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一章 少女使い
第4話 炎と少女
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「今度はそちらのお嬢さんがお相手ですか」
いやらしく笑う変態さん。
「……」
答えず怒りの眼差しのほむらちゃん。
「さすがにあなたは強そうだ。先ほどの彼女のようにはいかないでしょうね。だから──。
変態さんの前に次々と女の子が現れていく。
「戦えそうな子、全員でお相手します」
そう言って変態さんはニタッと笑ってみせた。
カンフーの子はそのままで、剣道っ子が再び登場。
追加されたのはボクシング、空手、弓道の子たち。
それは構えで分かる。
私と年の差はなさそう。
服装はやっぱり紺のスーツ。
変態さんもスーツだから、五人全員、部下って感じに見える。
ボクシングの子は長身でグローブをつけていないけど、弓道の子は得物である弓を持っているわね。
空手の子は階級が六十キロくらいのがっしりした体型で、背が高く、国際大会常連みたいなかんじ。
そして、みんな目が紫だから異様さはハンパない。
「さあ、試合の始まりですっ」
ちょっと興奮気味に変態さんが言うと、その子たちはいっせいに襲いかかってきた。
その中でも真っ先にやってきたのは剣道っ子。
「せーーい!」
上段から振り下ろしてくる竹刀を、ほむらちゃんは右手でさばきながら左掌底をわき腹へ打ち込む。
剣道っ子は押されたかんじで体勢を崩すと、そこから赤い炎が噴き出して広がり、倒れながら燃えて消えた。
それに構わず、カンフーっ子、ボクシング子、空手子が迫る。
「てい!」
「しゅっ!」
カンフーっ子の鋭い突きを躱し、続くボクシング子の強烈な左フックを利用してほむらちゃんは背負い投げ。
カンフーっ子を巻き込んで床に叩きつけた。
「せいや!」
そこへ空手子がキレのある回し蹴りを繰り出す。
瞬間、ほむらちゃんはしゃがんで空手子の軸足をはらい、転倒させる。
すかさず炎を纏った右足を振ってサッカーボールキック。
空手子は両腕で防御するけど、火圧もある威力に押されて床を転がる。
その先には倒れているカンフーっ子とボクシング子。
合流させると、ほむらちゃんは右手から赤い炎を出して、まとまった三人の子に向けて大きく振った。
ゴオォーっと、三人を包む柱のような炎が噴き上がり、抵抗する間もなく、一気に燃やし尽くした。
!
隙あり、とばかりに弓道っ子が矢を放った。
矢は真っ直ぐ、ほむらちゃんへ飛んでくる。
だけど、その矢は途中で炎をあげ、空中で燃え尽きた。
そして、ほむらちゃんは素早く弓道っ子に接近。
胸元に右手を当てた。
ボッと、弓道っ子の身体が発火して炎に包まれ、静かに燃えて消えた。
──不動龍炎武。
ほむらちゃんは、不動明王と龍の炎を操る古武術の使い手。
それもかなりの手練れ。
床に炎の痕跡はないし、消火装置だって反応しない。
同い年だけど、ほむらちゃんは女子高生じゃない。
一般人が知る由もない裏の世界で、日本を守るために活動する一族の一人。
もう何人もの強力な悪い奴をやっつけている。
悪い奴であれば、それが人間でなかろうと関係ない。
「ほほ、凄まじい炎の使い手ですね」
自分が出した子がやられたのに、変態さんの顔は喜んでる。
「どうした、もう終わりか?」
それを無視して言う、ほむらちゃん。
その目はとても鋭い。
「そうですね、ここまでです」
表情はそのままに、変態さんは両手を上げて降参のポーズをした。
「もう一度、私から女子を出しても結果は同じでしょうし、プレイスタイルを変えることにします」
!
すると変態さん、身体が上下に引き伸ばされたかのように細長くなって体育館の奥へ飛んだ。
「ちっ……」
ほむらちゃんは追いかけようと前に出る。
とはいえ体育館の中は真っ暗。
訓練され、暗い所でも戦えるほむらちゃんといえど、うかつに近づけない。
慎重に歩みを進める。
ビューン、ビューン、ビューン。
暗闇の中、高速で動きまわる音が響く。
立ち止まり、様子を伺うほむらちゃん。
「暗闇プレイ、タッチプレイ、ウィッププレイ、バインドプレイなど、試したいものはありますが──」
……。
「せっかくですから、三人で一緒に楽しみましょう」
はっ!
「ユキ!」
振り返ると、変態さんがユキちゃんの背後に回って拘束していた。
「うう……」
苦しそうにもがくユキちゃん。
変態さんの両足は骨がなくなったみたいにユキちゃんの足に絡まり、同じように伸びた左腕がユキちゃんの両腕ごと身体に巻きついている。
右腕は人間のままで、ゆきちゃんの口を塞いでいる。
立ったまま木に縛り付けられているようにも、後ろから抱きしめられているようにも見える……。
「あなた一人を相手にしては炎にやられてしまいますが、こうすれば、みんな一緒に楽しめます」
そう言いながら変態さんは、巻きつけた左腕の先を動かす。
そこにはユキちゃんの胸がある!
「とことんふざけた野郎だな!」
怒りを露わしにして言う、ほむらちゃん。
そのとおりだ!
「さあ、おとなしくしてください。でないと、彼女だけが気持ちよくなってしまいますよ」
「うるせえんだよ!」
怒鳴りながら、ほむらちゃんは右手を突き出して広げる。
その瞬間、真っ赤な炎が噴き上がり、ユキちゃんと変態さんを包んだ。
「な、バカな、彼女まで燃やす気ですかっ」
まさかの行動に驚く変態さん。
「ぐうううっ……」
猛烈な熱さに思わず声をあげる。
そして気づいたみたいね。
「炎に包まれて、彼女が燃えていない?」
そう。
ほむらちゃんがいま出しているの炎は不動明王の炎であり、邪悪を焼き払うもの。
つまり、邪悪でないものは燃えない。
ほむらちゃんの意志で、ある程度は燃やすものを選別できるみたいだけど、基本的に人の害になるものを焼く。
その証拠に、炎の中で実際に燃えているのは変態さんの身体だけで、服は燃えていない。
「ぐわあああーっ!」
たまらずユキちゃんから離れ、床を転がる変態さん。
「ぐ……、うおおおおおーー」
やぶれかぶれで、ほむらちゃんに飛びかかってきた。
「燃えろ」
ほむらちゃんが静かに右手を握ると、変態さんからあらためて炎が噴き上がる。
「ぐぅ、わああああっー!」
頭や手足を引き千切るような勢いで、その身体の全てを焼き尽くした。
「……」
敵の焼滅を確認する、ほむらちゃん。
それを表しているみたいに、着ていたスーツがゆっくりと床へ落ちた。
いやらしく笑う変態さん。
「……」
答えず怒りの眼差しのほむらちゃん。
「さすがにあなたは強そうだ。先ほどの彼女のようにはいかないでしょうね。だから──。
変態さんの前に次々と女の子が現れていく。
「戦えそうな子、全員でお相手します」
そう言って変態さんはニタッと笑ってみせた。
カンフーの子はそのままで、剣道っ子が再び登場。
追加されたのはボクシング、空手、弓道の子たち。
それは構えで分かる。
私と年の差はなさそう。
服装はやっぱり紺のスーツ。
変態さんもスーツだから、五人全員、部下って感じに見える。
ボクシングの子は長身でグローブをつけていないけど、弓道の子は得物である弓を持っているわね。
空手の子は階級が六十キロくらいのがっしりした体型で、背が高く、国際大会常連みたいなかんじ。
そして、みんな目が紫だから異様さはハンパない。
「さあ、試合の始まりですっ」
ちょっと興奮気味に変態さんが言うと、その子たちはいっせいに襲いかかってきた。
その中でも真っ先にやってきたのは剣道っ子。
「せーーい!」
上段から振り下ろしてくる竹刀を、ほむらちゃんは右手でさばきながら左掌底をわき腹へ打ち込む。
剣道っ子は押されたかんじで体勢を崩すと、そこから赤い炎が噴き出して広がり、倒れながら燃えて消えた。
それに構わず、カンフーっ子、ボクシング子、空手子が迫る。
「てい!」
「しゅっ!」
カンフーっ子の鋭い突きを躱し、続くボクシング子の強烈な左フックを利用してほむらちゃんは背負い投げ。
カンフーっ子を巻き込んで床に叩きつけた。
「せいや!」
そこへ空手子がキレのある回し蹴りを繰り出す。
瞬間、ほむらちゃんはしゃがんで空手子の軸足をはらい、転倒させる。
すかさず炎を纏った右足を振ってサッカーボールキック。
空手子は両腕で防御するけど、火圧もある威力に押されて床を転がる。
その先には倒れているカンフーっ子とボクシング子。
合流させると、ほむらちゃんは右手から赤い炎を出して、まとまった三人の子に向けて大きく振った。
ゴオォーっと、三人を包む柱のような炎が噴き上がり、抵抗する間もなく、一気に燃やし尽くした。
!
隙あり、とばかりに弓道っ子が矢を放った。
矢は真っ直ぐ、ほむらちゃんへ飛んでくる。
だけど、その矢は途中で炎をあげ、空中で燃え尽きた。
そして、ほむらちゃんは素早く弓道っ子に接近。
胸元に右手を当てた。
ボッと、弓道っ子の身体が発火して炎に包まれ、静かに燃えて消えた。
──不動龍炎武。
ほむらちゃんは、不動明王と龍の炎を操る古武術の使い手。
それもかなりの手練れ。
床に炎の痕跡はないし、消火装置だって反応しない。
同い年だけど、ほむらちゃんは女子高生じゃない。
一般人が知る由もない裏の世界で、日本を守るために活動する一族の一人。
もう何人もの強力な悪い奴をやっつけている。
悪い奴であれば、それが人間でなかろうと関係ない。
「ほほ、凄まじい炎の使い手ですね」
自分が出した子がやられたのに、変態さんの顔は喜んでる。
「どうした、もう終わりか?」
それを無視して言う、ほむらちゃん。
その目はとても鋭い。
「そうですね、ここまでです」
表情はそのままに、変態さんは両手を上げて降参のポーズをした。
「もう一度、私から女子を出しても結果は同じでしょうし、プレイスタイルを変えることにします」
!
すると変態さん、身体が上下に引き伸ばされたかのように細長くなって体育館の奥へ飛んだ。
「ちっ……」
ほむらちゃんは追いかけようと前に出る。
とはいえ体育館の中は真っ暗。
訓練され、暗い所でも戦えるほむらちゃんといえど、うかつに近づけない。
慎重に歩みを進める。
ビューン、ビューン、ビューン。
暗闇の中、高速で動きまわる音が響く。
立ち止まり、様子を伺うほむらちゃん。
「暗闇プレイ、タッチプレイ、ウィッププレイ、バインドプレイなど、試したいものはありますが──」
……。
「せっかくですから、三人で一緒に楽しみましょう」
はっ!
「ユキ!」
振り返ると、変態さんがユキちゃんの背後に回って拘束していた。
「うう……」
苦しそうにもがくユキちゃん。
変態さんの両足は骨がなくなったみたいにユキちゃんの足に絡まり、同じように伸びた左腕がユキちゃんの両腕ごと身体に巻きついている。
右腕は人間のままで、ゆきちゃんの口を塞いでいる。
立ったまま木に縛り付けられているようにも、後ろから抱きしめられているようにも見える……。
「あなた一人を相手にしては炎にやられてしまいますが、こうすれば、みんな一緒に楽しめます」
そう言いながら変態さんは、巻きつけた左腕の先を動かす。
そこにはユキちゃんの胸がある!
「とことんふざけた野郎だな!」
怒りを露わしにして言う、ほむらちゃん。
そのとおりだ!
「さあ、おとなしくしてください。でないと、彼女だけが気持ちよくなってしまいますよ」
「うるせえんだよ!」
怒鳴りながら、ほむらちゃんは右手を突き出して広げる。
その瞬間、真っ赤な炎が噴き上がり、ユキちゃんと変態さんを包んだ。
「な、バカな、彼女まで燃やす気ですかっ」
まさかの行動に驚く変態さん。
「ぐうううっ……」
猛烈な熱さに思わず声をあげる。
そして気づいたみたいね。
「炎に包まれて、彼女が燃えていない?」
そう。
ほむらちゃんがいま出しているの炎は不動明王の炎であり、邪悪を焼き払うもの。
つまり、邪悪でないものは燃えない。
ほむらちゃんの意志で、ある程度は燃やすものを選別できるみたいだけど、基本的に人の害になるものを焼く。
その証拠に、炎の中で実際に燃えているのは変態さんの身体だけで、服は燃えていない。
「ぐわあああーっ!」
たまらずユキちゃんから離れ、床を転がる変態さん。
「ぐ……、うおおおおおーー」
やぶれかぶれで、ほむらちゃんに飛びかかってきた。
「燃えろ」
ほむらちゃんが静かに右手を握ると、変態さんからあらためて炎が噴き上がる。
「ぐぅ、わああああっー!」
頭や手足を引き千切るような勢いで、その身体の全てを焼き尽くした。
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