56 / 385
5章 兄弟
16話 分からず屋のカイル(前)
しおりを挟む
「――それで、話っていうのは? こんな所に連れてきて、闇討ちかカツアゲでもする気か」
不服そうな表情ながらも、口の端だけ上げて笑いながらカイルがグレンさんに尋ねる。
そろそろ夕方になる時間。わたし達3人は宿屋と隣の店の隙間にいた。
すごく狭いわけではないけど広くもない。ごみ箱や木箱がいくつか置いてあり、空気はこもっている。
グレンさんは出口を塞ぐように決して綺麗ではない壁にもたれかかり、もう片方の壁に脚をかけ塞いでいる。
カイルの言う通り穏便な話し合いをするような場所でも、雰囲気でもない……。
「レイチェル。先に」
「あ、はい」
「レイチェル? 何の話かな。俺が話せることは全部話したつもりだけど」
「あのね、カイル。ジャミルのことなんだけど――」
そこまで言葉を発した時点でカイルはあからさまに不機嫌な顔になり髪をかきあげる。
「……兄貴? 一体、何」
「カイル、聞いて欲しいの。ジャミルは今、闇の紋章の剣? っていうのを拾ってしまって、それで取り憑かれて大変なの」
「……闇の紋章の剣? へえ、そいつは厄介だな。――それで」
「そ、それで……? あの、それで、カイルにジャミルと話し合いをしてほしくって」
「なんで話し合い? それで何かマシになるのかな」
「え……えっと」
冷たい目でカイルがわたしを見る。
――どうしよう。確かにカイルは幼馴染だけど、でも10歳以上も年上になってしまった大人の男の人だ。
その人に射抜くような目で取り付く島もない対応をされて、わたしは次の言葉を紡ぎ出せない。
「あの……」
「剣に呪われれば闇に堕ちてしまうから、それをなんとか防ぎたいって言うんだろう。けど俺が行ったって加速するだけじゃないか? やめておいたほうがいいんじゃない?」
「カイル……あのね、」
「俺は何を言えばいいんだろう?『あの日のことは兄貴のせいじゃないから気にすることないよ』とか? そうすれば、治っちゃうのかな? ……レイチェルも兄貴のせいじゃないってそう思ってる?」
「……わたし、は……、だって、あれは」
「近所の人もみんなそう思ってるんだよなぁ」
何か喋る前にカイルが先回りして喋ってしまう。
――ダメだ、前と違って何の話も聞いてもらえない。
わたしの話なんてどうでもよくて、思ったこと言いたいことを言っているだけ。まるで一人芝居だ。
「き、近所の人って……?」
それでもなんとか会話の糸口を見つけたくて、気になった単語を拾いあげる。
「何年か前たまたまカルムの街に来た時に、家を訪ねるというわけじゃないけど……とにかく実家に違う人が住んでたから『レッドフォードさんはどこへ行ったのか』と聞いたら『引っ越して行った』『お兄さんが気に病みすぎるから、両親が気遣って』ってさ。俺がいなくなって1年も経ってなかったはずなのに――切り替え早いよね」
「切り替えってそんな、そんなこと……」
――ないって言い切れるんだろうか。
彼の両親は、ふさぎがちになってしまったジャミルがこれ以上自分を責めないようにと引っ越すことに決めた。
「色々と思い出の残るこの地にいるよりは」って言っていたって、わたしの両親から聞いた。
だって街のどこに行っても、カイルの思い出が残ってる。
あの木に登ったとか、ここでお弁当を食べたとか、兄弟で背比べをしたとか。
だからなのか、カイルの13歳の誕生日を迎えるよりも前に引っ越していった――カイルがいなくなって、1年どころか半年も経っていない。
ジャミルが言っていた。「自分の前では気遣ってカイルの話はしない」って。それはジャミルへの気遣いなんだろうか。
おじさんおばさんも辛くて離れたかったのかもしれない。思い出から、逃げたかったのかもしれない。
「……引っ越して行ったの、嫌だった?」
「いいや。でも両親の中では、もう俺はいないものだったんだよな」
「おじさんおばさんの気持ちは分からないけど、ジャミルは『カイルを置いて引っ越しなんてできない』って言ってたよ。ねえ――」
「ほんとに……なんだかさあ、兄貴は随分かばわれて守られてるよな。俺はいきなり全部無くなったっていうのに」
「全部、無くなった……?」
脈絡もなく飛び出す言葉。会話のキャッチボールが、全然続かない。
「カイルは過去にタイムスリップしちゃって、色々辛かったんだよね? だけど『クライブ・ディクソン』っていう自分を捨てたくなくて、だから制約破りをしてまで、また12歳のカイルが過去に飛ばされるようにして……今の自分は、自分で選び取ったんでしょう? カイルだけが全部なくしたんじゃない、おじさんおばさんはカイルがいなくなって悲しんでるのよ! ジャミルだって――」
「ジャミルジャミルってうるさいんだよ! 闇の剣に取り憑かれて? 知ったことじゃないんだよ、それは俺のせいか? 随分守られて気を遣われてるよな――俺からすればそんな目に遭っているのでないと、釣り合いが取れないっていうか」
「つ……」
――釣り合い?
