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第二章
解放②
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江口から来たこの内容が本物なら、確かに何でも出来るようになる。
俺は催眠アプリを開き、真っ暗な画面をタップする。
最初に開いた画面とはまた違う画面に切り替わる。
書いてある通り名簿が表示された。
あ行から順に見る。
名簿に乗ってある名前の殆どが俺の知らない名前だ。しかし、タップしてプロフィールを見てみると、知らない名前全てが先帝高校の生徒であることがわかった。
プロフィール欄に写真があり、生徒は制服姿、教師はスーツ姿で虚な表情で撮られている。
おいおい、これはもしかして‥。
いや、もしかしても何も、自分も実際にかかったのだ。
この、生まれ変わったかのような高揚感と万能感。
そして、沸き起こる支配的欲求。
あぁ、もう我慢ができない。
早く誰かに試したい。
疑うわけではないが、一応万が一に備え、リスクが少ない相手の方がいいだろう。
冗談が通用する美兎でも良かったが、このアプリが本物なら彼女は違うシチュエーションでの使用が望ましい。
まずは、手始めにコンビニでアルバイトをしている山辺茜はどうだ?
名簿のや行をタップ。
すると、名簿に"山辺茜"と名があった。
そのページを開く。
————————————————————
山辺茜 22歳。
ランク☆2
一言‥彼氏と同棲中。現在は険悪な仲。
————————————————————
普段は明るく元気いっぱいの彼女が、虚な表情で写真に映っているだけで興奮して来る。
確か☆は1が最低ランク。
ランク1はほぼ何もしなくても催眠にかかるというが、ランク2はどこまでかかりやすいのか。
「まぁ、実際やってみないと分からないか」
時刻はもう既に19時前。
確か彼女のバイト終わり時間は21時だ。
俺は身支度をし、彼女のバイト先へ向かうことにした。
---
--
-
「いらっしゃいませ」
営業スマイル全開の彼女が今日も明るく笑顔で接客をしている。
俺は手を軽くあげ、飲み物を片手にレジへと並んだ。
彼女が少し驚いた顔をして、慌てて接客をしている。
「こんばんわ」
笑うと彼女の周りは一段と華やぐ。
「珍しいですね、今日はこっちに並ぶなんて。もしかして、私に会いに来てくれたんですか?」
彼女が冗談のように目を細めてそう言うと、「実はそうなんだ」と俺は真剣な表情で返す。
「えっ」
彼女がバーコードを通そうとした商品を落とし、それを俺が咄嗟にキャッチする。
「あ、ごめんなさい。もー、入人さん、冗談がうまいですね」
慌てて笑顔を取り戻した彼女は会計を進める。
「冗談じゃないんだけど」
「はいはい、そういうことは誰にでも言うものじゃありませんよ」
彼女が商品を渡し、ありがとうございました、とお辞儀をする。
後ろには既に列が並んでいる。
ここでは、あまりにも目立ちすぎるか。
ひとまず俺はその場を去り、彼女がバイトを終わるまで外で待つことにした。
お疲れ様でしたー、と明るい声が聞こえて来たので、店の前でやぁ、と手を挙げる。
「入人さん?」
少し怪訝そうな顔で見て来る彼女。
それは怪しいよな。
今までむしろ彼女の軽口をまともに返さなかった客が待っていたら。
「ちょっと、情けないんだけど、相談に乗ってもらいたいことがあって。もし良ければ歩きながら聞いてもらいないか?無理なら立ち去るよ」
泣くふりをしてみせると、仕方ないですね、と困ったように笑い、「でも方向逆じゃないですか?」と聞いて来た。
「いや、そこの信号まででいいんだ」
指差した信号とは、僅か100m程の所だった。
山辺茜は一瞬ぽかん、と呆けた顔をしたが、すぐにあははっ、と笑う。
「歩いて5分もかからないですよ。どんな相談なんです」
「5分でも助かるよ」
おかしな人、と言って歩き出す。
俺は少し緊張しながら隣を歩いた。
さぁて、ここからだ。
果たして、本当にかかるのか。
「それで、相談って?」
「あぁ、その前に質問なんだけど、山辺さんは最後いつエッチしたの?」
えっ、という声と共に彼女が止まる。
それはそうだ。
いつも真面目で世間話しかしてこなかった客から、そんなセクハラ発言が飛んでくるなんて予想外だっただろう。
ただ、この質問が大事なんだ。
俺は催眠アプリを開き、真っ暗な画面をタップする。
最初に開いた画面とはまた違う画面に切り替わる。
書いてある通り名簿が表示された。
あ行から順に見る。
名簿に乗ってある名前の殆どが俺の知らない名前だ。しかし、タップしてプロフィールを見てみると、知らない名前全てが先帝高校の生徒であることがわかった。
プロフィール欄に写真があり、生徒は制服姿、教師はスーツ姿で虚な表情で撮られている。
おいおい、これはもしかして‥。
いや、もしかしても何も、自分も実際にかかったのだ。
この、生まれ変わったかのような高揚感と万能感。
そして、沸き起こる支配的欲求。
あぁ、もう我慢ができない。
早く誰かに試したい。
疑うわけではないが、一応万が一に備え、リスクが少ない相手の方がいいだろう。
冗談が通用する美兎でも良かったが、このアプリが本物なら彼女は違うシチュエーションでの使用が望ましい。
まずは、手始めにコンビニでアルバイトをしている山辺茜はどうだ?
名簿のや行をタップ。
すると、名簿に"山辺茜"と名があった。
そのページを開く。
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山辺茜 22歳。
ランク☆2
一言‥彼氏と同棲中。現在は険悪な仲。
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普段は明るく元気いっぱいの彼女が、虚な表情で写真に映っているだけで興奮して来る。
確か☆は1が最低ランク。
ランク1はほぼ何もしなくても催眠にかかるというが、ランク2はどこまでかかりやすいのか。
「まぁ、実際やってみないと分からないか」
時刻はもう既に19時前。
確か彼女のバイト終わり時間は21時だ。
俺は身支度をし、彼女のバイト先へ向かうことにした。
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「いらっしゃいませ」
営業スマイル全開の彼女が今日も明るく笑顔で接客をしている。
俺は手を軽くあげ、飲み物を片手にレジへと並んだ。
彼女が少し驚いた顔をして、慌てて接客をしている。
「こんばんわ」
笑うと彼女の周りは一段と華やぐ。
「珍しいですね、今日はこっちに並ぶなんて。もしかして、私に会いに来てくれたんですか?」
彼女が冗談のように目を細めてそう言うと、「実はそうなんだ」と俺は真剣な表情で返す。
「えっ」
彼女がバーコードを通そうとした商品を落とし、それを俺が咄嗟にキャッチする。
「あ、ごめんなさい。もー、入人さん、冗談がうまいですね」
慌てて笑顔を取り戻した彼女は会計を進める。
「冗談じゃないんだけど」
「はいはい、そういうことは誰にでも言うものじゃありませんよ」
彼女が商品を渡し、ありがとうございました、とお辞儀をする。
後ろには既に列が並んでいる。
ここでは、あまりにも目立ちすぎるか。
ひとまず俺はその場を去り、彼女がバイトを終わるまで外で待つことにした。
お疲れ様でしたー、と明るい声が聞こえて来たので、店の前でやぁ、と手を挙げる。
「入人さん?」
少し怪訝そうな顔で見て来る彼女。
それは怪しいよな。
今までむしろ彼女の軽口をまともに返さなかった客が待っていたら。
「ちょっと、情けないんだけど、相談に乗ってもらいたいことがあって。もし良ければ歩きながら聞いてもらいないか?無理なら立ち去るよ」
泣くふりをしてみせると、仕方ないですね、と困ったように笑い、「でも方向逆じゃないですか?」と聞いて来た。
「いや、そこの信号まででいいんだ」
指差した信号とは、僅か100m程の所だった。
山辺茜は一瞬ぽかん、と呆けた顔をしたが、すぐにあははっ、と笑う。
「歩いて5分もかからないですよ。どんな相談なんです」
「5分でも助かるよ」
おかしな人、と言って歩き出す。
俺は少し緊張しながら隣を歩いた。
さぁて、ここからだ。
果たして、本当にかかるのか。
「それで、相談って?」
「あぁ、その前に質問なんだけど、山辺さんは最後いつエッチしたの?」
えっ、という声と共に彼女が止まる。
それはそうだ。
いつも真面目で世間話しかしてこなかった客から、そんなセクハラ発言が飛んでくるなんて予想外だっただろう。
ただ、この質問が大事なんだ。
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