催眠学校〜今日から君はAV監督〜

本田 壱好

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第五章

催眠学校②

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「それでは、今季のクラブ活動の活動実績を報告させていただきます。まずはバスケ部——」

原稿用紙に目を通して私はマイクに向かって話しかける。

バスケ部のキャプテンである安西舞妓がクラスの列から出てきて壇上へ登った。

『女子バスケット部は、先週行われた県大会で見事に優勝し、インターハイへの切符を手に入れました。たゆまぬ努力と苛酷な練習に耐えた日々の結果だと思います。今、その栄誉を讃えこれを賞します』

安西さんが少しぎこちない笑みを浮かべ、源校長から表彰状を受け取った。

全校生徒と全教師による大きな拍手が沸き起こる。
皆、晴れ晴れしている。
この光景を見て、私は不思議な感覚に陥った。

入学当時から、生徒会長を務めてきた。
最高学年ではなく、新入生が生徒会長になるなんて、他校ではあり得ない異例措置だろう。

間違いなく反感を買うだろうし、実力が伴っていなければ破綻する。

生徒会長をやらないかと、源校長から直々に声をかけられた時は少し戸惑ったが、ゆくゆくは目指していた所だったので二つ返事で引き受けた。

当時の反感の声は、教師や生徒、はたまたOBに至るまで多方から聞こえたが、有無を言わさぬ校長の圧と、私の実力が伴っていた事で、前代未聞の一回生の生徒会長が誕生した。

【実力が正当に評価される学校へ】というマニフェストを掲げ、それを実現するために様々な改革を行なった。

あの子は顔が悪いから。
性格が悪いから。
生まれた環境が悪いから。

個人の曖昧な感覚で日の目を見ない子供が無くなるように。

何か一つでも優れているものがあれば、それが認められるように。

しかし、この学校の文武両道が出来て当たり前という校風にメスを入れる事は出来なかった。

弱肉強食、学校=競争社会。
その理念に意を唱えるつもりはない。

でも、強者=何でも出来る者、という考えだけは気に入らなかった。

そうじゃないでしょ。
得意、不得意があってもいいでしょ。

何でも出来て当たり前なんて言う雰囲気でいるから、この学校の生徒の殆どが何かに追われるように生き急いでいるのよ。

現状は変えられていない。
今でもこの学校は息苦しい。
でも、何で皆、そんな晴れ晴れした表情をしているの?

『あー、ちょっといいかな』

その声を聞き、ぞわっと寒気がする。

背後から急に手が伸びてきた。
マイクを横取りしたのは大門入人だった。

マイクを手に持ち、そのまま壇上に上がる。

『あー。紳士淑女の皆様。ご機嫌いかがでしょうか?あー、よろしくない?ご安心を』

大門入人は言葉を一旦切り、上を見上げた。

小声で声を震わせながら何か呟いた。

体育館では、生徒達が顔を見合わせどよめいている。



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