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四章 JKゲーム
第3話 スルー&スルー
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「ふふ、優子。十代を楽しみましょう」
そう言うと魔女は瞬間移動。
私の目の前に現れ、押し倒してきた。
だけど私は慌てない。
「むっ」
そのまま変則的な巴投げで魔女を後ろへ抛った。
だけど、ドサッとか床に身体を打ちつける音がない。
軽くなった手の感触からもそうだけど、また瞬間移動したみたいね。
素早く起き上がり、全方位に注意する。
「ふふ……」
笑みを浮かべながら現れる魔女。
大したことはできないって言ってたけど、簡単に瞬間移動してる。
さすがにこの部屋からは出られないみたいだけど。
抱きついてくるのは、たぶん、魅了の魔法がかけられるから。
離れた位置から使える力はなくても、密着すればできるってことね。
それにこの空間内限定だけど、時間をコントロールしているみたいなことも言ってた。
限界はあるんだろうけど、それも考慮しなきゃ。
玄を使えれば、もっといろいろできるけど、いまは聖名夜ちゃんがやってる魔法をこっちからも安定させるように働いているようだから、一瞬、使うのが精一杯。
上手に対処しないと……。
「考えなくていいのよ、優子。私と一緒に気持ちよくなればいいの」
そう言うと魔女は右へ左へ、ランダムに瞬間移動しながら少しずつ近づいてきた。
予測させないつもりのようね。
だったら横に跳んで──。
壁を背に立って部屋の中を見る。
こうすれば背後の心配はなくなる。
「ふふ……」
構わず魔女はランダムな移動を続けてくる。
シュン──、シュン──、シュン──、シュン──。
フワ~~。
!
真上?
やばい!
手足を広げた魔女が上から降ってくる!
前へ跳びこんで床を一回転する緊急回避。
即座に立ち上がり、魔女を見る。
いない。
右……。
左……。
いない。
「優子──」
下!?
人間の肉体構造的に下からのアプローチは対応がむずか──。
背負い落とし!
下から跳びつく魔女の勢いと、私のキレと速さのある半回転しながらのしゃがみ込みを最大限にかみ合わせて無理やり投げた。
手ごたえは最高。
だけど魔女は床に叩きつけられる直前で瞬間移動して逃げたわね。
「オリンピックに出られるんじゃない、優子」
余裕の表情で再び現れる魔女。
このままだとキリがないわね。
身体が元に戻るまでなんて待っていられない。
早く手を打たないと対処しきれなくなる。
それに魔女が作った空間でもあるんだから、この他にも何か仕掛けがあるかもしれないし。
……。
……。
作った?
空間を?
それはつまり、魔法よね。
魔法……。
……。
ちょっと思いついた。
やってみるわ。
私は一番近い壁に寄って立ち、魔女を見た。
「今度は抱きしめるわよ、優子」
そう言うと魔女はまたランダムの瞬間移動をして近づいてきた。
シュン──、シュン──、シュン──、シュン──。
だけど私は魔女を無視するように右手の平を壁にあて、さらにその上を打つように左手の平を突き出した。
ダン! と大きい音をたてて衝撃が壁に伝わっていく。
「!?」
すると、そこから広がるようにして薄暗いピンクの部屋が、青空に塗り替えられていった。
思ったとおりだ。
「な……、優子……、あなた……」
青空に浮かぶかたちで驚く魔女。
そう。
魔女が考えているとおり、魔法をハッキングしたのよ。
私が球体になったのは玄を使って、魔女の記憶なんかをハッキングするかたちで行ったもの。
同様に、魔女が作ったこの部屋もハッキングできるんじゃないかと思った。
とはいえ玄を強く使えるわけじゃないから、ひと工夫が必要。
たとえば、鎧の上から威力をとおす打ち方とか。
そうやって表面から内部へ玄をとおして、空間を構築している魔法にアクセス。
魔力より玄の方が上位だから権限を奪って支配し、私の意思をすぐに反映させる。
まず、部屋というものをなくして初期化。
魔女の領域を消し去る。
そして魔女の能力、瞬間移動を封印する。
これがないだけでもかなり違うからね。
他にもヤバそうなものを封印しよう。
封印といっても空間内で制限をかけるだけで、魔女に直接、施すわけじゃなけど。
む。
さっきより玄を使う範囲が広がった。
球体の分とシンクロしたんだ。
「優子……、それ以上はさせないわよ!」
そう言うと魔女は両手を広げて、空間を握るようなしぐさをした。
むむむ?
こっちの方が上位だけど、細かい魔法の経路を束ねて権限を奪い返そうとしてる。
魔法の構成に精通しているからこその芸当よね。
さすが魔女。
だけど、それより早く空間や場所を決定してブロック。
いじられないようにするわ。
魔女から逃げきれて私の都合がいい場所……。
あそこがいいわね。
重ねてた私の両手から強い光が放たれ、周囲が新たに書き換えられていく。
「優子──!」
……。
……。
……。
「ここは……」
光が消え、見回す魔女。
そこには、制服を着た十五歳からの若い男女が行きかう廊下。
「もしかして……、優子の……」
そうだよ。
創立五十年。
全校生徒、五百三十二人。
教師、二十七人。
魔物と戦う術を学ぶ異能戦技科がある、県内で唯一の高校。
私が通う、公立日威高等学校の三階廊下よ。
そう言うと魔女は瞬間移動。
私の目の前に現れ、押し倒してきた。
だけど私は慌てない。
「むっ」
そのまま変則的な巴投げで魔女を後ろへ抛った。
だけど、ドサッとか床に身体を打ちつける音がない。
軽くなった手の感触からもそうだけど、また瞬間移動したみたいね。
素早く起き上がり、全方位に注意する。
「ふふ……」
笑みを浮かべながら現れる魔女。
大したことはできないって言ってたけど、簡単に瞬間移動してる。
さすがにこの部屋からは出られないみたいだけど。
抱きついてくるのは、たぶん、魅了の魔法がかけられるから。
離れた位置から使える力はなくても、密着すればできるってことね。
それにこの空間内限定だけど、時間をコントロールしているみたいなことも言ってた。
限界はあるんだろうけど、それも考慮しなきゃ。
玄を使えれば、もっといろいろできるけど、いまは聖名夜ちゃんがやってる魔法をこっちからも安定させるように働いているようだから、一瞬、使うのが精一杯。
上手に対処しないと……。
「考えなくていいのよ、優子。私と一緒に気持ちよくなればいいの」
そう言うと魔女は右へ左へ、ランダムに瞬間移動しながら少しずつ近づいてきた。
予測させないつもりのようね。
だったら横に跳んで──。
壁を背に立って部屋の中を見る。
こうすれば背後の心配はなくなる。
「ふふ……」
構わず魔女はランダムな移動を続けてくる。
シュン──、シュン──、シュン──、シュン──。
フワ~~。
!
真上?
やばい!
手足を広げた魔女が上から降ってくる!
前へ跳びこんで床を一回転する緊急回避。
即座に立ち上がり、魔女を見る。
いない。
右……。
左……。
いない。
「優子──」
下!?
人間の肉体構造的に下からのアプローチは対応がむずか──。
背負い落とし!
下から跳びつく魔女の勢いと、私のキレと速さのある半回転しながらのしゃがみ込みを最大限にかみ合わせて無理やり投げた。
手ごたえは最高。
だけど魔女は床に叩きつけられる直前で瞬間移動して逃げたわね。
「オリンピックに出られるんじゃない、優子」
余裕の表情で再び現れる魔女。
このままだとキリがないわね。
身体が元に戻るまでなんて待っていられない。
早く手を打たないと対処しきれなくなる。
それに魔女が作った空間でもあるんだから、この他にも何か仕掛けがあるかもしれないし。
……。
……。
作った?
空間を?
それはつまり、魔法よね。
魔法……。
……。
ちょっと思いついた。
やってみるわ。
私は一番近い壁に寄って立ち、魔女を見た。
「今度は抱きしめるわよ、優子」
そう言うと魔女はまたランダムの瞬間移動をして近づいてきた。
シュン──、シュン──、シュン──、シュン──。
だけど私は魔女を無視するように右手の平を壁にあて、さらにその上を打つように左手の平を突き出した。
ダン! と大きい音をたてて衝撃が壁に伝わっていく。
「!?」
すると、そこから広がるようにして薄暗いピンクの部屋が、青空に塗り替えられていった。
思ったとおりだ。
「な……、優子……、あなた……」
青空に浮かぶかたちで驚く魔女。
そう。
魔女が考えているとおり、魔法をハッキングしたのよ。
私が球体になったのは玄を使って、魔女の記憶なんかをハッキングするかたちで行ったもの。
同様に、魔女が作ったこの部屋もハッキングできるんじゃないかと思った。
とはいえ玄を強く使えるわけじゃないから、ひと工夫が必要。
たとえば、鎧の上から威力をとおす打ち方とか。
そうやって表面から内部へ玄をとおして、空間を構築している魔法にアクセス。
魔力より玄の方が上位だから権限を奪って支配し、私の意思をすぐに反映させる。
まず、部屋というものをなくして初期化。
魔女の領域を消し去る。
そして魔女の能力、瞬間移動を封印する。
これがないだけでもかなり違うからね。
他にもヤバそうなものを封印しよう。
封印といっても空間内で制限をかけるだけで、魔女に直接、施すわけじゃなけど。
む。
さっきより玄を使う範囲が広がった。
球体の分とシンクロしたんだ。
「優子……、それ以上はさせないわよ!」
そう言うと魔女は両手を広げて、空間を握るようなしぐさをした。
むむむ?
こっちの方が上位だけど、細かい魔法の経路を束ねて権限を奪い返そうとしてる。
魔法の構成に精通しているからこその芸当よね。
さすが魔女。
だけど、それより早く空間や場所を決定してブロック。
いじられないようにするわ。
魔女から逃げきれて私の都合がいい場所……。
あそこがいいわね。
重ねてた私の両手から強い光が放たれ、周囲が新たに書き換えられていく。
「優子──!」
……。
……。
……。
「ここは……」
光が消え、見回す魔女。
そこには、制服を着た十五歳からの若い男女が行きかう廊下。
「もしかして……、優子の……」
そうだよ。
創立五十年。
全校生徒、五百三十二人。
教師、二十七人。
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私が通う、公立日威高等学校の三階廊下よ。
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