25 / 74
始まりの夏
24
しおりを挟む
「すごく奇麗な色ね」
「ああ、そうだね」
そう話す2人の声が聞こえてくる。
自分がハーブティを淹れたわけじゃないのに、お客さまのプラスな声を聞くことができるのはすごく嬉しい。
なんとなくだけれど、お店を経営する楽しさっていうか、やりがいっていうかそういうのを少しでも感じ取ることが出来ているような気がする。
本当は、もっともっと大変なこともたくさんあるんだろうけど、きっとそれ以上に心満たされることも多いはず。
特に、カイさんのように自分で食材を手作りするならなおさら。
「いいですね。自分の料理で人を笑顔に出来るなんて」
「まあな。1人でも美味しいと言ってくれる人がいると、明日も頑張ろうって思えるんだ」
カイさんは、誇り高い顔をして言った。
自分のお店が大好きなんだなって、その顔を見ると伝わってきて私ももっとここを好きになりたいと思う。
「はいっ」
今日は定休日で、ヤクモさんと花火を買いに行く約束をしていた。
庭に咲いている生き生きとした艶やかな野菜を見ていると、ヤクモさんが来る。
「よっ、早速買いに行こうぜ」
「はいっ、行きましょう」
今日は買い物のほかに、もう1つやりたいことがあった。最近気になっている地震について、何か本がないかどうかを探すこと。
「ヤクモさん」
「ん?」
「古本屋さんってありますか?」
「おお、あるぞ」
「そこにも行きたいんですけど、いいですか?」
「よし、じゃあ先にそっちに行くか」
「はい」
普通の本屋さんより、古いものを売っている本屋さんの方がなんとなくそれ関係の本がありそうな気がするのは、きっとアニメとか漫画の見過ぎなんだろうけれど、とりあえず確かめてみる価値はあると思う。
ヤクモさんの後を着いて行くと、いかにも古本屋と言った木製の少し古い建物が見えてきて、建物外にも本が並べられているのが見える。
「じゃあ、俺もちょっと本見てるから」
「はい、じゃあ少し経ったらまた」
「おう」
外見よりも中は広く、相当の数の本が棚にずらりと並んでいた。
この中から見つけるのは容易じゃなくて、とりあえず、歴史とか地学とか関係ありそうなジャンルの棚を見てみる。
古本屋、に相応しい古い本がならんたくさん並んであり、中には驚くほどの分厚い本もある。
いろいろと見て回るけれど、やっぱりそんなに簡単に見つかるわけもなく、今日は諦めることにした。
もしかしたら、私が知りたいことについて書いてある本なんてないのかもと思い始める。でも、それでも知りたいと思う気持ちは変わらない。
他に、本がたくさんあるところってどこだろう。
あっちの世界みたいに図書館なんてものはあるのかな。
「よしっ、花火買いに行くか」
「はいっ、そうですね」
本のことは一旦忘れて、今日は花火を楽しむことに専念しなきゃ。
せっかく、ヤクモさんが企画してくれた夏の終わりの思い出つくりなんだから。
「ああ、そうだね」
そう話す2人の声が聞こえてくる。
自分がハーブティを淹れたわけじゃないのに、お客さまのプラスな声を聞くことができるのはすごく嬉しい。
なんとなくだけれど、お店を経営する楽しさっていうか、やりがいっていうかそういうのを少しでも感じ取ることが出来ているような気がする。
本当は、もっともっと大変なこともたくさんあるんだろうけど、きっとそれ以上に心満たされることも多いはず。
特に、カイさんのように自分で食材を手作りするならなおさら。
「いいですね。自分の料理で人を笑顔に出来るなんて」
「まあな。1人でも美味しいと言ってくれる人がいると、明日も頑張ろうって思えるんだ」
カイさんは、誇り高い顔をして言った。
自分のお店が大好きなんだなって、その顔を見ると伝わってきて私ももっとここを好きになりたいと思う。
「はいっ」
今日は定休日で、ヤクモさんと花火を買いに行く約束をしていた。
庭に咲いている生き生きとした艶やかな野菜を見ていると、ヤクモさんが来る。
「よっ、早速買いに行こうぜ」
「はいっ、行きましょう」
今日は買い物のほかに、もう1つやりたいことがあった。最近気になっている地震について、何か本がないかどうかを探すこと。
「ヤクモさん」
「ん?」
「古本屋さんってありますか?」
「おお、あるぞ」
「そこにも行きたいんですけど、いいですか?」
「よし、じゃあ先にそっちに行くか」
「はい」
普通の本屋さんより、古いものを売っている本屋さんの方がなんとなくそれ関係の本がありそうな気がするのは、きっとアニメとか漫画の見過ぎなんだろうけれど、とりあえず確かめてみる価値はあると思う。
ヤクモさんの後を着いて行くと、いかにも古本屋と言った木製の少し古い建物が見えてきて、建物外にも本が並べられているのが見える。
「じゃあ、俺もちょっと本見てるから」
「はい、じゃあ少し経ったらまた」
「おう」
外見よりも中は広く、相当の数の本が棚にずらりと並んでいた。
この中から見つけるのは容易じゃなくて、とりあえず、歴史とか地学とか関係ありそうなジャンルの棚を見てみる。
古本屋、に相応しい古い本がならんたくさん並んであり、中には驚くほどの分厚い本もある。
いろいろと見て回るけれど、やっぱりそんなに簡単に見つかるわけもなく、今日は諦めることにした。
もしかしたら、私が知りたいことについて書いてある本なんてないのかもと思い始める。でも、それでも知りたいと思う気持ちは変わらない。
他に、本がたくさんあるところってどこだろう。
あっちの世界みたいに図書館なんてものはあるのかな。
「よしっ、花火買いに行くか」
「はいっ、そうですね」
本のことは一旦忘れて、今日は花火を楽しむことに専念しなきゃ。
せっかく、ヤクモさんが企画してくれた夏の終わりの思い出つくりなんだから。
0
お気に入りに追加
9
あなたにおすすめの小説
求不得苦 -ぐふとくく-
こあら
キャラ文芸
看護師として働く主人公は小さな頃から幽霊の姿が見える体質
毎日懸命に仕事をする中、ある意識不明の少女と出会い不思議なビジョンを見る
少女が見せるビジョンを読み取り解読していく
少女の伝えたい想いとは…
座敷童子が見える十四歳のわたしと二十七歳のナオカちゃん
なかじまあゆこ
キャラ文芸
座敷童子が見える十四歳の鞠(まり)と二十七歳のナオカちゃん。大人も子供も夢を持ち続けたい。
わたし座敷童子が見えるんだよ。それは嘘じゃない。本当に見えるのだ。
おばあちゃんの家に『開かずの間』と呼んでいる部屋がある
その部屋『開かずの間』の掃除をおばあちゃんに頼まれたあの日わたしは座敷童子と出会った。
座敷童子が見える十四歳の鞠(まり)と二十七歳のナオカちゃん二人の大人でも子供でも夢を持ち続けたい。
【完結】復讐は計画的に~不貞の子を身籠った彼女と殿下の子を身籠った私
紅位碧子 kurenaiaoko
恋愛
公爵令嬢であるミリアは、スイッチ国王太子であるウィリアムズ殿下と婚約していた。
10年に及ぶ王太子妃教育も終え、学園卒業と同時に結婚予定であったが、卒業パーティーで婚約破棄を言い渡されてしまう。
婚約者の彼の隣にいたのは、同じ公爵令嬢であるマーガレット様。
その場で、マーガレット様との婚約と、マーガレット様が懐妊したことが公表される。
それだけでも驚くミリアだったが、追い討ちをかけるように不貞の疑いまでかけられてしまいーーーー?
【作者よりみなさまへ】
*誤字脱字多数あるかと思います。
*初心者につき表現稚拙ですので温かく見守ってくださいませ
*ゆるふわ設定です
【完結】忘れてください
仲 奈華 (nakanaka)
恋愛
愛していた。
貴方はそうでないと知りながら、私は貴方だけを愛していた。
夫の恋人に子供ができたと教えられても、私は貴方との未来を信じていたのに。
貴方から離婚届を渡されて、私の心は粉々に砕け散った。
もういいの。
私は貴方を解放する覚悟を決めた。
貴方が気づいていない小さな鼓動を守りながら、ここを離れます。
私の事は忘れてください。
※6月26日初回完結
7月12日2回目完結しました。
お読みいただきありがとうございます。
ずぶ濡れで帰ったら彼氏が浮気してました
宵闇 月
恋愛
突然の雨にずぶ濡れになって帰ったら彼氏が知らない女の子とお風呂に入ってました。
ーーそれではお幸せに。
以前書いていたお話です。
投稿するか悩んでそのままにしていたお話ですが、折角書いたのでやはり投稿しようかと…
十話完結で既に書き終えてます。
追憶の君は花を喰らう
メグロ
キャラ文芸
主人公・木ノ瀬柚樹のクラスに見知らぬ女子生徒が登校する。彼女は転校生ではなく、入学当時から欠席している人だった。彼女の可憐ながらも、何処か影がある雰囲気に柚樹は気になっていた。それと同時期に柚樹が住む街、枝戸市に奇妙な事件が起こり始めるのだった――――。
花を題材にした怪奇ファンタジー作品。
ゲームシナリオで執筆した為、シナリオっぽい文章構成になっている所があります。
また文量が多めです、ご承知ください。
水崎ソラさんとのノベルゲーム化共同制作進行中です。(ゲームやTwitterの方ではHN 雪乃になっています。)
気になる方は公式サイトへどうぞ。 https://mzsksr06.wixsite.com/hanakura
完結済みです。
こんこん公主の後宮調査 ~彼女が幸せになる方法
朱音ゆうひ
キャラ文芸
紺紺(コンコン)は、亡国の公主で、半・妖狐。
不憫な身の上を保護してくれた文通相手「白家の公子・霞幽(カユウ)」のおかげで難関試験に合格し、宮廷術師になった。それも、護国の英雄と認められた皇帝直属の「九術師」で、序列は一位。
そんな彼女に任務が下る。
「後宮の妃の中に、人間になりすまして悪事を企む妖狐がいる。序列三位の『先見の公子』と一緒に後宮を調査せよ」
失敗したらみんな死んじゃう!?
紺紺は正体を隠し、後宮に潜入することにした!
ワケアリでミステリアスな無感情公子と、不憫だけど前向きに頑張る侍女娘(実は強い)のお話です。
※別サイトにも投稿しています(https://kakuyomu.jp/works/16818093073133522278)
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる