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文明間大戦
停戦交渉
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「はじめまして。中国共産党軍事委員会から派遣された趙と申します。以後御見知りおきを」
応接間で市長の正面に座る男は趙と名乗った。
若くはないが年齢が読めない容姿をしている。そして何より表情が読めない。口は柔かだが、目が笑っていない。
「さぁ、我々の要求ですが、まずは我が領海内で貴国が不法に取り締まり拘束した漁民を解放し謝罪してください。
二つ目は今回の貴国の不祥事に対する賠償として、ここスターバーグの99ケ年の租借権を要求します。これには任意での租借期限の延長も含めます」
「あなたの主張を受け入れられる道理があるでしょうか?
貴国の漁民を取り締まったのはここが15カイリ、我が国の陸地から7カイリの地点です。
どうしてそこが、貴国の領海になるのでしょうか?」
「排他的経済水域、大陸棚法によって領海であると明記されています。ですのでこの海域は我が国の核心的利益であり、一切の割譲も譲歩もありません。
貴殿がなんと言おうと、我々の要求に応じないことには我が人民は納得しないでしょうな」
「これは明白な侵略行為だ!このような暴挙は許されない!
この要求を撤回せねば貴国は我が国のみならず我が国と友好関係にある全てを敵に回しますぞ!
軍の即時退却を要求する!」
「そうですか、どの道貴方ではお話にならない。中央政府の方を呼んで頂きたい」
「貴国は一体何様のつもりだ?
政府に掛け合おうが掛け合うまいがこんな要求は通らないぞ」
「そちらが交渉を望まないというのであれば、即戦闘を継続し、中央政府を引き摺り出すまでです。宜しいですかな?」
「くそっ、受話器を貸してくれ」
市長は兵に番号を伝え入力させる。
「スターバーク市長です。既に軍部から聞き及びしているかもしれませんが私の力及ばず、スターバークは陥落致しました。つきましては相手方の外交担当者が政府と話したいと.....」
市長は電話(のようなもの)で話し込む。
当然だが事態が急すぎるのだ。
中央では今やっとスターバークが攻撃されたという知らせと陥落したという知らせが同時に関係各所に伝わったところであった。
市長は受話器から顔を離した。
「交渉に応じるそうだ。一時的な休戦を求めると言っている」
「交渉...ですか。そうですか、いいでしょう。
協定条件はここ、市庁舎から半径50km圏内からの軍も完全撤収、国内全域の軍の移動禁止、50海里以内の海域の航行停止です。
これが守られない場合は、違反を確認した時刻を以って戦闘を再開します。
一切の妥協も交渉の余地もありません」
解放軍側に完全に有利な条件だ。
市長は再び受話器に向かって話す。
「条件を呑むそうだ。それでは、一時休戦を」
趙は満足げに頷いた。
人民解放軍は続々と兵や資材を揚陸し、陣地の設営をすすめ始めた。
制圧してしまうと今度は示威として空母や強襲揚陸艦を港から見える位置に移動させLCACやヘリを使って市民や役人に見せつける。
しかし、ここで怠ってはいけないのは市民の人心把握だ。これを怠るとレジスタンスを生み出しかねない。
女性隊員を中心に街へ行きお菓子を渡し、コミュニケーションを取らせる。ちなみにではあるが、ここワイナル帝国はドイツ語に近い言語を母語とする住民が多数を占めるが、スターバークでは英語に近い言語を母語とする住人が多数を占める。
であるので、通訳などでなくともある程度の意思疎通は取れるのだ。
女性隊員が銃とお菓子を手に街へ行くと最初は恐る恐る遠巻きに見ていた住人たちは女性であると分かると少しづつ距離を近づけてきた。
中国の戦略の一つに超限戦というものがある。これは軍事的な戦争だけでなく、経済、技術などあらゆる分野での戦いを表すものだ。
