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6章 ことのはじまり
7話 刑罰・紫のだんご
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「ジャミル君」
「ハイ……」
「俺は別に怒っているわけじゃなくて、純粋に分からないから聞かせてほしいんだが」
「うん……」
「この……ピーマン? という野菜を縦の細切りにすべき所を、輪切りにすると」
オレの前に、細切りにしたピーマンと輪切りにしたピーマンの乗った皿が置かれる。
「…………」
「その……呪いが降りかかる?」
「かからない……」
「あんなに怒るほどのことでは?」
「……ない……」
――給仕募集をかけて二週間。
泊りがけがちょっとネックなようだが、適当に野菜を切ったり作り置きをするだけの簡単なお仕事だからそれなりに募集は来た。
だが、ルカが「あなた嫌い」「あなたの水は汚い」「あなたイヤ」などと言ったり、酷いときは水をぶっかけたりして一日で逃げ帰ってしまうこと数件。
そしてオレは酒場でもやらかしていた、「全くどうでもいいような出来事で頭おかしいくらいキレ散らかす」ということを繰り返していた。
野菜炒めのピーマンが輪切りだって、別に死にはしない。
だけど細切りって言ったのに細切りじゃねえことが親の仇のごとく許せず怒鳴り散らかしてしまった。
とうとう今日は相手を泣かしてしまい、そのままやめてしまったのだった。
ちなみに今日来たヤツはルカのお水ぶっかけには苦笑いしながらも耐えた。それなのに追い打ちをかけるように、オレがやらかした。
――怒鳴り散らしたあとは毎回、脳内大反省会だ。だけど繰り返す。
剣のせいで情緒不安定になっているとは言うが、もはやこれはオレの本質なんじゃねーかとすら思ってしまう。
もう、まともに社会に順応できねえんじゃねえか……。
「はぁ……これでも食うか……」
そう言いながらオレはルカの「紫のだんご」を冷蔵庫から取り出した。
弁当箱にギチギチに詰められた紫のだんご。
元は直径4センチくらいのデカさだったのを、オレが丸めなおして2センチくらいの大きさにしたものだ。
「……それまだあったのか」
思わぬアイテムのご登場に、グレンが顔をしかめる。
「ああ……なんかやらかすたびにオレはこれを食うことにしてるんだ」
「……なぜ、そんなことを」
「戒めだよ。刑罰だよ。キレ散らかしたらこれを食わなきゃいけないって頭に刻み込むんだよ」
「…………刑罰」
「そうだよ、そんでオレの作ったうまいメシは食えねえんだ。うぅ……マッッッッッズイ……つれぇ……」
2センチの小ささになったってマズイものはマズイ。口当たりはネチネチザラザラ、泥みたいだ。
その上、口の中に広がる薬品のようなカメムシのような(食ったことはない)風合い。
「わたし、パンケーキが食べたい」
オレがうめいている横でちょこんと座っていたルカが言葉を発する。
「ダメだ……オマエもこれを食え。今日はこれしか食うな」
ルカの眼前に紫のだんごをズズイと差し出す。
「どうして」
「今日やめた子にお水をぶっかけて、食材もいくつか台無しにしたろ。刑罰として食え」
「けいばつ……」
「罰を犯したものには神のパンケーキは与えられねえんだ」
「……神って、誰」
「オレだよ。食の神たるオレの作ったパンケーキは与えられねえの」
「…………しょくの、かみ」
「お、おう……」
復唱されると恥ずかしい。
その場がシーンと静まり返る。グレンはアゴに手をやって「何言ってんだこいつ」みたいな目でオレを見ていた。
完全にスベったみたいだ。めちゃくちゃ恥ずかしい。
「…………」
しばらくの間のあと、ルカは黙って紫のだんごを口にしはじめた。耐性があるのか、渋い顔をしながらもモクモクと食べ進んでいく。
「ジャミルの言うこと、よく分からない……」
「お、オマエにだけは言われたくないわ……!」
「……ジャミル君は食の神なのか。なるほど」
「なるほどじゃねえし、復唱すんなよ、恥ずかしいな……。……ああーっ! クソッ! ホントにクソマズイなこれ!」
「そんなにか。俺は一口しか食べてないからな……」
「ああ。口に入れた瞬間に鼻までクッサイのが突き抜けてきて、飲み込んだら胃から煙みたいに立ち昇ってきやがる。水で流し込みたいけど飲んだら余計に広がって……身体が下水道になった気分だ」
「……下水道。……ふふ……、はははっ……!」
(メッチャ笑ってる……)
よく分からないけどグレンのツボにハマったらしく、だいぶとウケた。それはそれでちょっと恥ずかしい。
「……面白いな、ジャミル君は。まあ誰もこれは食べたくないし、刑罰にするのもいいんじゃないか」
「そうだな……食わなくて済むように気をつけるわ……なあ、ルカ」
「……パンケーキが、食べたい」
「紫だんごを食え。そしてパンケーキ……いや、食の神のありがたみを思い知れ」
