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三章 個人探求者
第11話 戦いに出る子
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「……」
無言で階段を下りていく、ほむらちゃん。
その先の広場になっているところに、白衣姿の鉄摩さんとニニちゃんがいる。
さっき、ほむらちゃんと話したときは立体映像だったけど、これは本物。
あらためて見るとこのツーショット、親子ね。
瑠羅ちゃんとかも、娘って言ってたし。
でも、最初に瑠羅ちゃんは、造ったって言ってたのよね。
だから人造人間のようなものかなって思ってたけど、機械的なところが見られないから、その実感がない。
能力者であれぐらいやる人はいるし、戦ったこともある。
「さすがだな。セキュリティを簡単に突破するとは」
なんかちょっと嬉しそうに言う鉄摩さん。
いや、セキュリティを突破されたらダメだと思うけど。
「随分といい趣味してるじゃねえか。瑠羅や利羅、狼羅の方がまだましだったぜ」
ほむらちゃんは、ムカッとしているのを隠さないで言った。
「ほっほっほ。セキュリティの物は全て商品開発のために試作したものだからね。私の趣味で造ったものではない」
「商品?」
「考えてもみたまえ。これだけの設備や資材、どうやって調達するか。当然、巨額の資金が必要になる。そこで私は持っている物好きな方に販売したり、支援してもらっているというわけさ」
「それで女か」
「男を造ってもつまらん。どうせ造るなら美しい女がいい。客やスポンサーも、そういった面々だけにしている。最低限、女であれば私も納得して造れるからね」
「けっ……」
あらためてムカつくほむらちゃん。
え、じゃあ何?
さっき通路に転がっていたマネキンみたいなのって、元々はそういう目的の物だったの?
腕四本とかあったけど。
うわー、分からない。
ほむらちゃんがムカついていたのは、それに気がついたからなのね。
なるほど。
私もムカついてきたわ。
女をなんだと思っているのかしら。
「さて、君はここまで来たわけだが、私は球体を渡すつもりはない。分かっていると思うが、ほかに球体を持っている子が所内にいてね。うちの娘が戦ったんだが負傷してしまった。そのおかげで現在、まともに戦える者がいない状態になっているんだが──」
「はい、私がやります。父様」
そう言いながらニニちゃんが一歩、前に出た。
ニニちゃん?
待って、レのつく子がいるんじゃないの?
それにニニちゃん、見た目は十歳の女の子。
戦うっていっても……。
いや、見た目で判断してはいけないわね。
「私はそこで見ている。存分に戦いなさい、ニニ」
「はい、父様」
ニニちゃんは微笑むと、鉄摩さんは広場を見下ろせる通路に瞬間移動した。
その位置にいると、娘を見守る保護者というよりは、戦いを分析する人に見える。
そういえば瑠羅ちゃんがずっと結界を張っていたけど、今回はいないわね。
結界がいらないってこと?
でも、ほむらちゃんの右側には大きな機械とかがあって、壊れたらやばそうなんだけど。
「──よろしいですか?」
確認するニニちゃん。
「ああ……」
静かに答えて構えるほむらちゃん。
「では、いきます」
それを受けて、ニニちゃんはグッと身体に力を込めた。
「ううぅ……」
ちょっと苦しそうにしながらも、身体から赤黒く薄いオーラが立ち昇った。
これは……。
間違いない。
私のチカラ、玄だ。
ニニちゃん、球体から玄を引き出しているんだ!
「むん!」
玄のオーラをまとった右手を振るニニちゃん。
そこからオーラは巨人の右手のように大きくなって、ほむらちゃんに掴みかかった。
「!」
しゃがんでギリギリ躱す、ほむらちゃん。
まずい。
これが玄である以上、触れることができない。
いや、正確には受け止めるような防御で触らない方がいい。
だって玄はあらゆるものに変化できるから。
たとえば、玄で触れてから焼くことや凍らせること。
電撃、麻痺とかの他に、崩壊させることもできる。
その気になれば、炎を凍結させることも。
あんまり濃いと制御が難しくなるけど、あれぐらいなら多少、不慣れでも扱えそう。
「まだまだいきます」
そう言うとニニちゃんは左右の手を振って、次々とオーラの巨手を出した。
「ちぃ……」
するとほむらちゃんは両手両足から不動明王の炎を出した。
そしてその炎を緩衝材にして、巨手に触れないように受け流しつつ、体術で回避していく。
神様の炎だから玄にも対抗できる。
だけど、玄は変化させられるし、接触の時間が長いと飲み込まれたり散らされたりで、いろいろ不利になる。
それにここは広場になっているけど、狼羅ちゃんのときと比べて狭いから、連続で範囲のある攻撃をされると躱していくのは厳しい。
動作として、ニニちゃんは手を振っているだけだから、そんなに疲れることはない。
でも、ほむらちゃんは炎を使い、身体を動かし続けているから、やがては疲れてくる。
いつもは玄を使っている側の私だけど、使われると、とんでもなくやっかいね。
「どうしました」
クールな顔のまま、余裕のセリフを言うニニちゃん。
「ふむ……」
上で見ている鉄摩さんも、一歩的だな、見たいにして見てる。
「仕方ねえ……」
決意を呟くほむらちゃん。
ということは、もう一つの炎を使うつもりなんだ。
「いくぜ!」
気合いを入れて、切り替えようとした瞬間──。
「!?」
ドクンと大きな鼓動がニニちゃんの全身を震わせた。
無言で階段を下りていく、ほむらちゃん。
その先の広場になっているところに、白衣姿の鉄摩さんとニニちゃんがいる。
さっき、ほむらちゃんと話したときは立体映像だったけど、これは本物。
あらためて見るとこのツーショット、親子ね。
瑠羅ちゃんとかも、娘って言ってたし。
でも、最初に瑠羅ちゃんは、造ったって言ってたのよね。
だから人造人間のようなものかなって思ってたけど、機械的なところが見られないから、その実感がない。
能力者であれぐらいやる人はいるし、戦ったこともある。
「さすがだな。セキュリティを簡単に突破するとは」
なんかちょっと嬉しそうに言う鉄摩さん。
いや、セキュリティを突破されたらダメだと思うけど。
「随分といい趣味してるじゃねえか。瑠羅や利羅、狼羅の方がまだましだったぜ」
ほむらちゃんは、ムカッとしているのを隠さないで言った。
「ほっほっほ。セキュリティの物は全て商品開発のために試作したものだからね。私の趣味で造ったものではない」
「商品?」
「考えてもみたまえ。これだけの設備や資材、どうやって調達するか。当然、巨額の資金が必要になる。そこで私は持っている物好きな方に販売したり、支援してもらっているというわけさ」
「それで女か」
「男を造ってもつまらん。どうせ造るなら美しい女がいい。客やスポンサーも、そういった面々だけにしている。最低限、女であれば私も納得して造れるからね」
「けっ……」
あらためてムカつくほむらちゃん。
え、じゃあ何?
さっき通路に転がっていたマネキンみたいなのって、元々はそういう目的の物だったの?
腕四本とかあったけど。
うわー、分からない。
ほむらちゃんがムカついていたのは、それに気がついたからなのね。
なるほど。
私もムカついてきたわ。
女をなんだと思っているのかしら。
「さて、君はここまで来たわけだが、私は球体を渡すつもりはない。分かっていると思うが、ほかに球体を持っている子が所内にいてね。うちの娘が戦ったんだが負傷してしまった。そのおかげで現在、まともに戦える者がいない状態になっているんだが──」
「はい、私がやります。父様」
そう言いながらニニちゃんが一歩、前に出た。
ニニちゃん?
待って、レのつく子がいるんじゃないの?
それにニニちゃん、見た目は十歳の女の子。
戦うっていっても……。
いや、見た目で判断してはいけないわね。
「私はそこで見ている。存分に戦いなさい、ニニ」
「はい、父様」
ニニちゃんは微笑むと、鉄摩さんは広場を見下ろせる通路に瞬間移動した。
その位置にいると、娘を見守る保護者というよりは、戦いを分析する人に見える。
そういえば瑠羅ちゃんがずっと結界を張っていたけど、今回はいないわね。
結界がいらないってこと?
でも、ほむらちゃんの右側には大きな機械とかがあって、壊れたらやばそうなんだけど。
「──よろしいですか?」
確認するニニちゃん。
「ああ……」
静かに答えて構えるほむらちゃん。
「では、いきます」
それを受けて、ニニちゃんはグッと身体に力を込めた。
「ううぅ……」
ちょっと苦しそうにしながらも、身体から赤黒く薄いオーラが立ち昇った。
これは……。
間違いない。
私のチカラ、玄だ。
ニニちゃん、球体から玄を引き出しているんだ!
「むん!」
玄のオーラをまとった右手を振るニニちゃん。
そこからオーラは巨人の右手のように大きくなって、ほむらちゃんに掴みかかった。
「!」
しゃがんでギリギリ躱す、ほむらちゃん。
まずい。
これが玄である以上、触れることができない。
いや、正確には受け止めるような防御で触らない方がいい。
だって玄はあらゆるものに変化できるから。
たとえば、玄で触れてから焼くことや凍らせること。
電撃、麻痺とかの他に、崩壊させることもできる。
その気になれば、炎を凍結させることも。
あんまり濃いと制御が難しくなるけど、あれぐらいなら多少、不慣れでも扱えそう。
「まだまだいきます」
そう言うとニニちゃんは左右の手を振って、次々とオーラの巨手を出した。
「ちぃ……」
するとほむらちゃんは両手両足から不動明王の炎を出した。
そしてその炎を緩衝材にして、巨手に触れないように受け流しつつ、体術で回避していく。
神様の炎だから玄にも対抗できる。
だけど、玄は変化させられるし、接触の時間が長いと飲み込まれたり散らされたりで、いろいろ不利になる。
それにここは広場になっているけど、狼羅ちゃんのときと比べて狭いから、連続で範囲のある攻撃をされると躱していくのは厳しい。
動作として、ニニちゃんは手を振っているだけだから、そんなに疲れることはない。
でも、ほむらちゃんは炎を使い、身体を動かし続けているから、やがては疲れてくる。
いつもは玄を使っている側の私だけど、使われると、とんでもなくやっかいね。
「どうしました」
クールな顔のまま、余裕のセリフを言うニニちゃん。
「ふむ……」
上で見ている鉄摩さんも、一歩的だな、見たいにして見てる。
「仕方ねえ……」
決意を呟くほむらちゃん。
ということは、もう一つの炎を使うつもりなんだ。
「いくぜ!」
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「!?」
ドクンと大きな鼓動がニニちゃんの全身を震わせた。
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