狂おしいほど綺麗な世界

優しい魔女

少女は、魔女の家系には珍しいとても優しい子だった。
少女は、母や父が人間に冷たいのをとても不思議に思い密かに人間に優しい魔法をつくろうとしていた。
だか、魔法にも限界がある。特に魔女が使う魔法は強力な分代償がつきまとった。
少女は、その代償を和らげる事に熱意を注いだ。

少女は、大人になり立派な魔女となった。
魔女の国にはいくつかの条約がある。
その一つに立派な魔女になるまで人間と接触してはいけないとするものがあった。
魔女は、人間が大好きだったがこの条約は、絶対の力を持っていた。

魔女が初めて接触した人間、いや、正確には違うのであろうが何も知らない魔女は人間だと認識したそれは、とても美しい人魚だった。

彼女は、悩み苦しんでいた。心優しい魔女は、彼女を救うべく魔法を使った。
魔女が初めて人間に使った魔法は、奇しくも昔から練習してやっと代償を軽くした魔法だった。

魔女は、数年後また人間を救いたいと、探し人が見つからず苦しんでいる青年の探し人を魔法で見つけた。
だが探し人は数年前に既に死んでいた。
心優しい魔女は青年の苦しみが少しでも軽くなる様にと包み隠さず真実を告げた。

だがその帰り道魔女は、魔法で彼の大事な人を殺したのはあの美しい人魚だと知り、しかもそれが自分のせいだと知った。

心優しい魔女は、その真実に絶望し、自分の未熟さをくやみ森をさまよった。

そして魔女は、怒り狂った一人の少女に殺された……
死の間で魔女は、自分が魔女な事を憎み自分自身を呪った。