「しょくの、かみ……」
こうしてオレとルカは何かやらかすたびに刑罰として紫だんごを食らい続けた。
ムカつくほどにクソマズイ。マズすぎて毎回頭痛がする。
そしてルカの言う通りに空腹にならない……っていうか、胃がもたれて何も食いたくならない。
間違いなくこの宗教の神は邪神だ。ああムカつく。討ち滅ぼしたい。
◇
「ジャミル君……だんごがあと1個になったが」
「ああ……」
結局オレたちは過ちを繰り返しまくって、だんごもいいスピードで消費されていた。
今日はルカが新入りに水をぶっかけてキレさせてしまったため、ルカがだんごを食っていた。
「パンケーキ……食べたい」
「耐えろ。グレン、今日はアンタも食えよ」
「なぜ俺が」
「アンタが、今日来た子にお水ぶっかけたルカを『悪気があってやったわけじゃないんだ』とかかばうから、怒って帰っちまったんじゃねーか」
そう、グレンはルカが水を相手にぶっかけた時はルカをたしなめつつも、かけられた相手に対してルカを擁護するような発言をしていてそれが更に相手の神経を逆なでしていた。
まあ、オレがやらかしたときにも実は擁護してくれてたんだが……。
「……俺は『シスコンキモいんですけど! マジで死ね!』ってビンタされたのに、更にそれまで食わないといけないのか。あまりにひどい」
そう言いながらグレンは若干赤くなっている頬をさすり、だんごを手にする。
「……素直だな」
「……ティーンエイジャーにキモいって言われることに比べれば。……ところで、これがなくなったら次からは何を刑罰に使うんだ? 最後の1個だろう」
「それもそうだな……。ルカ、これもうねえのか?」
「ない。それが、最後」
「……ジャミル君が作ればいいんじゃないか?」
「ええっ!?」
「全く同じとはいかなくても、そっくりさんの紫だんごを」
「えー……? わざわざマズイもん作るのか? 食への冒涜だ……」
「ルカは作り方を知ってるのか」
「知らない。それは、神の食べ物だから」
「「…………」」
◇
結局なんだかんだでオレが紫だんごを再現することになってしまった。
調べて味を再現するために、最後の1個は今オレの手元にある。グレンが食うはずだったヤツだ。アイツ、それっぽいこと言って紫だんごから逃れやがって……。
「うう……クセェな、これ……マジで何が入ってんだ」
だんごを割って匂いを嗅いでみるが、全く何か分からない。
薬品か、薬草か、何かおかしな香料が入ってるみたいだ。
(改めて見るとヤベェもん食ってたな、オレ達……)
全く正体不明すぎる。ギルドとかに依頼すれば、成分を詳しく調べてくれる人間がいるかもしれないが――。
「ハイ……」
「俺は別に怒っているわけじゃなくて、純粋に分からないから聞かせてほしいんだが」
「うん……」
「この……ピーマン? という野菜を縦の細切りにすべき所を、輪切りにすると」
オレの前に、細切りにしたピーマンと輪切りにしたピーマンの乗った皿が置かれる。
「…………」
「その……呪いが降りかかる?」
「かからない……」
「あんなに怒るほどのことでは?」
「……ない……」
――給仕募集をかけて二週間。
泊りがけがちょっとネックなようだが、適当に野菜を切ったり作り置きをするだけの簡単なお仕事だからそれなりに募集は来た。
だが、ルカが「あなた嫌い」「あなたの水は汚い」「あなたイヤ」などと言ったり、酷いときは水をぶっかけたりして一日で逃げ帰ってしまうこと数件。
そしてオレは酒場でもやらかしていた、「全くどうでもいいような出来事で頭おかしいくらいキレ散らかす」ということを繰り返していた。
野菜炒めのピーマンが輪切りだって、別に死にはしない。
だけど細切りって言ったのに細切りじゃねえことが親の仇のごとく許せず怒鳴り散らかしてしまった。
とうとう今日は相手を泣かしてしまい、そのままやめてしまったのだった。
ちなみに今日来たヤツはルカのお水ぶっかけには苦笑いしながらも耐えた。それなのに追い打ちをかけるように、オレがやらかした。
――怒鳴り散らしたあとは毎回、脳内大反省会だ。だけど繰り返す。
剣のせいで情緒不安定になっているとは言うが、もはやこれはオレの本質なんじゃねーかとすら思ってしまう。
もう、まともに社会に順応できねえんじゃねえか……。
「はぁ……これでも食うか……」
そう言いながらオレはルカの「紫のだんご」を冷蔵庫から取り出した。
弁当箱にギチギチに詰められた紫のだんご。
元は直径4センチくらいのデカさだったのを、オレが丸めなおして2センチくらいの大きさにしたものだ。
「……それまだあったのか」
思わぬアイテムのご登場に、グレンが顔をしかめる。
「ああ……なんかやらかすたびにオレはこれを食うことにしてるんだ」
「……なぜ、そんなことを」
「戒めだよ。刑罰だよ。キレ散らかしたらこれを食わなきゃいけないって頭に刻み込むんだよ」
「…………刑罰」
