10 / 41
異世界生活1日目の話をしよう。3
しおりを挟む???
男でも妊娠出来る世界ってどういうこと?
男同士で子作りするってこと?どうやって??
神様からの爆弾発言メールに、僕の頭の中は?だらけになった。
「……………」
そうして僕はまた、無言でスマホをポケットにしまったのだった。
その時、ガサガサッという音がして、近くの茂みが大きく揺れた。
「あ~、やっとまともなところに出れた!レニーが無茶した所為で、えらい遠回りする羽目になっただろうが」
「…まぁ、そう言うなよ。そのお陰で稼ぎは上々だろ?暫くは今日の稼ぎだけで食っていけるぜ?」
わさわさと生い茂った低木の茂みを掻き分けて、人が二人出てきた。なんかあっちこっち擦り傷だらけだし、所々葉っぱとか刺さってるけど…大丈夫なのかな?
…あれ?
……ひょっとして、人じゃない?
姿形は人と殆ど変わらないんだけど、なんていうか…尻尾みたいなのがお尻の部分から生えているし、僕みたいな普通の耳があるべき場所になくて、なんか頭から猫みたいな動物っぽい耳が生えているような…?
そんなことを考えつつ、少し離れた場所で話す二人を僕がじっと見つめていると…
「そりゃそうかもしれねぇけど、今日みたいな無茶…は………」
あ。
奥の方の人と目があった。
そうしてそのまま奥の方の人は固まってしまう。
…何故??
「……おい、エル?どうした?」
僕に背を向けていた手前側にいた人も、そう言いながらこちらを不思議そうに振り返り、奥の人同様に固まってしまった。
だから、何故!?
「…………………」
「…………………」
「…………………」
数十秒間くらいの暫くの間、お互いに無言で見つめ合っていた。
しかし、このまま見つめ合っていても埒が明かないので、とりあえず僕は立って話し掛けてみることにした。
「……あの、初めまして。僕はイク・カザトと申します。お二人はこの辺りにお住まいなんですか?」
二人は僕が話し掛けると一瞬たじろいだような素振りを見せたが、お互いに顔を見合わせた後、ゆっくりとこちらへ歩いて来た。
わぁ…近くで見ると、二人とも背が高くて、すごく格好良い。まるで、テレビに出てくる人達みたい…。
「あー…イクとか言ったか?お前、人族だよな?俺達のこと、恐くねぇのか?」
茶トラ猫みたいな模様の耳と長いしっぽを付けた、エルって呼ばれていた赤毛のお兄さんが、僕の目を見ながら聞いてきた。
???
「…恐い?どうしてですか?」
質問の意味がわからなくて首を傾げる僕に、今度はもう一人のお兄さんが口を開く。
「俺達は獣人だ。獣人は種の性質上、力が強く、粗暴な者もわりと多い。普通、人族はあまり獣人には好んで近寄らないんだ」
この人は…確か、レニーって呼ばれてたっけ。日焼けというよりはもとから褐色の肌をしている人みたいで、それが濃い青の髪色と合っていて、理知的そうな雰囲気だった。
赤毛の人同様に、この人も動物っぽいお耳と尻尾が生えているけれど、この人の毛色はグレーで尻尾はふさふさだ。例えるなら、シベリアンハスキーみたいな感じの印象だ。
「うーん……でも僕、お二人のような姿の方に産まれて初めてお逢いしたので…別に、恐くはないですよ?」
「産まれて初めてって……お前、王都の中心部辺りから来たのか?…いや、それにしたって途中で獣人に一度も出逢わないなんてこと、ねぇよな…?」
僕の言葉に唖然とした後、赤毛のお兄さんは腕組みして、一人でうんうん唸りながら考え込んでしまった。
「……君はさっき、イク・カザトと名乗っていただろう?家名持ちならどちらにせよ貴族だろう?そもそも貴族家では獣人を屋敷で最低一人くらいは雇っているのが普通だ。本当に一度も逢ったことがないのか?」
青髪のお兄さんは、お友達の赤毛のお兄さんは放っておいて、僕の方へと向き直った。
「はい、一度もありません。それに、僕は貴族なんかじゃないですよ?ただの一般人です」
「「はぁぁっ!?」」
勘違いされていた部分を訂正したら、何故か二人は更に驚きで目を丸くするのだった。
52
お気に入りに追加
3,230
あなたにおすすめの小説
俺以外美形なバンドメンバー、なぜか全員俺のことが好き
toki
BL
美形揃いのバンドメンバーの中で唯一平凡な主人公・神崎。しかし突然メンバー全員から告白されてしまった!