つまり、何が言いたいのかというと、この女性隊員たちの活動は作戦を計画された段階から占領政策の一つとして組み込まれていたのだ。
朝から街で活動を始めた彼女らの周りには昼頃には相当な人数の人混みができ上がっていた。
そして女性隊員だけではなく、男性隊員も混ざりわいわいと交流を深め合っていたのだ。
交流を深めることが出来たら次にするべきことは、プロパガンダである。
中華人民共和国と国民は先進的であり紳士的であるというイメージをつけ、そんな彼らが侵攻してきたのは帝国側に落ち度があるのだと印象付ける。
具体的には、中国船籍の漁船が自国の領海で漁業していたところ帝国の公船が不法に拿捕したのだと。
その後に、中華人民共和国の海外協力で建てられた建物の写真を見せて、彼らと仲良くしすれば、街は更なる発展を望め、自分達もその利益を享受できるのだ、と思わせるのだ。
嘘は100回唱えれば真実になる。ということだ。
人民解放軍がスターバーク市を制圧してから1週間後、中央政府から派遣された特使が鉄道でスターバーク市に到着した。
そこで見た光景は悪い意味で予想に反するものであった。
町には五星紅旗が並び、その下で市民が日常を送っていたのだ。
さらに駅からも見える巨大な艦船群、空を飛び回る未知の機械。
明らかに特使が知っている占領政策とは異なるものだった。
圧倒的な数の歩兵を駐留させ、戒厳令を引く。
最終的に憲兵や法務担当官を内包した駐屯部隊と交代させ内政を掌握した後、市民に少しづつ日常を返す。
そして気づけば、その地域の支配者が替わっているという手法なのだ。
だがしかし、彼らのやり方だと我々のやり方よりも少数の兵で占領が可能だ。何より住民が味方になる事が厄介だ。
今見て分かることは、西洋世界で最も先進的な我が国よりも先進的であり、物質的に豊かであると言うことだ。
世界新聞をよく賑わせるメルト皇国を相手にすると思った方が良いということだ。
迎えの自動車に乗り込み、交渉場所である市長邸に向かう。
今回交渉に向かうメンバーは特使である、ディルク・ヘルムート外務大臣、そしてエグモント・マイネ陸軍中将だ。彼ら二人が全権を委任され中央から送られてきた。
双方とも領土を失ってはならないという点で合意してた。
交渉場所までは遠くないが、その間にもやはりどのように人民解放軍を追い返すかを考えていた。
それは軍事力か、金銭か、飛地の割譲かどこまでなら譲歩できるか。
或いは軍事力か。ただ一度休戦協定を結んだ相手を叩くのは、他国からの信用を失いかねない。
市長邸には紅に五つの星が並んだ五星紅旗が掲げられ、マダラ模様の軍服を着た兵士が守っていた。
彼らのドクトリンとイデオロギーを理解できていないのもまた不安の種であった。
まずはドクトリンである。彼らが持っている武器は機関銃のように見えるのだがどこにも塹壕を構築しようとしているように見えない。
では散兵戦を行うのかと思ど、それにしては我が軍に対抗できるだけの頭数が揃っているようには見えない。
そしてイデオロギーだ。彼らは自信を共産主義の体現者と称しているようだが、共産主義というものは他に存在しない。この世界では主に帝制、国王制、共和制が主だ。
しかし一党独裁では、国権を握るだけの正当性を国民に知らしめるのは難しい。国のイデオロギー自体が全く新しい相手との交渉は全く想像がつかない。
しかし、希望もある世界新聞に取り寄せた中華人民共和国公式発表記録によると人口は10億を超えているのにも関わらず総兵力は270万人程度で保有艦艇数は700隻程度でしかも戦闘艦の中核は駆逐艦が担っており戦艦、巡洋艦は一隻も存在しない。
こちらの方が数は少ないとは言え、装甲巡洋艦も駆逐艦も砲艦も保有している。ある程度の交渉は成り立つ可能性がある。何より、再び戦闘が開始されたとしたらこちらは本土での戦いである。総力戦となれば陸上での戦いにおいては負ける理由すら見つからない。