「そうだよ、そんでオレの作ったうまいメシは食えねえんだ。うぅ……マッッッッッズイ……つれぇ……」
2センチの小ささになったってマズイものはマズイ。口当たりはネチネチザラザラ、泥みたいだ。
その上、口の中に広がる薬品のようなカメムシのような(食ったことはない)風合い。
「わたし、パンケーキが食べたい」
オレがうめいている横でちょこんと座っていたルカが言葉を発する。
「ダメだ……オマエもこれを食え。今日はこれしか食うな」
ルカの眼前に紫のだんごをズズイと差し出す。
「どうして」
「今日やめた子にお水をぶっかけて、食材もいくつか台無しにしたろ。刑罰として食え」
「けいばつ……」
「罰を犯したものには神のパンケーキは与えられねえんだ」
「……神って、誰」
「オレだよ。食の神たるオレの作ったパンケーキは与えられねえの」
「…………しょくの、かみ」
「お、おう……」
復唱されると恥ずかしい。
その場がシーンと静まり返る。グレンはアゴに手をやって「何言ってんだこいつ」みたいな目でオレを見ていた。
完全にスベったみたいだ。めちゃくちゃ恥ずかしい。
「…………」
しばらくの間のあと、ルカは黙って紫のだんごを口にしはじめた。耐性があるのか、渋い顔をしながらもモクモクと食べ進んでいく。
「ジャミルの言うこと、よく分からない……」
「お、オマエにだけは言われたくないわ……!」
「……ジャミル君は食の神なのか。なるほど」
「なるほどじゃねえし、復唱すんなよ、恥ずかしいな……。……ああーっ! クソッ! ホントにクソマズイなこれ!」
「そんなにか。俺は一口しか食べてないからな……」
「ああ。口に入れた瞬間に鼻までクッサイのが突き抜けてきて、飲み込んだら胃から煙みたいに立ち昇ってきやがる。水で流し込みたいけど飲んだら余計に広がって……身体が下水道になった気分だ」
「……下水道。……ふふ……、はははっ……!」
(メッチャ笑ってる……)
よく分からないけどグレンのツボにハマったらしく、だいぶとウケた。それはそれでちょっと恥ずかしい。
「……面白いな、ジャミル君は。まあ誰もこれは食べたくないし、刑罰にするのもいいんじゃないか」
「そうだな……食わなくて済むように気をつけるわ……なあ、ルカ」
「……パンケーキが、食べたい」
「紫だんごを食え。そしてパンケーキ……いや、食の神のありがたみを思い知れ」
「しょくの、かみ……」
こうしてオレとルカは何かやらかすたびに刑罰として紫だんごを食らい続けた。
ムカつくほどにクソマズイ。マズすぎて毎回頭痛がする。
そしてルカの言う通りに空腹にならない……っていうか、胃がもたれて何も食いたくならない。
間違いなくこの宗教の神は邪神だ。ああムカつく。討ち滅ぼしたい。
◇
「ジャミル君……だんごがあと1個になったが」
「ああ……」
結局オレたちは過ちを繰り返しまくって、だんごもいいスピードで消費されていた。
今日はルカが新入りに水をぶっかけてキレさせてしまったため、ルカがだんごを食っていた。
「パンケーキ……食べたい」
「耐えろ。グレン、今日はアンタも食えよ」
「なぜ俺が」
「アンタが、今日来た子にお水ぶっかけたルカを『悪気があってやったわけじゃないんだ』とかかばうから、怒って帰っちまったんじゃねーか」
そう、グレンはルカが水を相手にぶっかけた時はルカをたしなめつつも、かけられた相手に対してルカを擁護するような発言をしていてそれが更に相手の神経を逆なでしていた。
まあ、オレがやらかしたときにも実は擁護してくれてたんだが……。
「……俺は『シスコンキモいんですけど! マジで死ね!』ってビンタされたのに、更にそれまで食わないといけないのか。あまりにひどい」
そう言いながらグレンは若干赤くなっている頬をさすり、だんごを手にする。
「……素直だな」
「……ティーンエイジャーにキモいって言われることに比べれば。……ところで、これがなくなったら次からは何を刑罰に使うんだ? 最後の1個だろう」
「それもそうだな……。ルカ、これもうねえのか?」
「ない。それが、最後」
「……ジャミル君が作ればいいんじゃないか?」
「ええっ!?」
「全く同じとはいかなくても、そっくりさんの紫だんごを」
「えー……? わざわざマズイもん作るのか? 食への冒涜だ……」
「ルカは作り方を知ってるのか」
「知らない。それは、神の食べ物だから」
「「…………」」
◇
結局なんだかんだでオレが紫だんごを再現することになってしまった。
調べて味を再現するために、最後の1個は今オレの手元にある。グレンが食うはずだったヤツだ。アイツ、それっぽいこと言って紫だんごから逃れやがって……。
「うう……クセェな、これ……マジで何が入ってんだ」
だんごを割って匂いを嗅いでみるが、全く何か分からない。
薬品か、薬草か、何かおかしな香料が入ってるみたいだ。
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