今まで砦で見せていたさわやかで余裕ある大人の彼とは裏腹の、むき出しの感情で発した言葉。
支離滅裂で全く要領を得ない。この人は一体何を言ってるの?
わたしの頭が理解を拒否する。
「もう勘弁してくれないか? 明日早いんだよな……これ以上関わるのは、もうやめてくれ」
どかどかと威嚇するような足音を立てて立ち去ろうとするが、出口はグレンさんが塞いでいる。
「クライブディクソンさん。 どちらへ」
「宿へ戻るだけだ……何が『クライブディクソンさん』だよ。どけよ」
「宿へ戻ってどうする……兄貴が闇堕ち記念に前祝いか?」
「何だと……」
グレンさんが嘲るような口調でカイルを煽ると、カイルは殺気のこもったような眼でグレンさんを睨む。
だけどグレンさんは平然として、むしろ何故か笑みを浮かべて続ける。
「……俺は酒が飲めないから分からないですが、そういう時に飲む酒ってのはやっぱり格別なんですかねえ、先輩――」
ガッという音がする。
カイルがグレンさんの胸ぐらを掴み、それと同時にグレンさんも胸ぐらを掴み返してカイルを壁に叩きつけた。
「グ、グレンさん! カイル……!」
「なんだよお前、この手は……っ! フン、お前が誰かに入れ込むなんて、珍しいじゃないか?」
「別に入れ込んでいない。……俺はお前にこれを渡す『お仕事』をしにきただけだ」
そう言いながらグレンさんはカイルを掴んでいた手で彼を引き寄せてからまた壁に叩きつけるように放り出し、そして今度は左手に持っていた書類をカイルの胸ぐらめがけて叩きつけた。
「『ジャミル・レッドフォードさんのご家族の方』……。お前弟なんだろう? 読め、今すぐに」
グレンさんが表情なく言葉を発すると、せまい建物の間のその地面から赤い杭のようなものが「ズドド」という音を立てて数本飛び出してきた。
……赤い杭はよく見ると炎だった。
槍のように研ぎ澄まされた炎が、路地への出口を塞ぐ。立ち去ろうとするカイルを檻に閉じ込めるかのように――。
グレンさんの左手の甲には火のような紋様が赤く浮かび上がってわずかに光を放っていた。
(あれが、グレンさんの紋章……)
「チッ……なんなんだよ、クソが……!」
行く手を塞がれたカイルはグレンさんを睨みつけながら書類を乱暴にひったくる。
鼻息荒くイライラを隠そうともしない様子だったが、そこに書かれてある文を見た途端に表情がサッと消える。
「介錯、同意書――?」
「えっ?」
何、それ……?
