 ロータがその光景を見て疑問を浮かべながら視線を上げると、レイヴンと目が合う。
「よう、お疲れさん。流石は俺の義妹《いもうと》だな」
 誉められて、珍しくロータは自慢げに笑む。
「それほどでも……ある。でも……兄様の読みがあったお陰で、大体何が起こるのか予想がついたし……兄様の方が、すごい」
「ハハッ、ありがとよ。ま、資料を掻き集めてきたのはこいつだから、礼はこっちにな」
 レイヴンがアーシャの頭をわしゃわしゃと撫でる。そしてアーシャはその手を叩いて離させる。
「止めてください。学生の前なんですから、もうちょっとちゃんとした方がいいと思いますー」
「おいおい、まだ拗ねてんのか?そっちからパフェを口移しで食べたいって言ってきたのにか?」
「ぶっ……ち、ちーがーいーまーすー!そう言えば最近キスとかあんまりしてませんねって話題のあとにあーんしてほしいっておねだりしたらそっちが曲解しただけじゃないですかぁ!」
「ハハッ、悪ぃ悪ぃ。でもアーシャも顔真っ赤にしながらノリノリで来たけどなぁ?」
「あう……それは……でも!でもでもでも!悪いのは相棒です!それしかないですー!」
 痴話喧嘩を見かねた不知火が口を開く。
「見るに耐えん会話をしているところ済まんが、先へ進まんのか、虚の鴉」
 レイヴンが真面目な表情に戻って不知火へ視線を向ける。
「ああ、先へはもちろんすぐ進む。どのタイミングでどれくらい行軍するかは、まあレメディ次第だがな。だが一つ、言っとかなきゃならんことがある」
「ほう」
「この世界から次元門で繋げられた世界は、旦那曰く戦乱の世界。即ちWorldBだ。そこに、アルヴァナの命に従って王龍の軍勢が集結し始めているらしい。明人は、恐らくそちらの世界でやるべきことの前準備の仕上げを任されているんだろう」
 レイヴンはレメディとヴィルへ視線を向ける。
「二人とも、エウレカで明人と戦うまでに覚悟を決めとけよ。恐らく、この世界には二度と戻れない」
「元より、そのつもりです。バロンさんを目指した時点で、どんな過酷な道を受け入れるつもりですから」
「俺はレメディを支え続けるっす。どんだけやべえ道でも、最後まで」
 二人の言葉を聞いて、レイヴンが笑う。
「ったく、ガキンチョの成長ってのは早いもんだな。で、いつ出発すんだ?」
 レメディが答える。
「すぐにも発ちましょう。待つ理由もないので」
「よし、ならそうするか」
 レイヴンが立ち上がり、アーシャが広げていた茶菓子やら食器やらを消し去る。レメディとヴィルも支度を整え、一行はその場を後にしたのだった。
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