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三章 個人探求者
第10話 マネキンの、子?
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「決着がついたようね」
瑠羅ちゃんの声がすると、暗かった室内が明るくなった。
そしてはっきりと見える雷羅ちゃんの姿。
歳は十七、八かな。
黒髪のショートカットは想像できたけど、服装は……、ああなるほど。
身長が百七十センチくらいの、スレンダーなボディラインが分かるような、水着を連想させる黒い特殊繊維製のスーツを着ている。
未来の忍者はこうなりますってかんじ。
肌も褐色だから闇に溶け込むのには最適ね。
ていうか床に転がっている刀も、刀身が黒っぽい半透明な物。
徹底しているわ。
「あんたなら楽勝だと思ったんだけど」
言いながら、瑠羅ちゃんやってきた。
「聖名夜を連れてきたんだから」
そうなの?
だとしたら、タイミング的には香澄さんのところから離れてちょっとの間だと思うけど、そこに雷羅ちゃんがいたってことは、最初から狙っていたんだ。
おそらく、球体を持つニニちゃんがここにいて、連絡したんだろう。
球体を持っている人は他の球体の場所も分かるから、例えば病院から西側へ移動した人が球体を持っている、みたいにして。
ほむらちゃんは、ここへやって来たもんだから、そのまま迎えうつことにしたんじゃないかな。
いずれにしても、この戦いは聖名夜ちゃんの勝利で間違いない。
約束は守ってもらおう。
「──休んでなさい」
そう言うと瑠羅ちゃんは、利羅ちゃんや狼羅ちゃんのときと同じく、右手で雷羅ちゃんの身体に触れると、刀と一緒にその姿が消えた。
刀、離れていたけど、見えない何かで繋がっているみたいね。
そして。
雷羅、利羅、瑠羅、狼羅……。
レのつく子は確定ね。
そもそもなんで『羅』てつくのかしら。
みんな女の子で美人なのに、言葉だけ聞くと恐い顔をした筋肉むきむきの明王とかをイメージしちゃうけど。
「はあ……、はあ……、はあ……」
だいぶましになったけど、聖名夜ちゃんの呼吸はまだ荒い。
床に沿わせるようにしながら剣を納め、元のステッキにすると、それを支えに立ち上がった。
「さあ……、道を……、繋いで……、もらうわよ……」
「分かってる。慌てなくていいわよ」
聖名夜ちゃんを見ながら、瑠羅ちゃんはパチンと左手を鳴らすと、すぐそばの壁から鉄製のドアが現れた。
ほむらちゃんのときと同じく。真新しい感じのやつ。
そう言えば、ほむらちゃんには魔法をかけるみたいなことを言ってたけど、聖名夜ちゃんには言ってない。
魔導服を見て、魔導士だから効かないと思ったのかな。
それとも、一度、聖名夜ちゃんを連れ去っているから大丈夫みたいに思ったのかしら。
だとしたらちょっと許せないわね。
「言っておくけど、聖名夜がニニと会うまで私たちは邪魔しないわ」
ドアへ行こうとする聖名夜ちゃんに、瑠羅ちゃんは言った。
「わたしたちはね」
何かあることを示唆する言い方。
仕掛けや罠のようなものがありそうね。
「なるほど……。分かったわ……」
回復が十分ではないけど、ドアの前に立つ聖名夜ちゃん。
「……」
その様子を見守る瑠羅ちゃん。
聖名夜ちゃんがドアノブを握って開けると、そこには通路があった。
縦と横三メートルくらいで、長さは二十メートル以上ありそう。
その先には自動開閉式のドアが見えるし、他に行く通路もないから、真っ直ぐそこを目指せばいいのね。
壁や床、天井も、白い強化プラスチックみたいな材質になっているから、研究所の中なんだと納得する作りになっている。
さっき戦ったところは結構、無骨なかんじだったから、その印象はなかったけど。
「聖名夜。その通りには何もないから、安心して」
「そう……」
静かに答えて、聖名夜ちゃんはステッキをつきながら通路を歩いていった。
安心して……。
もしかして瑠羅ちゃん、気遣った?
手の内を明かして、その間に回復できることを教えたわね。
でも、球体を目的に聖名夜ちゃんを連れ去っているんだし、気をつけなければならない。
──そしていま、ほむらちゃんの持つ球体が、ニニちゃんの持つ球体と十メートルくらいのところまで迫っている。
なにかありそうな気がする。
ごめん、聖名夜ちゃん。
いったん、ほむらちゃんのところへ行くね。
──私の意識はほむらちゃんの球体へ移動する。
「けっ……」
イラついてる様子で何かを蹴とばすほむらちゃん。
えっと、マネキンの頭?
まわりを見ると、胸があるから女の子と分かるマネキンらしきものが五体くらい倒れてる。
五体くらいっていうのは、手足が欠損していたり、下半身だけとか、腕が四本あったりするから。
服も着ていない、裸状態ということもあって、正確なところが分からない。
たぶん、ほむらちゃんが倒したと思うけど、力任せにブッ飛ばしたみたい。
ここは研究所の中というより、工場の通路みたいなところだから、製造途中のものが襲ってきたようにも感じられる。
そしてその通路なんだけど、ほむらちゃんの左側はそのまま別の施設に繋がっているようなかんじなのに対し、右側には下りの階段があって、四角い広場のようなものがある
そのまわりは大きなパイプとか、よく分からない大型の機械があるから、よけいに工場の中のように思う。
そして──。
その広場に鉄摩さんとニニちゃんがいた。
瑠羅ちゃんの声がすると、暗かった室内が明るくなった。
そしてはっきりと見える雷羅ちゃんの姿。
歳は十七、八かな。
黒髪のショートカットは想像できたけど、服装は……、ああなるほど。
身長が百七十センチくらいの、スレンダーなボディラインが分かるような、水着を連想させる黒い特殊繊維製のスーツを着ている。
未来の忍者はこうなりますってかんじ。
肌も褐色だから闇に溶け込むのには最適ね。
ていうか床に転がっている刀も、刀身が黒っぽい半透明な物。
徹底しているわ。
「あんたなら楽勝だと思ったんだけど」
言いながら、瑠羅ちゃんやってきた。
「聖名夜を連れてきたんだから」
そうなの?
だとしたら、タイミング的には香澄さんのところから離れてちょっとの間だと思うけど、そこに雷羅ちゃんがいたってことは、最初から狙っていたんだ。
おそらく、球体を持つニニちゃんがここにいて、連絡したんだろう。
球体を持っている人は他の球体の場所も分かるから、例えば病院から西側へ移動した人が球体を持っている、みたいにして。
ほむらちゃんは、ここへやって来たもんだから、そのまま迎えうつことにしたんじゃないかな。
いずれにしても、この戦いは聖名夜ちゃんの勝利で間違いない。
約束は守ってもらおう。
「──休んでなさい」
そう言うと瑠羅ちゃんは、利羅ちゃんや狼羅ちゃんのときと同じく、右手で雷羅ちゃんの身体に触れると、刀と一緒にその姿が消えた。
刀、離れていたけど、見えない何かで繋がっているみたいね。
そして。
雷羅、利羅、瑠羅、狼羅……。
レのつく子は確定ね。
そもそもなんで『羅』てつくのかしら。
みんな女の子で美人なのに、言葉だけ聞くと恐い顔をした筋肉むきむきの明王とかをイメージしちゃうけど。
「はあ……、はあ……、はあ……」
だいぶましになったけど、聖名夜ちゃんの呼吸はまだ荒い。
床に沿わせるようにしながら剣を納め、元のステッキにすると、それを支えに立ち上がった。
「さあ……、道を……、繋いで……、もらうわよ……」
「分かってる。慌てなくていいわよ」
聖名夜ちゃんを見ながら、瑠羅ちゃんはパチンと左手を鳴らすと、すぐそばの壁から鉄製のドアが現れた。
ほむらちゃんのときと同じく。真新しい感じのやつ。
そう言えば、ほむらちゃんには魔法をかけるみたいなことを言ってたけど、聖名夜ちゃんには言ってない。
魔導服を見て、魔導士だから効かないと思ったのかな。
それとも、一度、聖名夜ちゃんを連れ去っているから大丈夫みたいに思ったのかしら。
だとしたらちょっと許せないわね。
「言っておくけど、聖名夜がニニと会うまで私たちは邪魔しないわ」
ドアへ行こうとする聖名夜ちゃんに、瑠羅ちゃんは言った。
「わたしたちはね」
何かあることを示唆する言い方。
仕掛けや罠のようなものがありそうね。
「なるほど……。分かったわ……」
回復が十分ではないけど、ドアの前に立つ聖名夜ちゃん。
「……」
その様子を見守る瑠羅ちゃん。
聖名夜ちゃんがドアノブを握って開けると、そこには通路があった。
縦と横三メートルくらいで、長さは二十メートル以上ありそう。
その先には自動開閉式のドアが見えるし、他に行く通路もないから、真っ直ぐそこを目指せばいいのね。
壁や床、天井も、白い強化プラスチックみたいな材質になっているから、研究所の中なんだと納得する作りになっている。
さっき戦ったところは結構、無骨なかんじだったから、その印象はなかったけど。
「聖名夜。その通りには何もないから、安心して」
「そう……」
静かに答えて、聖名夜ちゃんはステッキをつきながら通路を歩いていった。
安心して……。
もしかして瑠羅ちゃん、気遣った?
手の内を明かして、その間に回復できることを教えたわね。
でも、球体を目的に聖名夜ちゃんを連れ去っているんだし、気をつけなければならない。
──そしていま、ほむらちゃんの持つ球体が、ニニちゃんの持つ球体と十メートルくらいのところまで迫っている。
なにかありそうな気がする。
ごめん、聖名夜ちゃん。
いったん、ほむらちゃんのところへ行くね。
──私の意識はほむらちゃんの球体へ移動する。
「けっ……」
イラついてる様子で何かを蹴とばすほむらちゃん。
えっと、マネキンの頭?
まわりを見ると、胸があるから女の子と分かるマネキンらしきものが五体くらい倒れてる。
五体くらいっていうのは、手足が欠損していたり、下半身だけとか、腕が四本あったりするから。
服も着ていない、裸状態ということもあって、正確なところが分からない。
たぶん、ほむらちゃんが倒したと思うけど、力任せにブッ飛ばしたみたい。
ここは研究所の中というより、工場の通路みたいなところだから、製造途中のものが襲ってきたようにも感じられる。
そしてその通路なんだけど、ほむらちゃんの左側はそのまま別の施設に繋がっているようなかんじなのに対し、右側には下りの階段があって、四角い広場のようなものがある
そのまわりは大きなパイプとか、よく分からない大型の機械があるから、よけいに工場の中のように思う。
そして──。
その広場に鉄摩さんとニニちゃんがいた。
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