不服そうな表情ながらも、口の端だけ上げて笑いながらカイルがグレンさんに尋ねる。
そろそろ夕方になる時間。わたし達3人は宿屋と隣の店の隙間にいた。
すごく狭いわけではないけど広くもない。ごみ箱や木箱がいくつか置いてあり、空気はこもっている。
グレンさんは出口を塞ぐように決して綺麗ではない壁にもたれかかり、もう片方の壁に脚をかけ塞いでいる。
カイルの言う通り穏便な話し合いをするような場所でも、雰囲気でもない……。
「レイチェル。先に」
「あ、はい」
「レイチェル? 何の話かな。俺が話せることは全部話したつもりだけど」
「あのね、カイル。ジャミルのことなんだけど――」
そこまで言葉を発した時点でカイルはあからさまに不機嫌な顔になり髪をかきあげる。
「……兄貴? 一体、何」
「カイル、聞いて欲しいの。ジャミルは今、闇の紋章の剣? っていうのを拾ってしまって、それで取り憑かれて大変なの」
「……闇の紋章の剣? へえ、そいつは厄介だな。――それで」
「そ、それで……? あの、それで、カイルにジャミルと話し合いをしてほしくって」
「なんで話し合い? それで何かマシになるのかな」
「え……えっと」
冷たい目でカイルがわたしを見る。
――どうしよう。確かにカイルは幼馴染だけど、でも10歳以上も年上になってしまった大人の男の人だ。
その人に射抜くような目で取り付く島もない対応をされて、わたしは次の言葉を紡ぎ出せない。
「あの……」
「剣に呪われれば闇に堕ちてしまうから、それをなんとか防ぎたいって言うんだろう。けど俺が行ったって加速するだけじゃないか? やめておいたほうがいいんじゃない?」
「カイル……あのね、」
「俺は何を言えばいいんだろう?『あの日のことは兄貴のせいじゃないから気にすることないよ』とか? そうすれば、治っちゃうのかな? ……レイチェルも兄貴のせいじゃないってそう思ってる?」
「……わたし、は……、だって、あれは」
「近所の人もみんなそう思ってるんだよなぁ」
何か喋る前にカイルが先回りして喋ってしまう。
――ダメだ、前と違って何の話も聞いてもらえない。
わたしの話なんてどうでもよくて、思ったこと言いたいことを言っているだけ。まるで一人芝居だ。
「き、近所の人って……?」
それでもなんとか会話の糸口を見つけたくて、気になった単語を拾いあげる。
「何年か前たまたまカルムの街に来た時に、家を訪ねるというわけじゃないけど……とにかく実家に違う人が住んでたから『レッドフォードさんはどこへ行ったのか』と聞いたら『引っ越して行った』『お兄さんが気に病みすぎるから、両親が気遣って』ってさ。俺がいなくなって1年も経ってなかったはずなのに――切り替え早いよね」
「切り替えってそんな、そんなこと……」
――ないって言い切れるんだろうか。
彼の両親は、ふさぎがちになってしまったジャミルがこれ以上自分を責めないようにと引っ越すことに決めた。
「色々と思い出の残るこの地にいるよりは」って言っていたって、わたしの両親から聞いた。
だって街のどこに行っても、カイルの思い出が残ってる。
あの木に登ったとか、ここでお弁当を食べたとか、兄弟で背比べをしたとか。
だからなのか、カイルの13歳の誕生日を迎えるよりも前に引っ越していった――カイルがいなくなって、1年どころか半年も経っていない。
ジャミルが言っていた。「自分の前では気遣ってカイルの話はしない」って。それはジャミルへの気遣いなんだろうか。
おじさんおばさんも辛くて離れたかったのかもしれない。思い出から、逃げたかったのかもしれない。
「……引っ越して行ったの、嫌だった?」
「いいや。でも両親の中では、もう俺はいないものだったんだよな」
「おじさんおばさんの気持ちは分からないけど、ジャミルは『カイルを置いて引っ越しなんてできない』って言ってたよ。ねえ――」
「ほんとに……なんだかさあ、兄貴は随分かばわれて守られてるよな。俺はいきなり全部無くなったっていうのに」
「全部、無くなった……?」
脈絡もなく飛び出す言葉。会話のキャッチボールが、全然続かない。
「カイルは過去にタイムスリップしちゃって、色々辛かったんだよね? だけど『クライブ・ディクソン』っていう自分を捨てたくなくて、だから制約破りをしてまで、また12歳のカイルが過去に飛ばされるようにして……今の自分は、自分で選び取ったんでしょう? カイルだけが全部なくしたんじゃない、おじさんおばさんはカイルがいなくなって悲しんでるのよ! ジャミルだって――」
「ジャミルジャミルってうるさいんだよ! 闇の剣に取り憑かれて? 知ったことじゃないんだよ、それは俺のせいか? 随分守られて気を遣われてるよな――俺からすればそんな目に遭っているのでないと、釣り合いが取れないっていうか」
「つ……」
――釣り合い?
今まで砦で見せていたさわやかで余裕ある大人の彼とは裏腹の、むき出しの感情で発した言葉。
支離滅裂で全く要領を得ない。この人は一体何を言ってるの?
わたしの頭が理解を拒否する。
「もう勘弁してくれないか? 明日早いんだよな……これ以上関わるのは、もうやめてくれ」
どかどかと威嚇するような足音を立てて立ち去ろうとするが、出口はグレンさんが塞いでいる。
「クライブディクソンさん。 どちらへ」
「宿へ戻るだけだ……何が『クライブディクソンさん』だよ。どけよ」
「宿へ戻ってどうする……兄貴が闇堕ち記念に前祝いか?」
「何だと……」
グレンさんが嘲るような口調でカイルを煽ると、カイルは殺気のこもったような眼でグレンさんを睨む。
だけどグレンさんは平然として、むしろ何故か笑みを浮かべて続ける。
「……俺は酒が飲めないから分からないですが、そういう時に飲む酒ってのはやっぱり格別なんですかねえ、先輩――」
ガッという音がする。
カイルがグレンさんの胸ぐらを掴み、それと同時にグレンさんも胸ぐらを掴み返してカイルを壁に叩きつけた。
「グ、グレンさん! カイル……!」
「なんだよお前、この手は……っ! フン、お前が誰かに入れ込むなんて、珍しいじゃないか?」
「別に入れ込んでいない。……俺はお前にこれを渡す『お仕事』をしにきただけだ」
そう言いながらグレンさんはカイルを掴んでいた手で彼を引き寄せてからまた壁に叩きつけるように放り出し、そして今度は左手に持っていた書類をカイルの胸ぐらめがけて叩きつけた。
「『ジャミル・レッドフォードさんのご家族の方』……。お前弟なんだろう? 読め、今すぐに」
グレンさんが表情なく言葉を発すると、せまい建物の間のその地面から赤い杭のようなものが「ズドド」という音を立てて数本飛び出してきた。
……赤い杭はよく見ると炎だった。
槍のように研ぎ澄まされた炎が、路地への出口を塞ぐ。立ち去ろうとするカイルを檻に閉じ込めるかのように――。
グレンさんの左手の甲には火のような紋様が赤く浮かび上がってわずかに光を放っていた。
(あれが、グレンさんの紋章……)
「チッ……なんなんだよ、クソが……!」
行く手を塞がれたカイルはグレンさんを睨みつけながら書類を乱暴にひったくる。
鼻息荒くイライラを隠そうともしない様子だったが、そこに書かれてある文を見た途端に表情がサッと消える。
「介錯、同意書――?」
「えっ?」
何、それ……?
0
あなたにおすすめの小説
遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。
沼野 花
恋愛
夫と子供たちに、選ばれなかったイネス。
すべてを愛人に奪われ、彼女は限界を迎え、屋敷を去る。
だが、その先に待っていたのは、救いではなかった。
イネスを襲った、取り返しのつかない出来事。
変わり果てた現実を前に、
夫はようやく、自分が何を失ったのかを思い知る。
深い後悔と悲しみに苛まれながら、
失ったイネスの心を取り戻そうとする夫。
しかし、彼女の心はすでに、外の世界へと向かっていた。
贖罪を背負いながらもイネスを求め続ける夫。
そして、母の心を知っていく子供たち。
イネスが求める愛とは、
そして、幸せとは――。
里帰りをしていたら離婚届が送られてきたので今から様子を見に行ってきます
結城芙由奈@コミカライズ3巻7/30発売
恋愛
<離婚届?納得いかないので今から内密に帰ります>
政略結婚で2年もの間「白い結婚」を続ける最中、妹の出産祝いで里帰りしていると突然届いた離婚届。あまりに理不尽で到底受け入れられないので内緒で帰ってみた結果・・・?
※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
虚弱体質?の脇役令嬢に転生したので、食事療法を始めました
たくわん
恋愛
「跡継ぎを産めない貴女とは結婚できない」婚約者である公爵嫡男アレクシスから、冷酷に告げられた婚約破棄。その場で新しい婚約者まで紹介される屈辱。病弱な侯爵令嬢セラフィーナは、社交界の哀れみと嘲笑の的となった。
王太子妃専属侍女の結婚事情
蒼あかり
恋愛
伯爵家の令嬢シンシアは、ラドフォード王国 王太子妃の専属侍女だ。
未だ婚約者のいない彼女のために、王太子と王太子妃の命で見合いをすることに。
相手は王太子の側近セドリック。
ところが、幼い見た目とは裏腹に令嬢らしからぬはっきりとした物言いのキツイ性格のシンシアは、それが元でお見合いをこじらせてしまうことに。
そんな二人の行く末は......。
☆恋愛色は薄めです。
☆完結、予約投稿済み。
新年一作目は頑張ってハッピーエンドにしてみました。
ふたりの喧嘩のような言い合いを楽しんでいただければと思います。
そこまで激しくはないですが、そういうのが苦手な方はご遠慮ください。
よろしくお願いいたします。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
仕事で疲れて会えないと、恋人に距離を置かれましたが、彼の上司に溺愛されているので幸せです!
ぽんちゃん
恋愛
――仕事で疲れて会えない。
十年付き合ってきた恋人を支えてきたけど、いつも後回しにされる日々。
記念日すら仕事を優先する彼に、十分だけでいいから会いたいとお願いすると、『距離を置こう』と言われてしまう。
そして、思い出の高級レストランで、予約した席に座る恋人が、他の女性と食事をしているところを目撃してしまい――!?
最愛の番に殺された獣王妃
望月 或
恋愛
目の前には、最愛の人の憎しみと怒りに満ちた黄金色の瞳。
彼のすぐ後ろには、私の姿をした聖女が怯えた表情で口元に両手を当てこちらを見ている。
手で隠しているけれど、その唇が堪え切れず嘲笑っている事を私は知っている。
聖女の姿となった私の左胸を貫いた彼の愛剣が、ゆっくりと引き抜かれる。
哀しみと失意と諦めの中、私の身体は床に崩れ落ちて――
突然彼から放たれた、狂気と絶望が入り混じった慟哭を聞きながら、私の思考は止まり、意識は閉ざされ永遠の眠りについた――はずだったのだけれど……?
「憐れなアンタに“選択”を与える。このままあの世に逝くか、別の“誰か”になって新たな人生を歩むか」
謎の人物の言葉に、私が選択したのは――
美人同僚のおまけとして異世界召喚された私、無能扱いされ王城から追い出される。私の才能を見出してくれた辺境伯様と一緒に田舎でのんびりスローライ
さら
恋愛
美人な同僚の“おまけ”として異世界に召喚された私。けれど、無能だと笑われ王城から追い出されてしまう――。
絶望していた私を拾ってくれたのは、冷徹と噂される辺境伯様でした。
荒れ果てた村で彼の隣に立ちながら、料理を作り、子供たちに針仕事を教え、少しずつ居場所を見つけていく私。
優しい言葉をかけてくれる領民たち、そして、時折見せる辺境伯様の微笑みに、胸がときめいていく……。
華やかな王都で「無能」と追放された女が、辺境で自分の価値を見つけ、誰よりも大切に愛される――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる