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第四章
権力者は思うがままに命ずる⑦
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「想定外だ」
背後から聞き覚えのある声。
この声は。
そうだ、何故忘れていたのか。
ついさっきまで、この男もいたというのに。
「なんだ、これ?まるで、駄作」
駄作、駄作、駄作と繰り返す。
怒りが込められたその声は、狂気じみていた。
チラリと見える真野君は、殺意の籠った目で彼を見ている。
「ランク1の人間は、どんな命令にも従う」
話しかけながら、私の前に立つ。
「つまり、君の事だよ。そして、ランク3の人間であっても繰り返す事で暗示は深まる」
真野君の元へ行き、彼女の頭を優しく撫でている。
彼女は睨みながら小さく「やめて」と口にしている。
何がどうなっている。
一つだけハッキリしているのは、今目の前にいる男が、私の知っている大門入人とは別人という事だ。
彼は溜息をつきながら続けた。
「今日は理性が無くなった校長にお前を犯させる予定だった。それが、台無しだ。催眠深度が浅かったか?いや、人間の理性が機械を超えたと喜ぶべきか」
クックックと楽しそうに笑う。
「まぁ、いい。理性が完全に勝ったわけではない。校長、俺の言った言葉を覚えてますか?」
また私の前に立ち、目線を合わせてくる。
「誰しもが欲を持っている。欲の前では忠実。現にほら、理性を取り戻したかのように思えるあなたの息子は元気いっぱいだ」
「や、やめろ」
「欲情してるんでしょう?分かりますよ。清廉潔白に見える養護教諭の淫らな姿。さぞかし興奮するでしょう」
そんな事を、言わないでくれ。
「このまま無理やり操り人形にしてしまうこともできるが‥それだと、心が先に壊れてしまうな」
それは今じゃない、と天を仰ぐ。
「まぁいい。暗示は完全に解けていない。意識はそのまま、行動を操作しようか」
手に持っていたスマホが、また、私の前に。
これだ。これが、原因。しかし、その怪しげな画面から目を背ける事は出来ない。
「あ、あぁ」
ぐるぐると、回る。
「校長。意識はそのままに、真野を絶頂させろ」
「ば、ばかな」
言葉とは裏腹に、私の足は真野君の方へと進む。
恐怖で埋め尽くされたその顔に、私も自身の気持ちが揺らぐのが分かった。
しかし、動きは止まらない。
彼女の胸を、両手で揉む。
「や、やめてっ、いやっ」
「こんな、こんなことは間違っている!今すぐ止めるんだ」
「いやいや、校長。カメラから見ると貴方が自分の意思で揉んでいるんですよ」
あははは!
「はぁ。しかしそうですねぇ。無いとは思うが、また校長の理性が勝って萎えても困る。少しテイストを変えましょう。【白衣の乱れ】」
小さな声が漏れ、真野君はまた人形のように固まった。
「そうだな。自分の意識は残しておくとして‥。真野、お前は今から自分の感情とは反対の言葉を口にする。止めて、は続けて。気持ち悪い、は気持ちいいという具合にな。心の中で思った事も口にする、必ずそうなる」
3.2.1‥。
音がして、真野君は目を覚ます。
「こ、校長‥」
困惑しながらも、彼女は、「お願い、」と言葉を切り、そしてあろうことか予想外な言葉を口にした。
背後から聞き覚えのある声。
この声は。
そうだ、何故忘れていたのか。
ついさっきまで、この男もいたというのに。
「なんだ、これ?まるで、駄作」
駄作、駄作、駄作と繰り返す。
怒りが込められたその声は、狂気じみていた。
チラリと見える真野君は、殺意の籠った目で彼を見ている。
「ランク1の人間は、どんな命令にも従う」
話しかけながら、私の前に立つ。
「つまり、君の事だよ。そして、ランク3の人間であっても繰り返す事で暗示は深まる」
真野君の元へ行き、彼女の頭を優しく撫でている。
彼女は睨みながら小さく「やめて」と口にしている。
何がどうなっている。
一つだけハッキリしているのは、今目の前にいる男が、私の知っている大門入人とは別人という事だ。
彼は溜息をつきながら続けた。
「今日は理性が無くなった校長にお前を犯させる予定だった。それが、台無しだ。催眠深度が浅かったか?いや、人間の理性が機械を超えたと喜ぶべきか」
クックックと楽しそうに笑う。
「まぁ、いい。理性が完全に勝ったわけではない。校長、俺の言った言葉を覚えてますか?」
また私の前に立ち、目線を合わせてくる。
「誰しもが欲を持っている。欲の前では忠実。現にほら、理性を取り戻したかのように思えるあなたの息子は元気いっぱいだ」
「や、やめろ」
「欲情してるんでしょう?分かりますよ。清廉潔白に見える養護教諭の淫らな姿。さぞかし興奮するでしょう」
そんな事を、言わないでくれ。
「このまま無理やり操り人形にしてしまうこともできるが‥それだと、心が先に壊れてしまうな」
それは今じゃない、と天を仰ぐ。
「まぁいい。暗示は完全に解けていない。意識はそのまま、行動を操作しようか」
手に持っていたスマホが、また、私の前に。
これだ。これが、原因。しかし、その怪しげな画面から目を背ける事は出来ない。
「あ、あぁ」
ぐるぐると、回る。
「校長。意識はそのままに、真野を絶頂させろ」
「ば、ばかな」
言葉とは裏腹に、私の足は真野君の方へと進む。
恐怖で埋め尽くされたその顔に、私も自身の気持ちが揺らぐのが分かった。
しかし、動きは止まらない。
彼女の胸を、両手で揉む。
「や、やめてっ、いやっ」
「こんな、こんなことは間違っている!今すぐ止めるんだ」
「いやいや、校長。カメラから見ると貴方が自分の意思で揉んでいるんですよ」
あははは!
「はぁ。しかしそうですねぇ。無いとは思うが、また校長の理性が勝って萎えても困る。少しテイストを変えましょう。【白衣の乱れ】」
小さな声が漏れ、真野君はまた人形のように固まった。
「そうだな。自分の意識は残しておくとして‥。真野、お前は今から自分の感情とは反対の言葉を口にする。止めて、は続けて。気持ち悪い、は気持ちいいという具合にな。心の中で思った事も口にする、必ずそうなる」
3.2.1‥。
音がして、真野君は目を覚ます。
「こ、校長‥」
困惑しながらも、彼女は、「お願い、」と言葉を切り、そしてあろうことか予想外な言葉を口にした。
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