車を降り、スーツ姿の男に案内され、市長邸の応接室に通された。壁には玄関先に掲げられた五星紅旗が掲げられ、最も高い位置に男の肖像がが掲げられていた。 この男が党とやらの首席なのだろう。
中にいた者は全員国旗ではなく鎌と槌の党徽を付けていた。
ということは全員党員なのだ。
お互いが席に着き交渉が開始された。
切り出すのは外務大臣のディルクだ。
「我々としては、領海侵犯を行い、違法に漁業を行った貴国の国民を無条件で解放する代わりに、全軍の速やかなる撤収と、我が国の領海への侵犯を今後一切行わないよう約束願いたい」
外交委員会の趙がすかさず返す。
「まず、一点あなたの重大な間違いを訂正しなければなりません。当該海域は我が国の法に明記された我が国の領海であるということです。
これは我が国の核心的利益であり、一切の譲歩もありませんしこれを守るためなら我が国は一切の犠牲を厭わないでしょう。
何より、既にこちらが保護したわが国民を犯罪者呼ばわりした挙句、無条件での帰国を許可など恩着せがましい上に交渉になっていません。
こちらの要求はを提示致しましょう。
要求は現在制圧しているスターバーク市を我が国の放棄し、市長邸を中心として半径50kmを非武装地帯とすることです」
ディルクを怒りを抑えられず返した
「そんな要求は受け入れられん!!
そもそも、先週と言っていいることが違うではないか!」
先週までは逮捕者の解法と市の99ヵ年の租借だったがさらに厳しいものとなっている。
趙は感情の読みにくい顔を開いた
「当然です、時間が経てば当然要求も変わります
それとも力づくで取り返しますか?」
ディルグがエグモント陸軍中将にあえて話を振った
「中将、ここを取り返すのにどれほどの時間がかかる?」
エグモントも意図を理解しあえて聞こえやすいように大きめの声で答えた
「今すぐにでも戦端が開かれれば7日以内には奪還できます」
これはそっちがやる気ならいつでも応じるぞということだ。
「なるほど、7日ですか。試してみましょうか」
「は?どうゆう意味です?」
試すという言葉に多少のいら立ちを覚えた
「つまり、国境線の確定は戦って決めましょうという意味です。
我々は以下の停戦協定を提案致します。
48時間後に休戦協定を停止し、その168時間後つまり7日後の戦闘ラインを国境とするという意味です。そこで停戦協定を発効させ一切の交戦を停止します。
当初は72時間がいいかと思っておりましたが、168時間は私からのサービスです」
「本当によろしいのですか?」
「えぇ、嘘も偽りもありません。今回は一週間前と異なり文書を交わしての協定ですから」
趙の方もエグモントと同様にシュミレーションの想定を手元に置いていた。
解放軍にシュミレーションでは72時間で首都が陥落し、その48時間後に全域から敵戦力を駆逐できるという想定である。
残念なのは全域を占領下に置くには1ヵ月程度の時間を要するというところである。
エグモント達と異なるのはこれらのシュミレーションが衛星を用いてすべての戦力とその位置を掴んだ上でのものであるという点である。
エグモント達も戦闘の再開もオプションの一つであったから、交渉失敗ではない。
かくして48時間後に休戦協定が失効し本格的な7日間の戦闘が開始されるのであった。
応接間で市長の正面に座る男は趙と名乗った。
若くはないが年齢が読めない容姿をしている。そして何より表情が読めない。口は柔かだが、目が笑っていない。
「さぁ、我々の要求ですが、まずは我が領海内で貴国が不法に取り締まり拘束した漁民を解放し謝罪してください。
二つ目は今回の貴国の不祥事に対する賠償として、ここスターバーグの99ケ年の租借権を要求します。これには任意での租借期限の延長も含めます」
「あなたの主張を受け入れられる道理があるでしょうか?
貴国の漁民を取り締まったのはここが15カイリ、我が国の陸地から7カイリの地点です。
どうしてそこが、貴国の領海になるのでしょうか?」
「排他的経済水域、大陸棚法によって領海であると明記されています。ですのでこの海域は我が国の核心的利益であり、一切の割譲も譲歩もありません。
貴殿がなんと言おうと、我々の要求に応じないことには我が人民は納得しないでしょうな」
「これは明白な侵略行為だ!このような暴挙は許されない!
この要求を撤回せねば貴国は我が国のみならず我が国と友好関係にある全てを敵に回しますぞ!
軍の即時退却を要求する!」
「そうですか、どの道貴方ではお話にならない。中央政府の方を呼んで頂きたい」
「貴国は一体何様のつもりだ?
政府に掛け合おうが掛け合うまいがこんな要求は通らないぞ」
「そちらが交渉を望まないというのであれば、即戦闘を継続し、中央政府を引き摺り出すまでです。宜しいですかな?」
「くそっ、受話器を貸してくれ」
市長は兵に番号を伝え入力させる。
「スターバーク市長です。既に軍部から聞き及びしているかもしれませんが私の力及ばず、スターバークは陥落致しました。つきましては相手方の外交担当者が政府と話したいと.....」
市長は電話(のようなもの)で話し込む。
当然だが事態が急すぎるのだ。
中央では今やっとスターバークが攻撃されたという知らせと陥落したという知らせが同時に関係各所に伝わったところであった。
市長は受話器から顔を離した。
「交渉に応じるそうだ。一時的な休戦を求めると言っている」
「交渉...ですか。そうですか、いいでしょう。
協定条件はここ、市庁舎から半径50km圏内からの軍も完全撤収、国内全域の軍の移動禁止、50海里以内の海域の航行停止です。
これが守られない場合は、違反を確認した時刻を以って戦闘を再開します。
一切の妥協も交渉の余地もありません」
解放軍側に完全に有利な条件だ。
市長は再び受話器に向かって話す。
「条件を呑むそうだ。それでは、一時休戦を」
趙は満足げに頷いた。
人民解放軍は続々と兵や資材を揚陸し、陣地の設営をすすめ始めた。
制圧してしまうと今度は示威として空母や強襲揚陸艦を港から見える位置に移動させLCACやヘリを使って市民や役人に見せつける。
しかし、ここで怠ってはいけないのは市民の人心把握だ。これを怠るとレジスタンスを生み出しかねない。
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であるので、通訳などでなくともある程度の意思疎通は取れるのだ。
女性隊員が銃とお菓子を手に街へ行くと最初は恐る恐る遠巻きに見ていた住人たちは女性であると分かると少しづつ距離を近づけてきた。
中国の戦略の一つに超限戦というものがある。これは軍事的な戦争だけでなく、経済、技術などあらゆる分野での戦いを表すものだ。
つまり、何が言いたいのかというと、この女性隊員たちの活動は作戦を計画された段階から占領政策の一つとして組み込まれていたのだ。
朝から街で活動を始めた彼女らの周りには昼頃には相当な人数の人混みができ上がっていた。
そして女性隊員だけではなく、男性隊員も混ざりわいわいと交流を深め合っていたのだ。
交流を深めることが出来たら次にするべきことは、プロパガンダである。
中華人民共和国と国民は先進的であり紳士的であるというイメージをつけ、そんな彼らが侵攻してきたのは帝国側に落ち度があるのだと印象付ける。
具体的には、中国船籍の漁船が自国の領海で漁業していたところ帝国の公船が不法に拿捕したのだと。
その後に、中華人民共和国の海外協力で建てられた建物の写真を見せて、彼らと仲良くしすれば、街は更なる発展を望め、自分達もその利益を享受できるのだ、と思わせるのだ。
嘘は100回唱えれば真実になる。ということだ。
人民解放軍がスターバーク市を制圧してから1週間後、中央政府から派遣された特使が鉄道でスターバーク市に到着した。
そこで見た光景は悪い意味で予想に反するものであった。
町には五星紅旗が並び、その下で市民が日常を送っていたのだ。
さらに駅からも見える巨大な艦船群、空を飛び回る未知の機械。
明らかに特使が知っている占領政策とは異なるものだった。
圧倒的な数の歩兵を駐留させ、戒厳令を引く。
最終的に憲兵や法務担当官を内包した駐屯部隊と交代させ内政を掌握した後、市民に少しづつ日常を返す。
そして気づけば、その地域の支配者が替わっているという手法なのだ。
だがしかし、彼らのやり方だと我々のやり方よりも少数の兵で占領が可能だ。何より住民が味方になる事が厄介だ。
今見て分かることは、西洋世界で最も先進的な我が国よりも先進的であり、物質的に豊かであると言うことだ。
世界新聞をよく賑わせるメルト皇国を相手にすると思った方が良いということだ。
迎えの自動車に乗り込み、交渉場所である市長邸に向かう。
今回交渉に向かうメンバーは特使である、ディルク・ヘルムート外務大臣、そしてエグモント・マイネ陸軍中将だ。彼ら二人が全権を委任され中央から送られてきた。
双方とも領土を失ってはならないという点で合意してた。
交渉場所までは遠くないが、その間にもやはりどのように人民解放軍を追い返すかを考えていた。
それは軍事力か、金銭か、飛地の割譲かどこまでなら譲歩できるか。
或いは軍事力か。ただ一度休戦協定を結んだ相手を叩くのは、他国からの信用を失いかねない。
市長邸には紅に五つの星が並んだ五星紅旗が掲げられ、マダラ模様の軍服を着た兵士が守っていた。
彼らのドクトリンとイデオロギーを理解できていないのもまた不安の種であった。
まずはドクトリンである。彼らが持っている武器は機関銃のように見えるのだがどこにも塹壕を構築しようとしているように見えない。
では散兵戦を行うのかと思ど、それにしては我が軍に対抗できるだけの頭数が揃っているようには見えない。
そしてイデオロギーだ。彼らは自信を共産主義の体現者と称しているようだが、共産主義というものは他に存在しない。この世界では主に帝制、国王制、共和制が主だ。
しかし一党独裁では、国権を握るだけの正当性を国民に知らしめるのは難しい。国のイデオロギー自体が全く新しい相手との交渉は全く想像がつかない。
しかし、希望もある世界新聞に取り寄せた中華人民共和国公式発表記録によると人口は10億を超えているのにも関わらず総兵力は270万人程度で保有艦艇数は700隻程度でしかも戦闘艦の中核は駆逐艦が担っており戦艦、巡洋艦は一隻も存在しない。
こちらの方が数は少ないとは言え、装甲巡洋艦も駆逐艦も砲艦も保有している。ある程度の交渉は成り立つ可能性がある。何より、再び戦闘が開始されたとしたらこちらは本土での戦いである。総力戦となれば陸上での戦いにおいては負ける理由すら見つからない。
車を降り、スーツ姿の男に案内され、市長邸の応接室に通された。壁には玄関先に掲げられた五星紅旗が掲げられ、最も高い位置に男の肖像がが掲げられていた。 この男が党とやらの首席なのだろう。
中にいた者は全員国旗ではなく鎌と槌の党徽を付けていた。
ということは全員党員なのだ。
お互いが席に着き交渉が開始された。
切り出すのは外務大臣のディルクだ。
「我々としては、領海侵犯を行い、違法に漁業を行った貴国の国民を無条件で解放する代わりに、全軍の速やかなる撤収と、我が国の領海への侵犯を今後一切行わないよう約束願いたい」
外交委員会の趙がすかさず返す。
「まず、一点あなたの重大な間違いを訂正しなければなりません。当該海域は我が国の法に明記された我が国の領海であるということです。
これは我が国の核心的利益であり、一切の譲歩もありませんしこれを守るためなら我が国は一切の犠牲を厭わないでしょう。
何より、既にこちらが保護したわが国民を犯罪者呼ばわりした挙句、無条件での帰国を許可など恩着せがましい上に交渉になっていません。
こちらの要求はを提示致しましょう。
要求は現在制圧しているスターバーク市を我が国の放棄し、市長邸を中心として半径50kmを非武装地帯とすることです」
ディルクを怒りを抑えられず返した
「そんな要求は受け入れられん!!
そもそも、先週と言っていいることが違うではないか!」
先週までは逮捕者の解法と市の99ヵ年の租借だったがさらに厳しいものとなっている。
趙は感情の読みにくい顔を開いた
「当然です、時間が経てば当然要求も変わります
それとも力づくで取り返しますか?」
ディルグがエグモント陸軍中将にあえて話を振った
「中将、ここを取り返すのにどれほどの時間がかかる?」
エグモントも意図を理解しあえて聞こえやすいように大きめの声で答えた
「今すぐにでも戦端が開かれれば7日以内には奪還できます」
これはそっちがやる気ならいつでも応じるぞということだ。
「なるほど、7日ですか。試してみましょうか」
「は?どうゆう意味です?」
試すという言葉に多少のいら立ちを覚えた
「つまり、国境線の確定は戦って決めましょうという意味です。
我々は以下の停戦協定を提案致します。
48時間後に休戦協定を停止し、その168時間後つまり7日後の戦闘ラインを国境とするという意味です。そこで停戦協定を発効させ一切の交戦を停止します。
当初は72時間がいいかと思っておりましたが、168時間は私からのサービスです」
「本当によろしいのですか?」
「えぇ、嘘も偽りもありません。今回は一週間前と異なり文書を交わしての協定ですから」
趙の方もエグモントと同様にシュミレーションの想定を手元に置いていた。
解放軍にシュミレーションでは72時間で首都が陥落し、その48時間後に全域から敵戦力を駆逐できるという想定である。
残念なのは全域を占領下に置くには1ヵ月程度の時間を要するというところである。
エグモント達と異なるのはこれらのシュミレーションが衛星を用いてすべての戦力とその位置を掴んだ上でのものであるという点である。
エグモント達も戦闘の再開もオプションの一つであったから、交渉失敗ではない。
かくして48時間後に休戦協定が失効し本格的な7日間の戦闘が開始されるのであった。
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【速報】日本列島、異世界へ!資源・食糧・法律etc……何もかもが足りない非常事態に、現代文明崩壊のタイムリミットは約1年!?そんな詰んじゃった状態の列島に差した一筋の光明―――新大陸の発見。だが……異世界の大陸には厄介な生物。有り難くない〝宗教〟に〝覇権主義国〟と、問題の火種がハーレム状態。手足を縛られた(憲法の話)日本は、この覇権主義の世界に平和と安寧をもたらすことができるのか!?今ここに……日本国民及び在留外国人―――総勢1億3000万人―――を乗せた列島の奮闘が始まる…… 始まってしまった!!
■【毎日投稿】2019.2.27~3.1
毎日投稿ができず申し訳ありません。今日から三日間、大量投稿を致します。
今後の予定(3日間で計14話投稿予定)
2.27 20時、21時、22時、23時
2.28 7時、8時、12時、16時、21時、23時
3.1 7時、12時、16時、21時
■なろう版とサブタイトルが異なる話もありますが、その内容は同じです。なお、一部修正をしております。また、改稿が前後しており、修正ができていない話も含まれております。ご了承ください。
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面白いです。ぜひ連載を続けてください。お願いします。
めっちゃ面白いんで読んでます。続きがでると嬉しいです!
魔法も物理学のそれなのか、手のひらの上で原子を弄り倒すとか正気の沙汰じゃないな。