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三千世界・結末(10)
第九話「暴力の行き着く果て」
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クロザキは消えてなくなる。残った黒い骨を、ホシヒメが取り込む。
手軽な浮遊大地をホシヒメが産み出し、全員が人間に戻ってそこに降り立つ。
「終わったのじゃな」
ゼナが伸びをすると、服についていた燐が落ち、程なくして消える。
「……いや、まだだ」
バロンがアグニの方へ向く。
「まさかとは思うが、この期に及んでお主ら、戦うなどとは言わんよな?」
ゼナが飽きれ気味に言い、ホシヒメが続く。
「二人は友達?好敵手?」
バロンとアグニが同時に答える。
「……好敵手だ」
「好敵手に決まってんだろ」
その返答に、ホシヒメは満面の笑みを向ける。
「じゃあ戦おう!ライバルと戦う機会なんてそうそうないからね!」
「ちょっ、お主……」
困惑したゼナがエリアルを見て、彼女は肩を竦める。
「ま、こうなったら止められないし」
「ぬう……仕方ない。バロン!お主、万が一にも負けなどしたら承知しないのじゃぞ!」
バロンはゼナの言葉に微笑みで返し、アグニと共に大地の中央に立つ。
「……思えば、今の僕が最初に戦った強敵はお前だった」
「あん時は俺もてめえも全部忘れちまってたけどな」
「……ここまで来るのに、随分と時間がかかったものだ」
「だが舞台としちゃ不足はねえだろ?形が決まる前の世界なら、派手にやりあっても被害はねえ」
「……ふっ」
「ふん」
どこまでも広い青と白の中で、二人は笑う。
「我が名、黒鋼!」
「これこそが原初の正義!我が名、暴力!」
二人の男が、竜へと変貌する。
風が吹き止み、最後の戦いが幕を上げた。
爆炎が迸り、暴力が飛翔する。黒鋼は鋼の盾を張り、暴力はそれを猛ラッシュで破壊し、力任せに引きちぎる。両者の拳がぶつかり合い、暴力の追撃を黒鋼が防ぎ、互いに見つめ合う。
両者地を踏み割り、拳を突き出して擦れ違う。猛烈な拳圧だけがその場に逆巻き、すぐさま反転し、互いの拳が互いの顔面を打ち抜き、荒れ狂う炎と鋼が二人の間で混ざり合う。炎が空を裂き、暴力が飛ぶ。炎を纏った拳を繰り出し、黒鋼はそれを避け、顔面に強烈なカウンターを叩き込む。
暴力は受け身をとると、少しの助走しながら切り揉み回転し炎を纏って突っ込む。黒鋼の腹にクリーンヒットし、大きく吹き飛ぶ。黒鋼は背面で起き上がり、暴力へ突っ込み両手で掴みあう。何度も頭突きで打ち合い、暴力が体勢を崩し、手を離す。そこに黒鋼の拳が胸にめり込み、暴力は怯まず右ラリアットで黒鋼の横顔を殴り、暴力の下左腕と黒鋼の右腕がすれ違い、互いの顔を殴り抜く。暴力は後方へ飛び退き、巨大な火球を放つ。黒鋼も巨大な流体金属球を放ち、激突して双方弾け飛び、その影からお互いに飛びかかり、黒鋼の蹴りが暴力の顔面に直撃する。暴力が地面を殴り、炎の波が地を走る。凄まじい鋼の波がそれを飲み、暴力へ衝撃を与える。暴力が炎を纏い、黒鋼は鋼を纏い、走り寄り、右腕と左腕で競り合う。互いに互いを弾き返し、鋼が波打ち炎の軌跡を残し、空中で何度も激しく打ち合い、両者が地に降りる。着地した瞬間、不意打ちのように暴力がパンチで黒鋼を殴り飛ばし、倒れた黒鋼へジャンプからのエルボーを叩き込もうとするが、黒鋼が起き上がる勢いのまま脇腹を蹴り抉ったために失敗して吹き飛ばされる。ガードの体勢に入った黒鋼に助走をつけた頭突きを繰り出し、ガードを突破してアッパーを顎へ加え、怯んでいる黒鋼に渾身の拳を叩き込む。そして顔に左右のパンチをぶつけ、何度も殴り付け、炎で打ち上げサッカーボールのように蹴り飛ばす。
「これが暴力……楽しいな、バロン!」
「……そうだな。これこそ、生きる意味だ!」
暴力が地面を叩き、火柱が二人を囲むように展開される。
地を滑るように両者がすれ違い、凄まじい衝撃波が混ざり合う。そして両者反転し、再びすれ違う。何度も何度もすれ違い、その度に猛烈な衝撃波で空気が揺れる。
幾度目かの交差の後、擦れ違わずその場で殴り合う。火の粉が散り、鈍色の綺羅星が舞い散り、何度も何度も互いの命を削り合う。
拳が交差し、暴力の脇腹に黒鋼が空いた方の腕でパンチを叩き込む。そして怯んで後退した暴力に裏拳を叩き込み、両者が再び同時に拳を繰り出し、黒鋼の拳が暴力の頬を抉る。
「最早痛みさえ感じない……ただてめえに勝ちたい、何としてでも!」
「来い……!」
火柱が収まり、再び青空が広がる。
暴力の拳に溶岩のような流動体が滲み出る。
「この命……ここで果てるために!」
暴力が右拳を振りかざし、そこから燐花の鎧のように猛烈な勢いで炎を噴射して黒鋼に突進する。それを黒鋼は鋼の盾で受け止め、弾き飛ばす。そして至近距離で流体金属の球を破裂させ、暴力を吹き飛ばす。その時、黒鋼の地面も炸裂し、大きく後ろへ吹き飛ばされる。
「これが最後だ、バロン……!」
全身から炎を垂れ流しながら、暴力が立ち上がる。
「……ああ……そうだな……!」
全身から鋼を吹き溢しながら、黒鋼が立ち上がる。
「ヌアアアアアアアアッ!ハアアアアアアアアアアッ!」
破滅的なまでの爆炎が、暴力の右拳に宿る。そして目にも止まらぬ速さで突進し、黒鋼の胸部を狙う。その動きを予期していた黒鋼はそれよりも先に暴力の頬を殴り抜く。暴力は一切怯まず、左腕から爆炎を解き放って黒鋼の胴体を赤熱させ吹き飛ばす。黒鋼はすぐさま立ち上がり、再び突進してきた暴力に向かって突進する。暴力の右腕と黒鋼の左腕が正面衝突し、暴力の右腕が砕け散る。
「グハァッ!」
暴力が呻き、ふらふらと後退する。
「ウオオオオオオオオオ!ウォリャアアアアアアアアア!」
暴力は咆哮し、残る左腕に全ての力を集中させて拳を繰り出す。黒鋼も同じように右腕に全身全霊を込めて拳を繰り出し、暴力の左腕を弾き飛ばす。
「……これで終わりだ!」
そしてがら空きになった胸部目掛けて拳を捩じ込み、暴力の体を貫く。その瞬間、大爆発を起こし、猛烈な衝撃波が辺り一帯に飛び散る。
「やるじゃ、ねえか……流石は、俺が唯一認めた男、だぜ……」
「……アグニ」
「最後の最後までてめえに勝てなかったが……悔いはねえ。てめえの導く世界を、せいぜい楽しみにさせてもらうぜ……」
暴力は塩となり青と白の中に消えていった。
「……お前が退屈しないような世界を見せてやろう」
黒鋼はバロンの姿に戻り、エリアルたちの下に戻る。
「バロン」
「……エリアル」
二人は抱き締め合う。
「よーほほぉー!」
ホシヒメが妙な笑い声を上げて顔を綻ばせる。
「お主は落ち着きがないのう」
ゼナがホシヒメを窘めるように呟く。
「えへへ、それほどでもないよ!じゃ、バロンくん、私たちは遊んでるから!好きなだけイチャイチャしてきてねっ!」
ホシヒメはゼナの手を取って駆け抜けていく。
「本当に、長かったわね」
エリアルがバロンの胸元で呟く。
「……ああ。だが、僕にとっても、君にとっても有意義だったろう?」
「そうね、それは言えてる」
「……さて、ゆっくり君と語らいたいところだが……」
「まだやるべきこと、あるもんね?」
「……ああ。だがそれが終われば、久しぶりに平穏に暮らせるはずだ」
二人は離れ、手を繋いで進む。
「じゃあ何しよっかなー」
「……そうだな、一緒に料理でも作ってみないか?」
「ふふっ、私の服作ってみたりしない?」
「……それもいいな。なら今度は――」
二人の姿は光の中に溶けていき、見送るように灰色の蝶が踊る。
手軽な浮遊大地をホシヒメが産み出し、全員が人間に戻ってそこに降り立つ。
「終わったのじゃな」
ゼナが伸びをすると、服についていた燐が落ち、程なくして消える。
「……いや、まだだ」
バロンがアグニの方へ向く。
「まさかとは思うが、この期に及んでお主ら、戦うなどとは言わんよな?」
ゼナが飽きれ気味に言い、ホシヒメが続く。
「二人は友達?好敵手?」
バロンとアグニが同時に答える。
「……好敵手だ」
「好敵手に決まってんだろ」
その返答に、ホシヒメは満面の笑みを向ける。
「じゃあ戦おう!ライバルと戦う機会なんてそうそうないからね!」
「ちょっ、お主……」
困惑したゼナがエリアルを見て、彼女は肩を竦める。
「ま、こうなったら止められないし」
「ぬう……仕方ない。バロン!お主、万が一にも負けなどしたら承知しないのじゃぞ!」
バロンはゼナの言葉に微笑みで返し、アグニと共に大地の中央に立つ。
「……思えば、今の僕が最初に戦った強敵はお前だった」
「あん時は俺もてめえも全部忘れちまってたけどな」
「……ここまで来るのに、随分と時間がかかったものだ」
「だが舞台としちゃ不足はねえだろ?形が決まる前の世界なら、派手にやりあっても被害はねえ」
「……ふっ」
「ふん」
どこまでも広い青と白の中で、二人は笑う。
「我が名、黒鋼!」
「これこそが原初の正義!我が名、暴力!」
二人の男が、竜へと変貌する。
風が吹き止み、最後の戦いが幕を上げた。
爆炎が迸り、暴力が飛翔する。黒鋼は鋼の盾を張り、暴力はそれを猛ラッシュで破壊し、力任せに引きちぎる。両者の拳がぶつかり合い、暴力の追撃を黒鋼が防ぎ、互いに見つめ合う。
両者地を踏み割り、拳を突き出して擦れ違う。猛烈な拳圧だけがその場に逆巻き、すぐさま反転し、互いの拳が互いの顔面を打ち抜き、荒れ狂う炎と鋼が二人の間で混ざり合う。炎が空を裂き、暴力が飛ぶ。炎を纏った拳を繰り出し、黒鋼はそれを避け、顔面に強烈なカウンターを叩き込む。
暴力は受け身をとると、少しの助走しながら切り揉み回転し炎を纏って突っ込む。黒鋼の腹にクリーンヒットし、大きく吹き飛ぶ。黒鋼は背面で起き上がり、暴力へ突っ込み両手で掴みあう。何度も頭突きで打ち合い、暴力が体勢を崩し、手を離す。そこに黒鋼の拳が胸にめり込み、暴力は怯まず右ラリアットで黒鋼の横顔を殴り、暴力の下左腕と黒鋼の右腕がすれ違い、互いの顔を殴り抜く。暴力は後方へ飛び退き、巨大な火球を放つ。黒鋼も巨大な流体金属球を放ち、激突して双方弾け飛び、その影からお互いに飛びかかり、黒鋼の蹴りが暴力の顔面に直撃する。暴力が地面を殴り、炎の波が地を走る。凄まじい鋼の波がそれを飲み、暴力へ衝撃を与える。暴力が炎を纏い、黒鋼は鋼を纏い、走り寄り、右腕と左腕で競り合う。互いに互いを弾き返し、鋼が波打ち炎の軌跡を残し、空中で何度も激しく打ち合い、両者が地に降りる。着地した瞬間、不意打ちのように暴力がパンチで黒鋼を殴り飛ばし、倒れた黒鋼へジャンプからのエルボーを叩き込もうとするが、黒鋼が起き上がる勢いのまま脇腹を蹴り抉ったために失敗して吹き飛ばされる。ガードの体勢に入った黒鋼に助走をつけた頭突きを繰り出し、ガードを突破してアッパーを顎へ加え、怯んでいる黒鋼に渾身の拳を叩き込む。そして顔に左右のパンチをぶつけ、何度も殴り付け、炎で打ち上げサッカーボールのように蹴り飛ばす。
「これが暴力……楽しいな、バロン!」
「……そうだな。これこそ、生きる意味だ!」
暴力が地面を叩き、火柱が二人を囲むように展開される。
地を滑るように両者がすれ違い、凄まじい衝撃波が混ざり合う。そして両者反転し、再びすれ違う。何度も何度もすれ違い、その度に猛烈な衝撃波で空気が揺れる。
幾度目かの交差の後、擦れ違わずその場で殴り合う。火の粉が散り、鈍色の綺羅星が舞い散り、何度も何度も互いの命を削り合う。
拳が交差し、暴力の脇腹に黒鋼が空いた方の腕でパンチを叩き込む。そして怯んで後退した暴力に裏拳を叩き込み、両者が再び同時に拳を繰り出し、黒鋼の拳が暴力の頬を抉る。
「最早痛みさえ感じない……ただてめえに勝ちたい、何としてでも!」
「来い……!」
火柱が収まり、再び青空が広がる。
暴力の拳に溶岩のような流動体が滲み出る。
「この命……ここで果てるために!」
暴力が右拳を振りかざし、そこから燐花の鎧のように猛烈な勢いで炎を噴射して黒鋼に突進する。それを黒鋼は鋼の盾で受け止め、弾き飛ばす。そして至近距離で流体金属の球を破裂させ、暴力を吹き飛ばす。その時、黒鋼の地面も炸裂し、大きく後ろへ吹き飛ばされる。
「これが最後だ、バロン……!」
全身から炎を垂れ流しながら、暴力が立ち上がる。
「……ああ……そうだな……!」
全身から鋼を吹き溢しながら、黒鋼が立ち上がる。
「ヌアアアアアアアアッ!ハアアアアアアアアアアッ!」
破滅的なまでの爆炎が、暴力の右拳に宿る。そして目にも止まらぬ速さで突進し、黒鋼の胸部を狙う。その動きを予期していた黒鋼はそれよりも先に暴力の頬を殴り抜く。暴力は一切怯まず、左腕から爆炎を解き放って黒鋼の胴体を赤熱させ吹き飛ばす。黒鋼はすぐさま立ち上がり、再び突進してきた暴力に向かって突進する。暴力の右腕と黒鋼の左腕が正面衝突し、暴力の右腕が砕け散る。
「グハァッ!」
暴力が呻き、ふらふらと後退する。
「ウオオオオオオオオオ!ウォリャアアアアアアアアア!」
暴力は咆哮し、残る左腕に全ての力を集中させて拳を繰り出す。黒鋼も同じように右腕に全身全霊を込めて拳を繰り出し、暴力の左腕を弾き飛ばす。
「……これで終わりだ!」
そしてがら空きになった胸部目掛けて拳を捩じ込み、暴力の体を貫く。その瞬間、大爆発を起こし、猛烈な衝撃波が辺り一帯に飛び散る。
「やるじゃ、ねえか……流石は、俺が唯一認めた男、だぜ……」
「……アグニ」
「最後の最後までてめえに勝てなかったが……悔いはねえ。てめえの導く世界を、せいぜい楽しみにさせてもらうぜ……」
暴力は塩となり青と白の中に消えていった。
「……お前が退屈しないような世界を見せてやろう」
黒鋼はバロンの姿に戻り、エリアルたちの下に戻る。
「バロン」
「……エリアル」
二人は抱き締め合う。
「よーほほぉー!」
ホシヒメが妙な笑い声を上げて顔を綻ばせる。
「お主は落ち着きがないのう」
ゼナがホシヒメを窘めるように呟く。
「えへへ、それほどでもないよ!じゃ、バロンくん、私たちは遊んでるから!好きなだけイチャイチャしてきてねっ!」
ホシヒメはゼナの手を取って駆け抜けていく。
「本当に、長かったわね」
エリアルがバロンの胸元で呟く。
「……ああ。だが、僕にとっても、君にとっても有意義だったろう?」
「そうね、それは言えてる」
「……さて、ゆっくり君と語らいたいところだが……」
「まだやるべきこと、あるもんね?」
「……ああ。だがそれが終われば、久しぶりに平穏に暮らせるはずだ」
二人は離れ、手を繋いで進む。
「じゃあ何しよっかなー」
「……そうだな、一緒に料理でも作ってみないか?」
「ふふっ、私の服作ってみたりしない?」
「……それもいいな。なら今度は――」
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