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異世界転生の話をしよう。2

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「ええと……はい。つまり、スキルは人前で使わないように気を付ければ良いんですね?」


"うん、宜しい。スキルの詳しい使い方なんかは、あっちに転生してから確認してみてね。ステータスオープンって唱えて貰えれば、詳細が見れるから"


「ステータスオープン…」


なんだか、いよいよファンタジーっぽくなって来たな。


"じゃあ、次は郁君の容姿に関してだけれど、完全な理想そのもの!とまではいかなくても、ある程度の要望なら聞いてあげられるよ。もう少し男らしくなりたい!とか、いっそ性別を変えて欲しい!とか、そういう具体的な希望はあるかな?"


「え?…じゃあ、僕このままがいいです!」


希望を聞いて貰えるのならば、前世のこの姿形のまま転生したいと僕は思ったのだ。


だって、お母さんやお父さんと僕を繋ぐものは、もう、僕の見た目だけしか残っていないのだから。


"…!……ごめんね?郁君が今から行く世界では、黒い色を持って産まれた者は忌避の対象なんだ。郁君の見た目自体はとっても可愛いと思うんだけど、そのままの姿のまま君をあちらに送ってしまうと…魔の眷属とか、魔の者って言われたりして、郁君自身が辛い目に遭うかもしれないから、それだけは容認出来ないんだ"


きひ?っていうのは漢字がよくわからなかったけれど、なんとなく周りから嫌われちゃうって意味で言われたのはわかった。


「そう……ですか。このままじゃ、だめなんですね…」


そういえば、直前まで優しくして貰った隣のおばさんに、まだお父さんが生きていた頃、"郁君はお父さんとお母さん、どっちにもそっくりね"と言って貰ったっけ。


大好きな、僕のお母さんとお父さん。


どっちにも似てると言われて、僕はすごく嬉しかったんだよね。


そういえば、僕に良くしてくれた隣のおばさんは元気だろうか…


"うーん……あ!わかった!じゃあ、こうしよう!郁君の今の姿形のまま、髪と、瞳の色だけを変えてはどうかな?"


ガッカリして、なんとなく思い出に浸っていた僕に、神様は素敵な提案をしてくれたんだ。


「…!それ!是非、それでお願いします!」


"OK、決まりだね。郁君は髪の色と瞳の色の希望はあるかい?"


僕は毎日を生きるのに必死で、今までそんなこと考えたこともなかったからなぁ。


「んー……特に、ないです」


"じゃあ、あっちの世界でも不自然じゃないような色にしておくね?実際に見るのはあっちに行ってからのお楽しみ♪…っていうことで、容姿に関してはこれで良いかな~"


ふぅ


転生に関するあれこれは、神様が全てやってくれているというのに、慣れないことをたくさん考えた所為か、なんだか僕は少し疲れてしまった。


"ふふ。疲れちゃったかな?だけど、最後にもう一つだけ、決めておかないといけないね。君の生まれについてだ。郁君はもう一度赤ちゃんから始めたいかな?"


「へ?…いえ、出来ればこのままでお願いします」


"そうだよね~。自我があるのに赤ちゃんからの転生スタートなんて不便だもんねぇ。じゃあ、今の年齢のまま始めるってことで大丈夫だね"


確かに。


ああしたい、こうしたいって思っても、赤ちゃんだと何にも出来ないもんね…。


……ん?


「あの…今更なんですけど、髪の色と目の色は変えても僕そのものなのに、転生っていうんですか?」


僕はついでに、ふと気になったことを聞いてみた。


"あぁ、それね…。厳密に言えば転移みたいなものなんだけど…でも異世界に送り込む際、どちらにしろ僕達を介して身体ごと作り変わるわけだから、まぁ、殆ど転生と変わらないよ"


「そうなんですね」


"それからアイテムボックスの中に、転生初回ボーナス特典として、郁君が必要になりそうな物を適当にポンポン投げ入れておいたから、郁君が何かに困ったら探してみてね"


「はい、わかりました。何から何までありがとうございます」


僕はそう言って、何もない空間に深々と頭を下げた。


神様は目に見えないけれど、こういうのは気持ちが大切なんだ。


"ふふ。どういたしまして。それじゃあ、そろそろお別れの時間だ。異世界生活楽しんでね~!"
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