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11話
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再びそれぞれ食事や談笑の時間を過ごし、ちょうど料理も半分以上減ってきた時だった。
「ねえ、そろそろプレゼント交換にしない?」
柑菜は時計を見て、みんなにそう伝える。
柑菜と櫻子と亜紀が毎年1番の楽しみにしているのが、このプレゼント交換だった。
花より団子、というわけではないけれど、お互いがどんなものをプレゼントに選んだのかというそれぞれのセンスが垣間見える楽しみがある。
みんなは、そうだね、というと自分で買ってきたプレゼントを持ち始める。
大きさもバラバラで、包装紙もその人の性格が現れていた。
「ええと、初めての人もいるので説明します。プレゼント交換は、あみだくじで決めます!」
そういうと、柑菜はあみだが書いてある紙をテーブルの上に置いた。
下の部分は折られていて、見えないようになっている。
「じゃあ、みなさん、好きな番号を選んでください」
そういわれたみんなは隣の人と話をしながら、それぞれ好きな番号を選び始めた。
「私、櫻子の」
「私は秋斗さんのだわ」
それぞれ、みんなプレゼントが決まってくる。
誰も自分のものにあたることなく、それぞれ誰かのプレゼントを手にしていた。
「俺、柑菜のか……」
そうつまらなそうに呟いたのは、柑菜の弟の春樹。
なんでよりにもよって自分の姉のものを当ててしまったんだろうと、それを見て心の中で呟く。
「いいじゃない、もう」
春樹が開けたその中身は、有名メーカーの紅茶とコーヒーセットだった。
ローズヒップやアールグレイ、イングリッシュブレックファーストなど、様々な種類の紅茶が楽しめる。
柑菜は、このメンバーなら誰が当たってもいいようにと、みんながよく飲んでいるこの2つにした。
そしてまた、プレゼントということもあって、いつも飲んでいるものよりもいいものを。
「これ、結局2人で飲むよな……」
春樹はぼそっとそう呟く。
「まあ、いいでしょ?」
「…………」
実は、柑菜はこの紅茶が好きで、内心では少しだけ喜んでいた。
春樹と話をしているも、柑菜はやはり秋斗のことが気になり、柑菜の場所から見えるチラチラと秋斗の横顔を見てしまう。
秋斗は、空や亜紀達と話をしている。
そんな秋斗の横顔を見て、外国人みたいなラインだな、程よい高さの鼻だな、と思う柑菜だったが、急に秋斗がフランスに行ってしまうことを思い出し、心に穴が空いたような気分になった。
その穴を、ひゅーっと冷たく乾いた風が通り抜けていく。
フランスは、美術を専門とする柑菜にとっても憧れの場所で一度くらいは行ってみたい土地。
もし、秋斗と2人で憧れのフランスの地を歩くことができれば……。
2人で、フランスのお洒落なカフェのテラスで午後のティータイムを過ごすことができたら……。
そんなことを考えると、次は表情がにやけてしまう。
「柑菜ちゃん、私秋斗さんのプレゼントだったわ、…………もし柑菜ちゃんが交換したいなら」
にやける柑菜の元に、櫻子が可愛らしい箱を手に持ちやってきた。
ライトグリーンの包装紙は、穏やかな秋斗を連想させる。
「いいの、だって、今日はみんなのクリスマスパーティでしょ?…………それに、明日2人で過ごすから」
それに……からは、櫻子の耳元で誰にも聞かれないように話す。
すると、お互い顔を見合わせてふふっと笑いあった。
「ねえ、そろそろプレゼント交換にしない?」
柑菜は時計を見て、みんなにそう伝える。
柑菜と櫻子と亜紀が毎年1番の楽しみにしているのが、このプレゼント交換だった。
花より団子、というわけではないけれど、お互いがどんなものをプレゼントに選んだのかというそれぞれのセンスが垣間見える楽しみがある。
みんなは、そうだね、というと自分で買ってきたプレゼントを持ち始める。
大きさもバラバラで、包装紙もその人の性格が現れていた。
「ええと、初めての人もいるので説明します。プレゼント交換は、あみだくじで決めます!」
そういうと、柑菜はあみだが書いてある紙をテーブルの上に置いた。
下の部分は折られていて、見えないようになっている。
「じゃあ、みなさん、好きな番号を選んでください」
そういわれたみんなは隣の人と話をしながら、それぞれ好きな番号を選び始めた。
「私、櫻子の」
「私は秋斗さんのだわ」
それぞれ、みんなプレゼントが決まってくる。
誰も自分のものにあたることなく、それぞれ誰かのプレゼントを手にしていた。
「俺、柑菜のか……」
そうつまらなそうに呟いたのは、柑菜の弟の春樹。
なんでよりにもよって自分の姉のものを当ててしまったんだろうと、それを見て心の中で呟く。
「いいじゃない、もう」
春樹が開けたその中身は、有名メーカーの紅茶とコーヒーセットだった。
ローズヒップやアールグレイ、イングリッシュブレックファーストなど、様々な種類の紅茶が楽しめる。
柑菜は、このメンバーなら誰が当たってもいいようにと、みんながよく飲んでいるこの2つにした。
そしてまた、プレゼントということもあって、いつも飲んでいるものよりもいいものを。
「これ、結局2人で飲むよな……」
春樹はぼそっとそう呟く。
「まあ、いいでしょ?」
「…………」
実は、柑菜はこの紅茶が好きで、内心では少しだけ喜んでいた。
春樹と話をしているも、柑菜はやはり秋斗のことが気になり、柑菜の場所から見えるチラチラと秋斗の横顔を見てしまう。
秋斗は、空や亜紀達と話をしている。
そんな秋斗の横顔を見て、外国人みたいなラインだな、程よい高さの鼻だな、と思う柑菜だったが、急に秋斗がフランスに行ってしまうことを思い出し、心に穴が空いたような気分になった。
その穴を、ひゅーっと冷たく乾いた風が通り抜けていく。
フランスは、美術を専門とする柑菜にとっても憧れの場所で一度くらいは行ってみたい土地。
もし、秋斗と2人で憧れのフランスの地を歩くことができれば……。
2人で、フランスのお洒落なカフェのテラスで午後のティータイムを過ごすことができたら……。
そんなことを考えると、次は表情がにやけてしまう。
「柑菜ちゃん、私秋斗さんのプレゼントだったわ、…………もし柑菜ちゃんが交換したいなら」
にやける柑菜の元に、櫻子が可愛らしい箱を手に持ちやってきた。
ライトグリーンの包装紙は、穏やかな秋斗を連想させる。
「いいの、だって、今日はみんなのクリスマスパーティでしょ?…………それに、明日2人で過ごすから」
それに……からは、櫻子の耳元で誰にも聞かれないように話す。
すると、お互い顔を見合わせてふふっと笑いあった。
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