※美形×平凡、総受けものです。激重美形バンドマン3人に平凡くんが愛されまくるお話。
pixiv/ムーンライトノベルズでも同タイトルで投稿しています。
もしよろしければ感想などいただけましたら大変励みになります✿
感想(匿名)➡ https://odaibako.net/u/toki_doki_
Twitter➡ https://twitter.com/toki_doki109
素敵な表紙お借りしました!
https://www.pixiv.net/artworks/100148872
癒し系男子はヤンデレを癒しながら甘えたい
翠雲花
BL
"癒し子"とされる獣人のユユは、かすり傷程度の癒ししかできなかったが、癒し子が貴重だったため、ユユは王太子の婚約者として、人々を癒やし続ける日々を送っていた。
そんなある日、異世界から新たな癒し子がやって来た事で、獣人としても不遇な扱いを受けていたユユは、偽物の癒し子とされてしまい、婚約破棄とともに闇ノ国に追放された。
そんな、不幸にも思えるユユだが、ユユ自身は幸運だと思っており、闇ノ国で癒し子としても、ユユ個人としても愛される、ユユの新たな生活が始まる。
(重複投稿しています)
異世界転生先でアホのふりしてたら執着された俺の話
深山恐竜
BL
俺はよくあるBL魔法学園ゲームの世界に異世界転生したらしい。よりにもよって、役どころは作中最悪の悪役令息だ。何重にも張られた没落エンドフラグをへし折る日々……なんてまっぴらごめんなので、前世のスキル(引きこもり)を最大限活用して平和を勝ち取る! ……はずだったのだが、どういうわけか俺の従者が「坊ちゃんの足すべすべ~」なんて言い出して!?
転生したら同性から性的な目で見られている俺の冒険紀行
蛍
BL
ある日突然トラックに跳ねられ死んだと思ったら知らない森の中にいた神崎満(かんざきみちる)。異世界への暮らしに心踊らされるも同性から言い寄られるばかりで・・・
主人公チートの総受けストリーです。
運命を変えるために良い子を目指したら、ハイスペ従者に溺愛されました
十夜 篁
BL
初めて会った家族や使用人に『バケモノ』として扱われ、傷ついたユーリ(5歳)は、階段から落ちたことがきっかけで神様に出会った。
そして、神様から教えてもらった未来はとんでもないものだった…。
「えぇ!僕、16歳で死んじゃうの!?
しかも、死ぬまでずっと1人ぼっちだなんて…」
ユーリは神様からもらったチートスキルを活かして未来を変えることを決意!
「いい子になってみんなに愛してもらえるように頑張ります!」
まずユーリは、1番近くにいてくれる従者のアルバートと仲良くなろうとするが…?
「ユーリ様を害する者は、すべて私が排除しましょう」
「うぇ!?は、排除はしなくていいよ!!」
健気に頑張るご主人様に、ハイスペ従者の溺愛が急成長中!?
そんなユーリの周りにはいつの間にか人が集まり…
《これは、1人ぼっちになった少年が、温かい居場所を見つけ、運命を変えるまでの物語》
主人公のライバルポジにいるようなので、主人公のカッコ可愛さを特等席で愛でたいと思います。
小鷹けい
BL
以前、なろうサイトさまに途中まであげて、結局書きかけのまま放置していたものになります(アカウントごと削除済み)タイトルさえもうろ覚え。
そのうち続きを書くぞ、の意気込みついでに数話分投稿させていただきます。
先輩×後輩
攻略キャラ×当て馬キャラ
総受けではありません。
嫌われ→からの溺愛。こちらも面倒くさい拗らせ攻めです。
ある日、目が覚めたら大好きだったBLゲームの当て馬キャラになっていた。死んだ覚えはないが、そのキャラクターとして生きてきた期間の記憶もある。
だけど、ここでひとつ問題が……。『おれ』の推し、『僕』が今まで嫌がらせし続けてきた、このゲームの主人公キャラなんだよね……。
え、イジめなきゃダメなの??死ぬほど嫌なんだけど。絶対嫌でしょ……。
でも、主人公が攻略キャラとBLしてるところはなんとしても見たい!!ひっそりと。なんなら近くで見たい!!
……って、なったライバルポジとして生きることになった『おれ(僕)』が、主人公と仲良くしつつ、攻略キャラを巻き込んでひっそり推し活する……みたいな話です。
本来なら当て馬キャラとして冷たくあしらわれ、手酷くフラれるはずの『ハルカ先輩』から、バグなのかなんなのか徐々に距離を詰めてこられて戸惑いまくる当て馬の話。
こちらは、ゆるゆる不定期更新になります。
普通の学園生活を送っていたはずなんだが???
あむ
BL
王道学園で生活する非王道主人公の話です。
主人公総受け、総愛され。
タチとしてある程度の人気があるただのモブ主人公が、学園内の色んな生徒たちと関わっていき……と言った感じの話です。
(タチとして人気はあると言いましたが、そもそも主人公はタチネコなどについての知識は皆無のノンケです)
女の子みたいに守りたくなるような受けも好きですが、普段は男らしい、かっこいい受けが見たかったんです……!
ーーーー
初投稿ですよろしくお願いします!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる