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三千世界・再誕(8)
第四話 「力を糧にする者」
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少し前――
アタラクシア 大広間
アウルたちが扉を開けた先には、玉座に白金蜂美が座していた。
「ほう?そなたがこの世界に居るとは……同じ男を愛するものとして、これほど嬉しい再会はないな」
蜂美はアウルを一目見るや、淫靡な笑みを浮かべる。
「エンゲルバイン……この世界であなたが成すべきことなど、一つもありません」
「愚かな。我はただ、ニヒロにもユグドラシルにも、等しく恩を売るためにここに来たまでよ」
「何を……」
「王龍アーリマン。奴はニヒロより生まれし王龍の一角でな。それが暴れることによるデータはニヒロの糧となり、敵対するニヒロの手足を一つ奪うことはユグドラシルにとって糧となる。全ては、我がバロンを婿とし、蟲たちによる蟲たちのための新たな世界を作るためよ」
マレが退屈そうに割って入る。
「ねえ、まだ戦わないの?アンタがやってきた理由とか、全然興味ないんだけど」
蜂美が微笑む。
「そうだな。再会の挨拶は、そなたらを殺してから、改めてゆっくりするとしよう」
蜂美の右手の甲に描かれた痣が輝き、瞬く間に彼女は人型の蜂となる。
「雌しか居らんのでは勝っても利益がないが、まあよかろう」
二本の杖を両手にそれぞれ持ち、蜂美はそれから赤黒い電撃を放つ。ゼナの投げた槍が避雷針となって電撃を受け、槍は穂先を展開する。
「ジオフランメル!」
槍から放たれた力場で蜂美の動きが鈍るが、それでもマレの鋭い一閃を躱し、瞬間移動で翻弄しつつ魔力の塊をいくつも放つ。アウルが光の槍で迎撃し、蜂美は二本のレイピアに持ち替えてアウルへ怒涛の突きを放つ。アウルは紙一重でそれを躱し、止めの薙ぎ払いをゼナが受け止め、素早い刺突で傷をつけ、水を噴出させて蜂美を吹き飛ばす。蜂美は冷静に受け身を取り、微笑む。
「ふふふ……我は嬉しいぞ、アウル。そなたという、同志とまた会うことが出来たのだからな」
「さっき聞きました。それに……私とあなたはまるで違う」
「違う?そなたも所詮は、奴の傍で女王の夢を見た哀れな存在でしかあるまい。我もまた、バロンを求むだけの哀れな者よ」
「……」
「表面を否定するのは簡単だろう。だが余分なものを削ぎ落とし、本質だけを見透かせば、我とそなたは同じ。ゼノビアもシマエナガもエメルもエリアルも、我らはみな姉妹のようなものだ」
ゼナが槍を構えて前に出る。
「ふん、奴はそこまでモテるのか。意外じゃな。善い男ではあるが、わしの好みではない」
蜂美は大笑いする。
「くははははは!そなたは空の器に魅了されたか。我もあれは欲しいものだ……だがあれを狙っては、ヴァナ・ファキナのしつこい妨害を受けるのでな。我の種を植えるには充分以上の可能性があるのだがなぁ」
マレが苦虫を噛み潰したような表情をする。
「ちょっと今お兄とこいつの濡れ場想像して吐き気が……」
アウルが光の槍を再び構える。
「なんにせよ、あなたはこの世界に相応しくない。ここで、消えてもらいます!」
と、後方の大扉が開かれ、バロンが現れる。
「噂をすれば……と言ったところか。会えて嬉しいぞ、我が愛しの宙核よ」
蜂美とバロンは視線を交わす。
「……お前もか。お前も、僕がまるで旧知の仲のごとく、話しかけてくるんだな」
「気にせずともよい。我が一から、そなたに記憶を作り出してやるとも」
「……記憶などどうでもいい。お前は邪魔だ」
「やはりそなたはそうでなくてはな!」
蜂美が瞬間移動し、放ったレイピアの突きを、容易にバロンは受け止めた。
――……――……――
同時刻 アタラクシア最下層
空の光が隙間から入り込む底部の動力室に、靴と床の奏でる足音が鳴り響く。そこに現れたのは、白金零だった。
「まさかまたここに来ることになるなんてね」
零はトンファーを装備し、動力源となっている窪みへ接近する。水面のようにエネルギーを湛えたそれは突如として波打ち、そこからもう一人の零――ヌルが、姿を現す。
「また会うことになるとはな」
「ヌル……なるほどね。これがどうやって動いているのか不思議だった。蛇帝零血が存在した歴史はもはや幾ばくの命もなく、私も杉原くんもいないまま起動していたから」
「これが私の宿命だ。皆がお前に求めることを、私が代わりにやる」
零は星虹剣を構え、ヌルは流体金属から生まれた鋼の剣を構え、一度の剣劇で離れる。
「ユグドラシルは、あなたに興味を持った。自らの作り出した兵器を模倣したあなたに、どれだけの可能性があるかを。だからこそ――」
零は竜人形態の竜化を行う。
「あなたの相手を、宙核でなく、あくまでも私がやる」
ヌルはニヒルな笑みを浮かべ、ほぼ同じ姿の竜人形態へと竜化する。
「異史でのあなたとの戦い、その全ての決着をここでつける」
「望むところだ、零!」
両者は矛の一閃で交差し、竜化を解く。そして振り返り、おぞましい程のスピードで蝕刃まで接近し、打ち合う。周囲に撒き散らされた流体金属の水溜まりから次々と巨大な剣がせりだし、強烈な一撃で押し出された零の退路を塞いでいく。が、零は左腕を変形させて凄絶な電撃を撃ち、鋼の剣を粉砕する。杖を放って瞬間移動し、背後を取った零はそのまま水の具足で蹴りの連打で切り裂き、刀の鞘で殴打し、氷剣を突き刺して激甚な冷気を放ち、赤黒い直剣で一文字に振り下ろす。それをヌルは受け止め、体を流体金属に戻して棘に変えて放つ。至近で戦っていた零は避けられずに、むしろ避ける気など一切無しに串刺しにされる。しかし微塵もダメージを受けている様子はなく、竜人形態へ竜化する。それだけでヌルは吹き飛ばされ、意識が混濁するほどの衝撃を受ける。
「……」
零は押し黙る。ヌルはなんとかして起き上がろうとするが、もはや虫の息だった。
「やはり……ダメか……」
「自分自身ではなく、本物になろうとしたこと。それが、あなたの輝きを鈍らせた。誰かになるよりも先に、自分自身にならないと」
零はヌルを星虹剣で切り裂き、吸収した。
「さて……エンゲルバイン。そこまでの想いはないけど、一応母だった人の体を弄ぶあなたには、代償を払ってもらう」
水の籠手を装着すると、渾身の力で窪みを殴り付ける。
――……――……――
アタラクシア 大広間
「がぼぁっ!?」
蜂美の横顔に強烈なバロンの拳がめり込み、彼女は玉座まで吹き飛ばされる。そこにアウルの作り出した光の矢が注ぎ、蜂美は玉座に磔にされる。続くゼナの槍が腹に突き刺さり、頭上から強襲したマレが右手を振り下ろし、幾度も両手を交差させて蜂美の体がバラバラになる。
「……終わりだ」
バロンが近づくと、蜂美の破片からエンゲルバインの声がする。
「ふくく……結審の時はそれなりに本気だったが……さすがに此度は遊びよ。端から見ている限りでは……この戦いに意味などない……故にな……」
アウルが歩み寄ると、エンゲルバインはそれを察したのか意識をそちらへ向ける。
「羨ましいものだ……全てを失ったがゆえに、この世界まで独りで来られるとはな」
「私は心の底から彼を愛していますから」
「ふん……せいぜい、光に堕ちぬよう気をつけるのだな……」
蜂美の破片はシフルになって消えた。同時に、動力を失ったアタラクシアがゆっくりと落下を始める。
「……帰るぞ」
バロンの言葉に従い、マレとゼナが簡易転送装置でワープする。アウルとバロンの二人はその場に残っていた。
「……なぜ帰らない」
「二人きりで話がしたいからです。オーストラリアでは、ゆっくり出来なかったので」
「……ここもそう長くは持つまい。それに、トラツグミの推察によれば、この空中要塞は異史のもの。その崩壊に巻き込まれれば、正史のこの世界に戻ってくるのは面倒になる」
「では……」
アウルが咳払いをする。
「あなたは、なんのために戦っているのですか」
「……自分自身のためだ。僕の望むものが、戦いの中にある」
迷いないその答えに、アウルは物憂げな表情をして頷く。
「全てを終えたときに、あなたが私を選んでくれることを願っています」
アウルはそう言い残し、転送装置で消えた。
「……なんの、ため……」
バロンはしばし、崩壊していくアタラクシアで物思いに耽った。
アタラクシア 大広間
アウルたちが扉を開けた先には、玉座に白金蜂美が座していた。
「ほう?そなたがこの世界に居るとは……同じ男を愛するものとして、これほど嬉しい再会はないな」
蜂美はアウルを一目見るや、淫靡な笑みを浮かべる。
「エンゲルバイン……この世界であなたが成すべきことなど、一つもありません」
「愚かな。我はただ、ニヒロにもユグドラシルにも、等しく恩を売るためにここに来たまでよ」
「何を……」
「王龍アーリマン。奴はニヒロより生まれし王龍の一角でな。それが暴れることによるデータはニヒロの糧となり、敵対するニヒロの手足を一つ奪うことはユグドラシルにとって糧となる。全ては、我がバロンを婿とし、蟲たちによる蟲たちのための新たな世界を作るためよ」
マレが退屈そうに割って入る。
「ねえ、まだ戦わないの?アンタがやってきた理由とか、全然興味ないんだけど」
蜂美が微笑む。
「そうだな。再会の挨拶は、そなたらを殺してから、改めてゆっくりするとしよう」
蜂美の右手の甲に描かれた痣が輝き、瞬く間に彼女は人型の蜂となる。
「雌しか居らんのでは勝っても利益がないが、まあよかろう」
二本の杖を両手にそれぞれ持ち、蜂美はそれから赤黒い電撃を放つ。ゼナの投げた槍が避雷針となって電撃を受け、槍は穂先を展開する。
「ジオフランメル!」
槍から放たれた力場で蜂美の動きが鈍るが、それでもマレの鋭い一閃を躱し、瞬間移動で翻弄しつつ魔力の塊をいくつも放つ。アウルが光の槍で迎撃し、蜂美は二本のレイピアに持ち替えてアウルへ怒涛の突きを放つ。アウルは紙一重でそれを躱し、止めの薙ぎ払いをゼナが受け止め、素早い刺突で傷をつけ、水を噴出させて蜂美を吹き飛ばす。蜂美は冷静に受け身を取り、微笑む。
「ふふふ……我は嬉しいぞ、アウル。そなたという、同志とまた会うことが出来たのだからな」
「さっき聞きました。それに……私とあなたはまるで違う」
「違う?そなたも所詮は、奴の傍で女王の夢を見た哀れな存在でしかあるまい。我もまた、バロンを求むだけの哀れな者よ」
「……」
「表面を否定するのは簡単だろう。だが余分なものを削ぎ落とし、本質だけを見透かせば、我とそなたは同じ。ゼノビアもシマエナガもエメルもエリアルも、我らはみな姉妹のようなものだ」
ゼナが槍を構えて前に出る。
「ふん、奴はそこまでモテるのか。意外じゃな。善い男ではあるが、わしの好みではない」
蜂美は大笑いする。
「くははははは!そなたは空の器に魅了されたか。我もあれは欲しいものだ……だがあれを狙っては、ヴァナ・ファキナのしつこい妨害を受けるのでな。我の種を植えるには充分以上の可能性があるのだがなぁ」
マレが苦虫を噛み潰したような表情をする。
「ちょっと今お兄とこいつの濡れ場想像して吐き気が……」
アウルが光の槍を再び構える。
「なんにせよ、あなたはこの世界に相応しくない。ここで、消えてもらいます!」
と、後方の大扉が開かれ、バロンが現れる。
「噂をすれば……と言ったところか。会えて嬉しいぞ、我が愛しの宙核よ」
蜂美とバロンは視線を交わす。
「……お前もか。お前も、僕がまるで旧知の仲のごとく、話しかけてくるんだな」
「気にせずともよい。我が一から、そなたに記憶を作り出してやるとも」
「……記憶などどうでもいい。お前は邪魔だ」
「やはりそなたはそうでなくてはな!」
蜂美が瞬間移動し、放ったレイピアの突きを、容易にバロンは受け止めた。
――……――……――
同時刻 アタラクシア最下層
空の光が隙間から入り込む底部の動力室に、靴と床の奏でる足音が鳴り響く。そこに現れたのは、白金零だった。
「まさかまたここに来ることになるなんてね」
零はトンファーを装備し、動力源となっている窪みへ接近する。水面のようにエネルギーを湛えたそれは突如として波打ち、そこからもう一人の零――ヌルが、姿を現す。
「また会うことになるとはな」
「ヌル……なるほどね。これがどうやって動いているのか不思議だった。蛇帝零血が存在した歴史はもはや幾ばくの命もなく、私も杉原くんもいないまま起動していたから」
「これが私の宿命だ。皆がお前に求めることを、私が代わりにやる」
零は星虹剣を構え、ヌルは流体金属から生まれた鋼の剣を構え、一度の剣劇で離れる。
「ユグドラシルは、あなたに興味を持った。自らの作り出した兵器を模倣したあなたに、どれだけの可能性があるかを。だからこそ――」
零は竜人形態の竜化を行う。
「あなたの相手を、宙核でなく、あくまでも私がやる」
ヌルはニヒルな笑みを浮かべ、ほぼ同じ姿の竜人形態へと竜化する。
「異史でのあなたとの戦い、その全ての決着をここでつける」
「望むところだ、零!」
両者は矛の一閃で交差し、竜化を解く。そして振り返り、おぞましい程のスピードで蝕刃まで接近し、打ち合う。周囲に撒き散らされた流体金属の水溜まりから次々と巨大な剣がせりだし、強烈な一撃で押し出された零の退路を塞いでいく。が、零は左腕を変形させて凄絶な電撃を撃ち、鋼の剣を粉砕する。杖を放って瞬間移動し、背後を取った零はそのまま水の具足で蹴りの連打で切り裂き、刀の鞘で殴打し、氷剣を突き刺して激甚な冷気を放ち、赤黒い直剣で一文字に振り下ろす。それをヌルは受け止め、体を流体金属に戻して棘に変えて放つ。至近で戦っていた零は避けられずに、むしろ避ける気など一切無しに串刺しにされる。しかし微塵もダメージを受けている様子はなく、竜人形態へ竜化する。それだけでヌルは吹き飛ばされ、意識が混濁するほどの衝撃を受ける。
「……」
零は押し黙る。ヌルはなんとかして起き上がろうとするが、もはや虫の息だった。
「やはり……ダメか……」
「自分自身ではなく、本物になろうとしたこと。それが、あなたの輝きを鈍らせた。誰かになるよりも先に、自分自身にならないと」
零はヌルを星虹剣で切り裂き、吸収した。
「さて……エンゲルバイン。そこまでの想いはないけど、一応母だった人の体を弄ぶあなたには、代償を払ってもらう」
水の籠手を装着すると、渾身の力で窪みを殴り付ける。
――……――……――
アタラクシア 大広間
「がぼぁっ!?」
蜂美の横顔に強烈なバロンの拳がめり込み、彼女は玉座まで吹き飛ばされる。そこにアウルの作り出した光の矢が注ぎ、蜂美は玉座に磔にされる。続くゼナの槍が腹に突き刺さり、頭上から強襲したマレが右手を振り下ろし、幾度も両手を交差させて蜂美の体がバラバラになる。
「……終わりだ」
バロンが近づくと、蜂美の破片からエンゲルバインの声がする。
「ふくく……結審の時はそれなりに本気だったが……さすがに此度は遊びよ。端から見ている限りでは……この戦いに意味などない……故にな……」
アウルが歩み寄ると、エンゲルバインはそれを察したのか意識をそちらへ向ける。
「羨ましいものだ……全てを失ったがゆえに、この世界まで独りで来られるとはな」
「私は心の底から彼を愛していますから」
「ふん……せいぜい、光に堕ちぬよう気をつけるのだな……」
蜂美の破片はシフルになって消えた。同時に、動力を失ったアタラクシアがゆっくりと落下を始める。
「……帰るぞ」
バロンの言葉に従い、マレとゼナが簡易転送装置でワープする。アウルとバロンの二人はその場に残っていた。
「……なぜ帰らない」
「二人きりで話がしたいからです。オーストラリアでは、ゆっくり出来なかったので」
「……ここもそう長くは持つまい。それに、トラツグミの推察によれば、この空中要塞は異史のもの。その崩壊に巻き込まれれば、正史のこの世界に戻ってくるのは面倒になる」
「では……」
アウルが咳払いをする。
「あなたは、なんのために戦っているのですか」
「……自分自身のためだ。僕の望むものが、戦いの中にある」
迷いないその答えに、アウルは物憂げな表情をして頷く。
「全てを終えたときに、あなたが私を選んでくれることを願っています」
アウルはそう言い残し、転送装置で消えた。
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