催眠学校〜今日から君はAV監督〜

本田 壱好

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第二章

下準備⑦

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「あなたは今、深い催眠状態にある。先ほどのように、誰かを支配したい。それはあなたにとって快楽そのものだから。そうですね?」

「しはい、かいらく‥はい」

「これから、一つの暗示をかけます。【欲情のカメラマン】。そのキーワードを聞くと、あなたは大門入人の言うことを何でも聞きたくなりますよ」

「欲情の、カメラマン。なんでも、はい」

「大きな音がすると、いつものあなたに戻りますよ」

パン、と両手で大きく音を立てる。

覚醒した木本は「‥ここは‥」と記憶を辿っているようだった。

「【欲情のカメラマン】」

「え‥」

すっと催眠状態に入る。
さて、今からすることは決まっている。
俺は木本に一つの予備催眠をかける。
そして、明日の為に、土下座をしている多部と山之内にも暗示をかけた。

「このまま学校を出て家に帰宅する。ただし、今言った暗示の内容は君たちの心にしっかりと残っている」

二人は頷き、正門に向かって歩き出した。

「さて、行きましょうか」

催眠状態の木本の手を引き、俺たちは保健室へ向かった。

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-

「‥大門先生、よく来ますね。あら、木本先生も」

真野が一瞬、俺の顔を見てぎこちなく笑ったのはどこかで警戒心があるからなのか。
その真野は、俺の後ろにいる木本の顔を見る。そしてまた傷が出来ているのが分かると慌てて駆け寄ってきた。
注意深く傷の度合いを見て、意を決したかのように口を開けた。

「木本先生、ちょっと聞きたいことが—‐‐」

「真野先生、【お願いしたい事が】あります」

木本が暗示通りにそう言うと、真野が「え?‥あ‥」と声を漏らした。

少し様子を見てみる。
さぁ、どうなる‥。

「‥木本先生」

真野未来の表情に変化が現れる。
先ほどの心配している表情ではなく、愛おしくて仕方がないといった風に顔がとろけた。
木本ににじり寄っていき‥

そっと抱きついた。

「よし!」

喜びのあまり声が出てしまった。
あの、保健室の天使と呼ばれている真野未来が、冴えない男子教諭に抱きついている。☆3といえども、本人が納得したことなら実行に移すということが分かり、言いようのない達成感を味わう。

「あ、れ‥」

抱きつかれた瞬間、木本の目からは涙が出てくる。
これも暗示の効果だ。女性に優しくされた事がない木本の根底にある気持ちを揺さぶった。

泣いている事に気づいた真野は、更に母性本能を燻られたようにギュッと抱きしめる。

小さい子供をあやすように、よしよし、と頭を撫でる。
木本の身長が小さい子もあり、本当に子供をあやしているように見えてしまう。

そして、耳元で囁く。

「木本、せんせぇ。大丈夫、大丈夫です」

本人にそんな意図はないのだろうが、その甘く誘うような声は男子にとって驚異的な破壊力だった。

襲わないように性欲を抑えた筈の木本の股間が盛り上がっている。
そういう俺も、人のことを言えたものじゃないが。

「安心して、私に、全て委ねて下さい」

「ま、真野先生‥!」

おっとこれはよくない!

「【欲情のカメラマン】」

「へっ‥」

真野を引き剥がし、襲う一歩手前の木本の予備催眠を発動させる。

催眠状態の彼を見て、真野未来も「え‥、ちょ、ちょっとなにこれ」と少し乱れた自分の白衣を手でなおし距離を取る。

「【白衣の乱れ】」

「あ‥」

真野未来の強張った顔が真顔になる。
危ない。
これ以上続けていたら、必ず真野は催眠が解ける。
あせるな。もう少し、段階を踏まなくては。

「真野先生。木本先生が泣いていてどう思いました?」

「‥木本先生、かわいそう‥」

「抱きつくのは嫌な気分でしたか?」

「‥いいえ。なんだか、あったかくて‥心地いい気分」

少し甘い吐息が漏れる。
これなら次のステージにいける筈だ。

俺は催眠アプリを起動し、真野未来に画面を見せる。

更なる暗示をかけ、より深いところへ。





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